キリンのジイラ
キリンのジイラは、どうぶつえんで、この春に生まれたキリンの子どもです。_女の子です。キリンは子どもといっても、せのたかさは、生まれたときからにんげんのおとなより高くて、だいたい二メートルくらいあります。ですからジイラも二メートルいじょうあります。キリンはせがたかくて、体にきれいなもようがあって、やさしそうなかおをしていますので、どうぶつえんのにんきものです。
キリンのあたまには、にほんのツノがあります。よんほんのツノがあるキリンもいます。なかにはあたまのまんなかにもういっぽんツノがあるキリンもいます。どうしてかはわかりません。ちきゅうやそこでくらすいきものたちのことを、人間はたくさんしっていますけれども、でもしらないこともたくさんあります。しらないことのほうが多いかもしれません。でも、いろいろかんさつしたりして、しらないことをしるのは、とてもたのしいことです。
キリンのお母さんやお父さんはせがとてもたかくて、五メートルくらいあります。五メートルというのは、いっかいだての家のやねよりたかいくらいです。ですから、お父さんやお母さんはたかい木のえだの葉っぱをたべることができます。生まれたばかりの時は、ジイラはそんなたかい木の葉はたべられませんから、お母さんのおっぱいをのみました。にんげんの子どもとおなじですね。
でもちょっとちがうのは、にんげんの赤ちゃんは、いちねんくらいたたないと歩けませんけれども、キリンの赤ちゃんは、生まれて二十ぷんくらいで、すぐにじぶんで立ち上がっておっぱいをのみます。すごいですね。
キリンは日本ではあちらこちらのどうぶつえんにいますけれども、もともとはアフリカにいるどうぶつです。キリンは大きくて、足の力がつよいので、キリンをおそうどうぶつは、アフリカでもライオンかヒョウくらいです。それでもおそわれたらたいへんですから、生まれてすぐにじぶんで立って歩くのです。
キリンのごはんは、木のたかいところの葉っぱです、あさのはやいうちに、歯とながいしたをつかって、えだについている葉っぱをたべます。たべたあとは、そうげんで、あさたべた葉を、ひるのあいだ、ゆっくりはんすうして、えいようにします、はんすうというのは、キリンやウシやヤギやシカやラクダなどのそうしょくどうぶつの、どくとくのごはんの食べ方です。
これらのどうぶつは、いが四つにわかれていて、おいしい葉っぱや草があるところで、いそいでかんで食べたあと、あんぜんなばしょで、いちばんめのいのなかの草を、もういちど口にもどして、ゆっくりかみなおします。そうして四つのいを、ながいじかんをかけてとおっていくうちに、草や葉っぱがだんだん、えいようになっていきます。
どうして草や葉っぱしか食べないのに、大きなキリンやウシの体ができるかというと、四つにわかれたいのなかに、いろんなバクテリアという、ちいさなちいさなちいさないきものがいて、それがキリンやウシがたべた草をすこしたべながら、そのかわりに、草や葉のせいぶんを、大きな体をつくるのにひつようなえいようにかえるのです。
ですからキリンやウシはバクテリアがいなければ、大きな体をつくることも生きていくこともできません。バクテリアも、キリンが食べる葉っぱが、いのなかにおちてこなければ生きていけません。ですから大きなキリンと、ちいさなちいさな目に見えないくらいちいさなバクテリアは、おたがいにたすけあって生きているのです。ふしぎですね、うまくできていますね。
ほかにもキリンには、にんげんにはないいろんなふしぎなしくみがあります。一つは、なにしろあたまがたかいところにありますから、あたまにけつえきをおくるためには、しんぞうがつよくなければいけません。そのしんぞうでドックドックと、あたまやくびにけつえきをおくります。ですからキリンのけつあつは、とてもたかいのです。
にんげんは、あまりけつあつがたかいと、びょうきになってしまいます。ところがキリンはなりません。とてもけつあつがたかいのに、あたまのけっかんがはれつしたりしないのは、けっかんがとてもやわらかだからからです。
それに、みなさんは、グルグルまわったり、ブランコをあんまり大きくゆらすと、気持ちが悪くなったりすることがあるでしょう。でもキリンは、くびをおろしてあたまを下にしたところから、きゅうにあたまを木の上にまで上げても、上から下にあたまをおろしても、あたまがクラクラしないように、にんげんにはない、とくべつなしくみがけっかんのなかにあります。ますますふしぎです。
キリンはどうぶつえんではいつもゆったりして、せわをしてくれる人たちが、たかいところに入れてくれた葉っぱをゆっくりたべていますけれども、でも、走ろうとおもえば、あんなにながいあしですから、とてもはやく、ふつうのみちを走っているじどうしゃくらいのスピードで走ることができます。
足はほそいですけれども、あんなに大きな体をささえているのですから、とてもつよくて、しかも、けつえきが足にたまってむくんだりしないように、足のかわがとてもかたくてじょうぶで、ふくらまないようになっています。ですからライオンがおそってきても、そのじょうぶな足でけって、ライオンから身をまもることもできます。
それにそれに、キリンはだいちの水をたっぷりすったあさの葉っぱからすいぶんをとるので、ながいあいだ水をのまなくても生きていけます。高いところからみわたせますし、いつもとおいところと、ちかくの葉っぱをかわるがわる見ていますので、目もとても良いのです。なんだかいちど、キリンになって高いところから、とおくのけしきをみてみたいですね。
ところでジイラはお父さんやお母さんほどにはせがたかくないので、どうぶつえんの人がつくってくれた、ちょっとひくいところ、といっても、みなさんのせのたかさより、ずっとたかいところにあるザルのなかの葉っぱをたべます。どうぶつえんにはきょうも、たくさんの子どもたちがジイラを見にやってきます。そんなときジイラは、なんだかきぶんがよくなって、歌をうたいます。
私はジイラ、キリンの子
あわいきいろにちゃいろのもよう
あみめのもようがステキでしょ
私はジイラ、キリンの子
くびをスックとたかくあげれば
とおいところまでみわたせる
ほらほら子どもがやってくる
とおくのほうからやってくる
わたしをみたくてやってくる
あの子がちかくにきたときは
くびをおろしてごあいさつ
あの子はうえをみあげてごあいさつ
-…つづく
第8回:アメンボのスイスイ