■鏡の向こうのつづれ織り
~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 |
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天使も時には失速し、あるいは、飛び損ねることがあるだろう
先日、溺れかかった天使を見た
天使は虚空に助けを求めており、私はその悲鳴のようなものを
一瞬、たしかに、聴いたような気がした
そしてそのとき、ふと思ったのだ
天使とは、その在りようとは、なんとはかなく
そして過酷なものだろうかと……
天と地、二つの全く異なる空間を飛び交う天使は
神でも人でもなく、性別すら定かではなく
いわばその両方の、意思をとりもつ使者である
神と共にあってはその意を解し
人と共にあってはその思いを汲む
しかし、神の言葉がそのまま人に伝わるわけはなく
人の言葉もまた容易には、遥かな天に届きはしない
かくして天使の役割は
天と地、あるいは、虚と実といった
本質的に異なる位相を繋ぎとめる媒体メディアとして働くことにある
天使の役割の過酷さは
この言語の変換という高度な作業を
まるで当然のようにやり遂げることにあり
そしてそのはかなさは
全ての媒体がそうであるように
もし、伝えるべき何かがなければ
その役割そのものが存在しないことである
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