■鏡の向こうのつづれ織り 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空
一. 天使の街が生まれる時  2/2
更新日2007/04/19
 


ところで天使はどこに住むのか……
神は天に人は地に
しかし天使はそれでは、どこに住むのか
考えて見れば
天使が本質的にメッセンジャーである限り
天使の居場所は
ほんの束の間、天と地に架かる、虹のたもとのように脆い
天使は常に、ここからむこうへと、なにかを託され
その他者の意思とでもいうべきラインにそって飛ぶために
自らに固有の在りようというものを持たないからである
だからもし、天使たちの住む街というものがあり得るとすれば
出来得るとすれば
それは無数の目には見えないラインの拘束から
つまりは役割から解き放たれ、あるいは脱落した天使が
そこやかしこに出没し始める時だろう
その時
彼等は一様に、ある種の戸惑いをみせる
なによりも、なにかを運ぶために不可欠なものとして
あたりまえのように自らの背に付いている翼の
その力の不思議さに……
そして初めて自らの意思で飛ぶことを決意した天使たちは
しばし至福の飛翔を続けた後、やがて
この世でもあの世でもない奇妙な空間を彷徨いながら
ふと途方に暮れる

何処へ……?
常にどこかへ向かって飛び続けて来た天使の
それは哀しい性と言ってよい
ただ、そんなとまどいの中から
翼が風を切る音の中から、やがて
天使にとっての
もう一つの夢が姿を現す
ここでもなく、むこうでもなく、どこかでもなく
そして、ここでもあり、むこうでもあるような
そんな不思議な場所と時間の中に
その形を現しはじめる

 天使の街が生まれはじめる、その時

 

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鏡の向こうのつづれ織り
定価 2,310円(税込み)
著者 :谷口 江里也
<文/写真>
発行:(株)エスプレ

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