■更新日:2002年03月29日

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編集長としての原稿執筆は、今回のこの編集後記で最後となる。 創刊からほぼ1年。大々的なPRをするわけでもなく、しかし、サイトへのアクセスは緩やかに着実に増えていきました。創刊に際して書いた「継続はチカラなり」という言葉を身をもって確かめることができたような。ちょうど、オンボロ飛行機が低空飛行を続けながら、畑にはしっかり種を蒔いたような感じですか。

えー、読者のみなさんとコラム執筆者のみなさんには心からお礼を。志岐編集者と野田編集者にはお疲れさま。ムラっ気たっぷりの安蒜をひたすら見守ってくださった版元のハルアンドアーク社のえらいオジサマたちには頭があがりません。

「いいですか、みなさん」

新卒入社した会社の新人研修のときの話。当時の出版局長さんの講話を今でも覚えている。

「書物というのは人間にとって食物と同じくらい大切なものなのです。本を作る人はこのことを忘れてはいけません」

米国滞在を終えて日本に戻ったとき、紙からデジタルへと活字はいよいよその表現の機会を広げたはずなのに、出版の世界は妙な閉塞感に覆われているような気がした。日本人は世界一の韻の美しさと綴りの美しさを誇る言語を操れる唯一の民族だったのに、消費のスピードが加速するにつれてそういう自負も尊厳もやっぱりお金儲けと引き換えにしちゃいましたか、と。

文章だけが持つ「ぬくもり」と「チカラ」──映像にも音楽にも表現できない、おそらくはもっとも受け手の感性に依存して、もっともその想像力に揺さぶりをかける「出版」というメディアに対して、もう一度正面から向き合ってみたいと思いはじめた春です。

……とかいったえらそうな文句タレとは無関係に、4月からはコラムニストの一人として「のらりねっと」に参加させてもらうことになりました。再スタートの「シリコンバレー」のコラムでお会いしましょう。(安蒜泰樹

紅茶やら日本茶やら中国茶の茶葉がだんだんとスペースをしめてきた我が家の台所。茶器もそれに合わせていろいろと買い集めるうちにとうとうヤツがやってきた。それはお祝いにいただいた「工夫茶」の茶器セット。「陶作坊」という台湾のメーカーで作っているものだ。渋くてシンプルなデザインの憎いヤツ。まさに中国茶器の真打ち登場。何事も形から入る私にはこれ以上ないってくらい立派な茶器だ。ちなみに工夫茶は中国茶の茶道ともいうべき「茶藝」に使うお茶の入れ方。これでまたお茶を飲む楽しみが増えたかも。(志岐)

今回を持ちまして、「のらりねっと」編集の任務を離れることになりました。コラムをご覧くださったみなさま、そして編集にかかわらせてくださったHal&Arkのみなさま、本当にどうもありがとうございました。「今度は何おもしろいことしようか」とワクワクしております。また、お目にかかりましょう。(野田幾子

 


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