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ヌを飼いはじめた。巷ではミニチュア・ダックスフントだらけだが、オモチャみたいなのでこれはやめにした。かといってマンション住まいなのでデカいのも飼いにくい。間をとってビーグルにしたところ、こいつがなかなかクセモノだった。ひとことでいうと、なにごとにも我が強い。飼いはじめてまだ1週間。子犬とはいえ以前実家にいた小さなプードルとはずいぶんと勝手が違うことに愕然とする日々。明け方に大騒ぎを始めたので、慌てて様子を見に行くと、全身ウンチまみれになったヤツが「このオレを早くなんとかしてくれ!」とケージの中で仁王立ち。これが3日続いた。まるで外国から2歳ぐらいのワンパク坊主を養子にもらったようだ。育児は忍耐がすべて。神様がワタシの人間としての器を試そうとしているに違いない。くじけそうになって思わず火曜日のコラムを書いてくれている井上香さんにメールを出した。「イヌも子供も両方相手にしている貴方はエライ」。(安蒜)

々、コンビニや本屋でまったく自分の生活と縁の遠い専門雑誌を読むと、思いがけない発見に出会うことがある。 その中のひとつに、「雑誌のマニアックさに比例して、その雑誌の読者欄の投書コーナーはおもしろい」という法則を見出した。 投書をするほどの人はその雑誌を隅から隅まで読んでいる→そういう人達のサロン的な意味合いを持つのが投稿欄→アツさの度合いがケタ外れ→それを本人たちは自覚していない場合多し。 という流れになる。 私はアツい人を見ると、そのアツさのベクトルが自分と全く違う方向へ向けば向くほど笑いのツボにはまってしまう。 改造車満載のヤンキー雑誌では、19歳の一児の母が夫(20歳)の浮気と家庭内暴力に耐える様を伝え、健康と生きがいが売りの老人雑誌では、親しい人を次々に亡くして喪失感にさいなまれる男性(68歳)が日々のため息をもらす。 それに応える編集諸子のコメントは、「どうでもいいよ」と思っているかもしれないが、時には同感し、励ましつつも同じ様な悩みを持つ読者の反応を掲載することで読者間の連帯感を強めていく。 要は何が楽しいかというと、濃いドラマがいろんなところで起こっていることを遠巻きに見て、そのリアルさと多様さに刺激を受けられるところか(もったいぶって書くほどのものでもないか)。 また、本人にとって厳しい状況ほど、他人にはおいしい話の種になる。 以前、女装専門誌の読者欄で、女装趣味が家族にばれたときの対応を相談するサラリーマン(49歳)の葉書には、腹を抱えて笑った。本人にとっては一大事だということはわかる。今まで苦労して築き上げた父親像がこっぱみじんになって家庭崩壊を招くかもしれない。 しかしそれは、たいがいの読者の心配事でもあるので、けっして雑誌はつきはなさない。 楽しみや悩みのツボはまさに人ぞれぞれ。他人を笑ってばかりせずに、自分のつらさを笑いに変えられる人に私もなりたいものだ。 (志岐)

れは琉球の三味線を持っている。一昨年の夏に那覇市の三味線屋さんのネット販売 でほとんど衝動的に購入した。7万円也。以前から興味を持っていたとはいえ、おれ がこういう買い方をするのはめずらしい。琉球の三味線のことをよく「蛇皮線(じゃ びせん)」と呼ぶ人がいるが、これは本土の「高級な」三味線と区別するために使わ れる蔑称。沖縄では普通に「三味線」または「三線(さんしん)」と呼ばれる。琉球 の三味線の音を聞くと、長い歴史の中で踏みつけられながらも武器ではなく芸能を選 び続けた沖縄の「底力」のようなものを感じる。さて三味線を買ったはいいがとく に習うわけでもなく、譜面の読み方はなんとなくわかってはきたものの実際には適当 にテレテレつま弾いているだけ。それでもたとえば「安里屋ユンタ」のような有名な 曲はいつの間にか弾けるようになってくる。冬の間はなぜかあまり弾く気にならない のだが、暖かくなってくるとケースの中からヤツが呼ぶ。どーれ、かわいがってやろ うじゃないか。 (山口)


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