第754回:トンネル群と巨大ジオラマ - 北陸本線 長浜~敦賀 -
長浜駅で東舞鶴行きのきっぷを買う。2,270円。経由欄に「北陸」「小浜」とあり、有効期間は2日。つまり100km以上の距離で、敦賀に途中下車できる。今日の目的地は敦賀で、宿泊地が東舞鶴駅付近のホテルだ。プラットホームに行くと特急列車が通過した。「しらさぎ53号」米原発金沢行きだ。特急しらさぎのうち、長浜駅に停まる列車は全体の3分の1くらい。鉄道の要衝は米原に移った。特急列車を見送って、私は12時11分発の各駅停車に乗った。もう少し待てば13時02分発の「しらさぎ7号」が来る。しかし敦賀までは特急に乗るまでもない。

長浜~東舞鶴間は122.5km、きっぷの有効期間は2日
各駅停車は225系という電車だった。4両編成で、「新快速 近江塩津」と表示されている。姫路から4両編成で来るはずもないし、米原で12両編成中の8両を切り離したようだ。ありがたいことにクロスシート車で、JR西日本にとってはありがたくないだろうけど空いていて、私は進行方向に向かって座っている。北陸本線は琵琶湖の東岸を通るけれども、湖畔から離れているから見えない。伊吹山地と琵琶湖に挟まれた田園地帯を走っており、車窓風景は田植えが終ったばかり。瑞々しい水田が続く。

「A新快速」は北陸本線経由

転換式クロスシートは旅の気分が高まる。関西の人は日常かもしれない
木ノ本駅を発車してしばらく走ると左へカーブしていく。直進すれば旧線の柳ヶ瀬方面で、これから行く道は1957年に開業した新線である。水田が終わり、国道が寄り添って、その向こうに湖が見えたと思ったらトンネルに入った。あの湖は琵琶湖の北端ではなく、余呉湖という小さな湖だ。3万年前は琵琶湖の一部だったらしい。トンネルを抜けると湖西線の線路が近づいて合流する。12時34分、近江塩津駅着。ここから先は湖西線から来た電車に乗り継ぐ。30分ほど待つと、新快速の敦賀行きが来た。こんどは223系電車で、こちらも4両編成だ。13時01分発。敦賀駅まで14分である。北陸本線の敦賀といえば大ループ線が名物だ。しかしループ線は上り線しかない。我がしらさぎ号は低空飛行で、まっすぐ敦賀へ降りていった。
北陸本線から琵琶湖は見えない

近江塩津からの「B新快速」は湖西線経由
敦賀市をご案内いただく方は、敦賀市産業経済部観光振興課の大南祐之さんだ。柔和な印象の御仁だが、名刺に銀河鉄道999のメーテルが描かれている。「もしかして自画像ですか」「いやいや、まさか(笑)」。敦賀市は日本海側で最初に鉄道が到達した都市で、敦賀港に連絡する欧亜国際連絡列車が走っていた。鉄道の終着駅、そして外国へ旅立つ港のイメージ、敦賀港開港100年を記念して、銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトをイメージキャラクターにしたという。どうして99年にしなかったのかと思うけれど、世間的には100年の節目のほうがわかりやすい。大通りには銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトのキャラクター像が並ぶという。その数、なんと28体。歩いてみたくなる。しかし。

赤レンガ倉庫とキハ28。私が最初に買ったNゲージ車両がキハ28だった
「どちらをご案内しましょうか」
「赤レンガ倉庫を、その横にあるキハ28を見たいです」
ありがたいことに、市役所のクルマを出してくださった。駅から徒歩30分、アニメの像を見ながら散歩できる距離だけど、時間がもったいない。クルマで数分だ。赤レンガ倉庫は敦賀市の歴史を語る象徴的な建物だ。そのとなりにキハ28形ディーゼルカーが据え置かれている。よく手入れされているようで、まるで新車のような、もしかしたら動き出しそうな雰囲気もある。赤レンガ倉庫の中に巨大な鉄道模型ジオラマがある。

旧北陸本線へクルマで出発。路線バスにも「999」と「ヤマト」
「倉庫の内部は暗くなってからでも良いでしょう。旧トンネル群をご案内します。暗くならないうちに戻れますよ」
これは予想外でありがたい。レンタカーを借りて往復しようと思っていたからだ。長い時間を付き合わせてしまって申し訳ないと思いつつ、ライトバンの助手席に座る。
「線路跡の道は細くて、特にトンネルは要注意です」
いったいどんな道だろう。
…つづく
第754回の行程地図(地理院地図を加工)
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