幻のノックさん
のらり:ところでノックマンシリーズの試作スケッチを見せていただいているんですが、その中に際立って不気味なモノが(笑)。
社長 :これは「ノックさん」。ノックマンのリアルバージョンを作ろうと思ったんですが……。

のらり:うーん……、理科室の人体標本みたいでなかなか怖いですねえ。
社長 :ボツになりました。

のらり:子供が見たら泣き出しますよね。



のらり:社長のアイデアを集めたノートというか、スケッチを見ているといろんなアイデアが垣間見られてなかなか興味深いですね。ノックマンをシリーズ化しようと思われたきっかけというか、理由は何ですか。

社長 :単純に一つの音だけでなくいろんな音を出して、合奏させたら楽しいんじゃないかな、と思ったのがきっかけですね。ノックマン・ファミリーです。

のらり:ファミリーですか。ノックマンシリーズはまだまだ増えていきそうですね。

社長 :はい。現在開発中のモデルもありますから、これからですね。



のらり:ノックマンは、ゼンマイ仕掛けのオモチャというのが新鮮ですね。年配の方には懐かしいかもしれませんね。

社長 :ノックマンのゼンマイにはスピードを調節する「ガバナー」と呼ばれる装置が入っているんですよ。ガバナーは、ねじ巻き式の時計などに使われるものなんですが、これがないとゼンマイを巻いても全速力で元に戻ろうとする力が働くんですね。ガバナーの役割は、ゼンマイの動力を伝えながら力を調節してスピードを一定にさせることなんです。
なぜいきなりガバナーの話をしたかというと、ガバナーが今の時代に必要とされていると考えたからなんです。
 これまでの日本は経済成長を最優先させて突っ走ってきましたけれど、豊かになったのは物質的な側面だけではないかと言われていますよね。モノや情報にあふれても、本当にそれが必要なのか、と疑問に思うことが多々あります。
最近、スローライフ、スローフードという言葉をよく耳にしますが、ガバナーはまさにスローライフそのものなんです。

のらり:つまりエネルギー全開でがんがん行くというスタンスではなく、貯めてそれを調節する機械ということですか。

社長 :ゼンマイを巻いた分だけしか動かない。ゼンマイ仕掛けの素朴さというか味わい深さがあると思います。

のらり:それに加えて操作する楽しさというか、単純さがいいのかもしれませんね。ノックマンとは違いますが、「ガチャコン」も無駄さ加減というか、操作感が懐かしくていいです。

ほとんどのテレビに対応するチャンネル型リモコン「ガチャコン」(3800円)
販売元:株式会社キューブ
電話03-3234-3721

社長 :感覚的に非常に分かりやすいの で、どっちかというとお年寄りに使って欲しいですね。最近は、タッチパネルやボタンで操作するものが増えて、こういう計器類を扱う楽しさがだんだん失われていくように思うんですよね。

のらり:この手のオモチャシリーズは他に何か考えていらっしゃるんですか?

社長 :まだ試作品ですが、ご覧になりますか。

のらり:ぜひ! 見せてください。

< 後編へつづく >
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