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ロードバンド化でいよいよマルチメディア(これはもう死語か)なプレゼンテーションが花盛りという感じのネットコンテンツの世界で、なぜテキストをメインとする地味なコラムサイトをやろうなどと考えたのかというと、ちょっとしたこだわりみたいなものによる。ひとつは、できるだけコストをかけずに、継続的な「出版」活動をやってみたかったということ。もうひとつは、執筆者たちが、自分ならではのノリを活かしたり育んだりしながら文章が発表できる場所を用意してみたかったということ。 WWW(ワールドワイドウェブウェブ)とブラウザが登場したとき、もっとも色めきたった業界の1つは出版だった。以来、電子化やインタラクティブ化といった、より高度な表現手法を模索する試行錯誤が繰り返されているが、「norari」はそういった類の挑戦は他に任せておくことにする。こういうウェブの使い方がまだしばらくの間は残っていてもいいだろう。(安蒜)

月になって関東地方は一度雪が降ったりしたものの、ずいぶんと暖かくなってきた。ぶらぶらと散歩していると、一件の古ぼけたリサイクルショップの看板が目に付く。  どぎついピンクの地色に「売買サロン ジョイ」と書かれていて、「売買サロン」という言葉の響きに、なんとなくうしろめたさを勝手に察して、とりあえず店に入る。道を挟んで2店舗ある内の、古着を扱っているほうに足を進めると、すでに店内は客のおばちゃんたち(50〜60代が中心)が発する熱いオーラを感じ、場違いな自分をごまかしごまかし品物をチェックする。  生活感ただようディスプレイの中、バブリーな時代を思い出させるデザインの「ラルフ・ローレン」や「キクチタケオ」の古着が、ほかの1000円やら2000円やらの服と同じ扱い(値段も)で飾ってある。  今は80年代風のファッションが流行っているらしいが、どうも中途半端にその時代を覚えているせいか、恥ずかしくてついていけない。近過去が一番恥ずかしい、とはうまいことを言うなぁ。べつに近くなくても思い出したくない過去はくさるほどあるんだが、私の場合。時々思い出しては「ギャー」と畳の上をごろごろ転げ回っている。(志岐)

校で、たとえば英語を習うときには読点(カンマ)を打つ位置や語尾変化などの文法的な約束事をこと細かに教え込まれるが、日本語ではこれが案外あいまいだったりする。グラマーの時間は授業としてあるのに、日本語文法の時間はない。話せるのだから書けて当たり前というのが前提にあるのだろうが、実際には読みにくい日本語は世の中にあふれている。漢字・ひらがななどの「記号」で表記されるだけの書き言葉は、身振りやアクセントで常に補完される話し言葉に比べてより高度な技術を必要とし、論理的にわかりやすく書くという書き手の努力は不可欠と言えよう。「NORARI」の基本コンセプトは「仕事から帰って缶ビール片手に読めるコラム」。アクセスしてくれた人を煩わせることのないシンプルなサイト構成と読みやすい文章、そういうものをお届けできればと思っている。(山口)


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