第169回:自ら罪を犯したことのない者は石を投げよ!
これは、聖書「ヨハネの黙示録」に出てくる有名なお話の一節です。
娼婦かそれとも単に浮気をしただけの女性を村人が大勢で取り押さえ、石打ちの刑にしようとしていたとろにイエスが通りかかり、「それではお前たちの中で、そのような罪を犯したことのない者から石を投げよ」と問いかけ、皆、スゴスゴとその場を去ったという、例の逸話は現代にも生きています。
逸話だけでなく、イランではまだ刑法上の石打ちの刑が存在し、ジリジリとゆっくり苦しめながら処刑するため、石の大きさまで規定され(即死させるような大きな石はダメ)、5日掛かりで殺す…と外電が伝えていました。
相撲界がまたまたもめています。大好きなお相撲のことなので、もう皆さん聞き飽きたことでしょうけど、一言、言わせてください。
マージャンをお金を賭けないでやったことのある人はまずいないでしょう。
6月29日の毎日インターネット版に牧太郎さんが、同行ジャーナリストとして安部晋太郎外相に随行した時のことを、もう時効だからという雰囲気で書いています。パリで莫大な掛け金が動く"自民党ルール"のマージャンが始まり、安部外相は出発便を遅らせてまで、賭けマージャンにのめり込んだそうです。
国のトップから平のサラリーマンまで、マージャンは賭けてやるものとして、受け入れられているのではないでしょうか。でも、賭けマージャンは違法行為なのですよ。
賭け事それ自体は、殺人、窃盗、暴行と全く異なり、罪となり得ない性格のものです。 競馬、競輪、競艇、パチンコ、宝くじ、サッカーのロト、すべて賭け事です。
何が問題かといえば、誰が胴元なのかということです。国が胴元であるか、規定の税金を徴収できるヤリカタで賭けを行っているか、それともプライベートな胴元が賭け事を主催しているかどうかだけの違いで、賭博が絶対悪ではありません。平たく言えば、テラ銭が国に入るかどうかだけの違いなのです。
今回のお相撲さんが賭けた野球賭博は、主催者が暴力団だったことが問題で、それ以外はモラルに反しているとすら言えない行為です。しかもこの良心的な野球賭博の主催者、名古屋のヤクザ屋さんは、10%をテラ銭として取り、90%を配当に回していたと言います。
日本の公営ギャンブルの配当率を調べてみますと、競輪、競馬は75%で最高に良い配当で、最悪は宝くじの45.7%です。宝くじの胴元、地方公共団体、自治体が40.1%取り、14.2%は印刷その他の経費と怪しげで不透明な使われ方をしています。 天下り軍団に美味しい汁を吸わせるために、宝くじを売っているようなものです。
琴光喜、大獄親方など相撲界を追放された者は、その行為自体が罪とはいえない過失を犯しただけなのです。臭いものは外に出してしまえばそれで済む、規律を厳しくする、親方は弟子の監視教育を強めるという、毒にも薬にもならない見解で野球賭博を処理しようとすれば、将来性のある若者、お相撲さんの未来を踏みにじっただけになってしまうことでしょう。
今回の追放を決めた相撲協会のお偉方、大相撲横綱審議会、運営委員会、特別調査委員会の人々は、胴元が国であるかどうかを問わず、一度もいかなる賭け事、パチンコ、マージャンをせず、宝くじも買ったことがないのかしら。人を裁けるほど、あなた方は賭け事から超絶した生き方をしてきたのですか。
大相撲と暴力団のつながりは、確かに断ち切るべきです。相撲が近代化し、国際化してゆく中で、将来を見据え、相撲を発展させようとするなら、暴力団とのつながりだけでなく、旧態依然としたタニマチ、茶屋制度をすっぱりと切り捨てなければならないと思います。
少年の時から相撲界しか知らずに生きてきた若者の将来を、野球賭博に賭けただけで潰してしまうのは、あまりに酷です。彼らの将来を考えてあげてください。処罰以前に相撲協会の体質を変えなければなりません。そして、琴光喜は一場所、二場所謹慎くらいが妥当だったと信じています。これを機会に、立派な大関、そして横綱になる可能性を秘めているのですから。
それとも、悪貨をなくすには良貨で応じるコトワザに基づき、相撲協会が主催して、上位15番の取り組みで勝ち負けを当てる、相撲ロトを始めてはどうでしょうか。これは大いに受けることでしょうし、相撲協会も潤うことでしょう。その場合、賞金配当率は、ヤクザ屋さん並の90%かそれ以上にしてもらいたいものです。
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