第256回:この世の終わり? 否、男だけが絶滅する!
悔い改めよ、悔い改めよ、もうすぐこの世の終わりがやってくる、その日のために準備せよ、天国に行きたければ、精神も肉体も清め……悔い改めよ……という末世思想は大昔から幾度も繰り返されてきました。
しかし考えて見れば、これほど確実に"当たらない"予言は他にありません。第一、私たちがこうして、悔い改めることもせず、その宗教団体に入ることもなく、生き延びているのですから…。
人類がいつ滅亡するという不安を煽り立てる思想にもなっていない危機感は、人類が始まった時からあったようです。
聖書の『ヨハネの黙示録』にもハルマゲドンという神の怒りの日がやってきて、人類を滅ぼしてしまうと…解釈している人がいますし、ノアの箱舟のハナシも末世、救済談です。仏教にも末世思想があります。
そう云えば、2000年を迎えた時、私たちはプエルトリコにいましたが、大きな宗教団体、もちろんキリスト教の一派ですが、彼らはその年に惑星が地球に衝突し、地球が滅びるとマジメに信じていました。私もその一派のお祈りに誘われ、断るのが大変でした。中にはもっともらしい少し科学の味付けをして、その惑星の衝突で地球が太陽の方に何センチ近寄ると、軌道が狂い、そのまま太陽に向かって行ってしまうとか、説明していました。
めでたく2000年を迎え、さっぱり地球が滅亡する気配がないので、人類滅亡グループの人に、「どうなんてんの?」と訊ねたところ、「私たちの強い祈りを全能の神が聞き入れてくれて、惑星衝突は避けられた。アーメン」と言っていました。
日本でも一昔前、ノストラダムスの大予言が大いにもてはやされたそうですね。フランス人のノストラダムスは1555年に大予言を書き残しましたが、読み手にとって様々な解釈ができるような書き方で、これが長年語り継がれ、後の世を惑わすコツのようなのですが…。
ノストラダムスの大予言も日本の出版社が大ベストセラーを作り上げ、当時記録破りの大もうけをしたそうです。もちろん、予言された1997年の7月には人類は滅亡しませんでした。
『日本沈没』というサイエンスフィクションも大ベストセラーになりましたね。アメリカでもハロルド・ギャビングという人が、いかにももっともらしい予言で人類滅亡を説き、一時期、時の人になったりしました。
今、流言しているのはメキシコのマヤのカレンダーです。それによると2012年12月21日から23日で切れている、よってその日に人類は滅亡するというものです。マヤの暦では187万2,000日を13バクトゥンと数えています。1トゥンは360日で13バクツン、すなわちマヤの暦が始まった紀元前3114年から5129年で人類は滅びる……のだそうです。
しかしながら、他の学者によれば、どこか計算の方式が違うのでしょう、13バクトゥンに当たるのは1827年になり、マヤのカレンダーではそこから振り出しに戻るのだそうで、人類は永遠に滅びない……ことになるのだそうです。
そういえば、去年の10月28日にホンダ彗星とエレニン彗星が地球に接近し、コロラドの山の澄んだ夜空に美しい姿を見せてくれました。その時も、彗星が地球にぶつかる、人類破滅だと騒いでいるグループがいました。
巨大な隕石が地球に落ちてきた現場跡が、アリゾナ州の砂漠の中やメキシコのチェクシェルーブにあります。このユカタン半島に落っこちてきた隕石は直径180キロメートルもあり、ものすごいスピードでブチ当たったのでしょう、900メートルの深さに埋まってしまいました。それでも地球は滅びなかったのです。
この世から、男だけが消滅する"科学的予言"があるのをご存知でしょうか。男どもよ、悪さをせずに悔い改めよ…女を泣かすでない…というのではありません。何でも女性がYとXの染色体持っているのに、男性はX染色体しか持たず、しかもX染色体は突然変異に弱く、加えて、その染色体がどんどん短くなっていっているというのです。でも、人類が始まった時に比べての話ですが…。ともかく、そのX染色体がなくなると男として存在し得ない、よって男は消滅する、この世から消える…となります。
この理論はかなり信憑性がある…と言われていますが、人類はまだ男なしで子孫を創ることができませんから、男がいなくなったら次の世代には人類全体が絶滅することになるんでしょうね。女性が男なしの世を存分に楽しめるのは一世代だけになります。
でも男性たちよ、安心してください。英国のネイチャー誌(科学雑誌ですが、素人が読んでも分かりやすく面白いですよ)によれば、そんな事態は決して起こらないという、アメリカのどこかの大学の研究結果が載っていました。研究員が全員男でないことを祈っていますが…。
人類の滅亡危機を煽り立てる人や宗教団体、出版物には、怪しげな商品を大げさに宣伝するような臭気がつきまといます。人間は幸福感より危機感を抱きやい性格を持っているのでしょうか、危機感には煽られますが、幸福感に煽られた歴史はないようなのです。
2012年の終わり頃には、大きな隕石が飛んできて、その隕石がもたらす衝撃波でモスリムもクリスチャンも仏教徒もヒンズー教徒も戦争をやめ、幸せになり、作物も豊かに実り、飢えもなくなるであろう……という予言は一般受けしません。
これからも、たくさん人類滅亡の危機を語る本や予言が徘徊することでしょうけど、そんな心配はハリウッドの大作映画に任せておいて、私たちはその日その日を大切に生きていくのが良いのでしょうね。
第257回:天候不順と地球温暖化
|