■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。
第3回:ゆるゆるモードにはまる。
第4回:「おんな」を満喫!
ブラジル人女性。

第5回:漢字が流行ってます。
第6回:買い物もひと苦労?

■更新予定日:隔週木曜日

第7回:選挙もお祭りなのね

更新日2004/10/14


こんにちは、めだかです。

うちの近所は、普段からそんなに静かなところではないけれど、ここしばらくはかなり賑やか…というか騒がしい毎日だった。10月3日に全国統一の市長・市議会議員選挙があり、そのための選挙活動がひじょーに活発に繰り広げられていたからだ。

ニホンでも選挙戦の頃はマイクでがなり立てる街宣カーに悩まされたものだけど、こちらに比べればカワイイものだった。なにしろ当地では、各候補者にテーマソングがあって(流行った歌の替え歌が多いけどオリジナル曲もある)、巨大スピーカーを積んだトラックや車が1日中その歌をガンガン流しつつ、街を走り回るのだ。

選挙活動には細かい制約なんて特になさそうに見える。ポスターはもちろんあらゆる所に貼ってあるけれど、それだけでなく、家の壁や塀に直接ペンキで候補者の名前をでかでかと書いてしまう。そして、自家用車に支持する候補者のポスターを貼り、旗も飾り、個人的街宣カーがうじゃうじゃ走り回っている状態。さらに候補者の写真入りTシャツを着ている人も大勢いて、顔写真付きビラやシールも配っている。


候補者の写真と名前、投票用の番号が記されたポスター。

夜になれば、ほとんどコンサートのような集会が開かれ、花火や爆竹が鳴り響き、ステージでは肌も露わな格好のお姉さんたちが踊り、テーマソングを歌い、候補者や支持者たちがマイクで吠える。この手の集会にはかなりの人数の人たちが集まってくる。一度郊外の方でそういう集会に遭遇したことがあったが、日曜の夜9時頃から始まったのに、若者から子ども連れからお年寄りまで、軽く数千人は集まり、みんなで旗を振り、横断幕を掲げながら、盛り上がっていた。

テレビの政見放送も半端ではない。少なくとも朝、昼、晩(ゴールデンタイム)に30分ずつ放送時間が確保されていて、この時間中はどのチャンネルを回しても、同じ放送が流れている。と言ってもNHKで流すようなかしこまったものではなく、各候補者が作ったCMみたいなもの。もちろんテーマソング(ある80代半ばの候補者の歌はラップだった)に振り付け付き。リッチな候補者のものは凝った作りだが、お金のない候補者はほとんど素人の手作りビデオ並み。毎日見ているうちにテーマソングも憶えてしまった。


おそろいのTシャツを着てトラックに乗って盛り上がる応援団。

選挙と言っても関心が低く、棄権する人が多くて投票率も40%なんていうお粗末な状況のニホンから見ると、なんでそこまで盛り上がれるの?と、うらやましいくらいだ。ちなみに18歳以上は投票が義務になっており、投票率はもちろんすごく高く、棄権者は罰せられる(就職試験が受けられない、パスポートの取得ができない、など)。16、17歳でも希望により投票が可能であり、70歳以上は義務ではなく任意となるそうだ。

そして投票はコンピュータを使った電子投票。文字の読めない人でもちゃんと投票できるように、各候補者にはそれぞれ番号が決まっていて、投票場では機械にその番号を入力すればよい。電子投票というのは世界的に見てもかなり進んでいる方法らしく、皆誇らしげに説明してくれた。どこかの某超大国の大統領選みたいに、原始的な投票方法のために票がごまかされてしまうなどということも起きないのだ(あの国は今回は大丈夫なのだろうか?)。


投票への呼びかけをするテレビCM。電子投票なので指一本。

選挙戦は投票日が近づくにつれ熱を増し、ますます活発になった。幼い子も含めて家族全員で候補者のTシャツを着て気勢を上げる人たち、車の窓から身を乗り出して旗を振り、クラクションを鳴らし、候補者の名を連呼する人たち。自転車軍団というのも見たなぁ。候補者からバイト料をもらっている場合が多いそうだけど、勝手連的応援団もいるらしい。投票日はもう選挙活動はやってはいけないことになっていると聞いていたが、そんなのはお構いなしのようだった。

そして当日の夜。電子投票なのでどんどん開票され、結果が報告されていく。友人の住むベレン近郊の市では、速報後も大変なお祭り騒ぎだったらしい。当選した候補者やその支持者たちが皆で喜びを分かち合おうとするのか、夜中過ぎまでドンパチ花火を上げ、爆竹を鳴らし、大音響の音楽を流して、騒ぎまくっていたらしい。すごいなー、ひいきのサッカーチームが勝ったときのようだわ。

まぁ無事に投票日も終わり、ヤレヤレやっと静かになるわいと思っていたのだけど、当ベレン市では今回過半数以上の票を取れた候補者がいなかったので、上位二人で今月末に決選投票が行なわれることになってしまった。大都市と州知事、大統領選挙の場合はそういう決まりになっているというのだ。とほほ…。というわけで、まだしばらく喧騒は続くのでした。

 

 

第8回:アマゾンのサムライたち