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■店主の分け前~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 

第383回:緊急掲載 ラグビー・ワールド・カップ 2019開幕 
     予選プール戦終了~決勝トーナメントへ

更新日2019/10/17



スコットランドは、やはり長い伝統を持つ素晴らしいチームだった。

ジャパン対スコットランド戦。ジャパンが後半に入って間もなくの2分、前半終了間際に続きWTB福岡堅樹選手がこの日二つ目のトライを奪い、SO田村優選手がコンバージョンを決めて28−7となった時、ほとんどのファンが「これでジャパンは勝った」と確信したことだろう。

ところが、この後ジャパンの攻撃は完全に沈黙させられてしまった。逆にスコットランドは後半の9分、そしてその5分後の14分に立て続けにトライを奪いゴールも成功させて、1T1G差まで一気に迫ってくる。

アイルランド戦の後半に見せた、1メートルたりともゲインを許さないというディフェンスを、ジャパンは披露することができずに、ジリジリと後退させられ、自陣での戦いを強いられた。やはり、幾多の厳しいゲームを戦い抜いてきたスコットランドは、何としてでも、自分たちが予定よりも帰国が早まるのを阻止しにかかってきたのである。

前回の南アフリカ戦も、今回のアイルランド戦も、ジャパンはしゃにむに立ち向かい、常に追う立場のゲームをしてきたが、この日の試合は様子が違っていた。決して途中から守りに回った消極的なラグビーに変容したのではないが、4トライの時に見せた、鮮やかなプレーは影を潜めてしまった。

プールDのウェールズ対オーストラリア戦。途中26−8とリードしていたウェールズだが、あっという間に26−25まで迫られてしまう。最終的には29−25とゲームには勝っても、ウェールズと言えども薄氷を踏むような展開になってしまうのだ。もちろん、オーストラリアの地力がすごいことに間違いはないのだが。

さて、逃げ切ることができたのもジャパンが強くなった証明だとも言えるだろう。昔のジャパンであれば、追い上げられることで浮き足立ち、ミスを重ね、ついには追い着き追い越されたゲームは、何度となくある。

必死の形相で、タックルまたタックルのディフェンスを繰り返し、劣勢に回った後半の時間帯に、追加点を許さなかった。FWなどはクタクタだろう。あのタフネスのトンプソン ルークがロッカーに引き上げてきた時には、もう歩くのがやっとだったそうである。本当にタフなゲームを制したジャパンを心から誇りに思う。

そして、スコットランドの一ファンとして願うことは、彼らがこの敗戦で本当の意味で目を覚まして欲しいということである。今まで多くのW杯で決勝トーナメントに進むものの、ほとんどが準々決勝で敗退してきた。何かそこまで行けばもう良いだろう、という雰囲気さえ感じさせられた。

シックス・ネイションズでも20年間優勝をしていない。アイルランドが見事に蘇ったように、スコットランドもラグビー協会が本腰を入れて強化に取り組んでもらいたい。そして、W杯で決勝で戦えるような、そんな強いこのチームを見てみたいと思うのである。

今回の予選プールを観て感じたことは、上位チームと下位チームの差が、かなり縮まったことである。殊に南米のウルグアイはフィジーを下し、ウェールズと後半途中までは拮抗したゲームを展開していた。今後のW杯が、より楽しみになってきた。

さて、最後の1席をジャパンが確保して、決勝トーナメントのチームが出揃った。

( )内はプールメイト通過順位。

第1試合 イングランド(C1) VS オーストラリア(D2)


第2試合 ニュージーランド(B1) VS アイルランド(A2)


第3試合 ウェールズ(D1) VS フランス(C2)


第4試合 日本(A1) VS 南アフリカ(B2)


勝敗の予想は、難しすぎて見当がつかない。こうなって欲しいと思う準決勝のカードをあげるのであれば、オーストラリア VS ニュージーランド、フランス VS ジャパンである。今度の土曜日、日曜日が待ち遠しい。

台風により3試合が中止になるという、異例なW杯になった。そんな中で、釜石で試合ができなかったカナダ代表のメンバーが、ボランティアとして台風後の復旧作業に手を貸してくれたという話が、広く伝わった。ラグビーを、ますます好きになってしまう。

-…つづく

 

 

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金井 和宏
(かない・かずひろ)
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1956年、長野県生まれ。74年愛知県の高校卒業後、上京。
99年4月のスコットランド旅行がきっかけとなり、同 年11月から、自由が丘でスコッチ・モルト・ウイスキーが中心の店「BAR Lismore
」を営んでいる。
Lis. master's voice


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