この作品で、ニューヨークに住むことにより彼女の空間の意識が建築的なものに敏感になったということをあらためて感じます。今までの抽象的な作品からは少し違った方向性も出てきたのかもしれません。アート・オーマイのスタジオで見せてもらった作品にもその傾向がありました。この夏ベルリンで撮影した写真が壁に展示してあり、これらも光の美しさ、微妙な色合いが共通しているのですが、対象物が何であるかはっきりわかるものでした。
また、意外だったのは、ハーレムの夜のストリートを撮影したシリーズが白黒だったこと。夜の街のネオンと暗い道や壁はモノトーンのグラデーションで描き出され、その闇と光と反射する路面は白黒であるにもかかわらず、非常にコンテンポラリーなのです。
彼女の作品を見て、光の違いの話になると、やはりロサンジェルスとニューヨークは太陽が違うと言います。どんなに晴れてもニューヨークではありえない明るさがロスにはある。そして、ベルリンの太陽のもとでは色は薄く拡散している。違う街で異なる太陽の光で撮ってみたいと言うキラの今後の作品も楽しみです。
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