■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から


Grace Joy
(グレース・ジョイ)



中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。




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第152回:マリファナ治療?

更新日2010/03/25


以前、アメリカで起こる前進的、革新的なことはすべてカルフォルニア州で始まると書きましたが、マリファナ公認の発端もカルフォルニア州です。その後、トップに躍り出る活躍というのか、許容度、高い理解度をマリファナで示し、マリファナ業界?の先端を行っているのが、私の住んでいるコロラド州なのです。

カルフォルニア州は1996年に医療用のマリファナを許可していますが、コロラド州はだいぶ遅れて2000年になってやっと州議会が公認しました。保守的なコロラド州がマリファナ解禁に踏み出したことにとても驚いたのを覚えています。コロラド州には、ベトナム戦争崩れや最近のイラク侵攻の際に負傷した軍人、戦争後遺症や精神障害を持っている軍人が多く住んでいるからでしょう。何とか体や心に深手を負っている人たちを助けてあげようと意図したのでしょうか、今ではスターバックコーヒーのお店より多くの薬用マリファナ専門店がオープンしてしまったのです。

マリファナ専門店には綺麗に飾られ、昔の薬局のように何十もの透明の大きな広口ビンにマリファナがディスプレイされています。産地別に詳しく分類されたラベルが貼られ、さらにラヴェンダー、イエローマンゴー、ジャスミンなどの香りが添加されたものや、当店のスペシャルミックス、今一番人気の銘柄と、まるでワインの専門店に迷い込んだ雰囲気です。デンヴァーの町だけでも484軒ものそんなマリファナ専門店があります。まさに雨後の竹の子とはこのこんなことを言うのではないかしら。

それじゃ、日本からマリファナ喫煙ツアーをオーガナイズして大挙してコロラドにやってくるのではないか…という心配はいりません。残念でした。一応、薬用と銘打っていますから、マリファナ購入にはお医者さんの処方箋が必要なのです。でもこれだけたくさんのマリファナ薬局が繁盛しているところを見ると、気軽に処方箋を書いてくれるお医者さんがたくさんいることになりますね。 

お医者さんが、この患者さんはマリファナが必要であると認めたら、州はマリファナ喫煙許可カードを発行します。マリファナIDカードです。それを持って行って初めてマリファナを買い、吸うことできるのです。

今、このカードの発行を待っている人が2万人いるといいますから、これからもマリファナ薬局は栄えそうです。

医療用マリファナを一旦許可した州政府もあまりのブームに、チィとやりすぎたかなと考え直したのでしょう、学校の300メートル以内に新しいマリファナショップはダメとか、許可証も5,000ドルに上げるとか、新しい薬局の許可には高い垣根を設けるようになりました。喫煙するのも町の通りでは禁止、21歳以下の患者?さんは、2人以上のお医者さんの処方箋が必要とかの条件をつけるようになりました。

でも、一度火が付いてしまったブームを鎮めることは難しいことです。

今まで、マフィアの財源だったマリファナ販売を政府公認で行えるようになったのですから、メキシコ、ジャマイカなどからマリファナを運び、街中で売っていた人たち、ドラッグ・ディーラーや売人が減ってきました。これはプラスの影響でしょうね。ドラッグ・ディーラーも政府で公認されては商売上がったりなのでしょうね。

ドラッグ・ディーラを追いかけていたお巡りさんたちは、アルバイトでマリファナ薬局専門のガードマンのアルバイトをするようになったと、地元の新聞に出ていました。

幸いなことに、周りの州ではマリファナは麻薬扱いで禁止されていますから、コロラド州にマリファナ治療?のためやってくる患者さん、主に元軍人ですが、増えています。コロラドで診断を受け、マリファナを吸おうというわけです。

右を見ても左を見ても、アメリカでは不景気な話ばかりです。古い商店街のお店は軒並みに閉店しています。オヤ、お店が変わったな、と思ったらマリファナ専門店になっていることが、私の住んでいる田舎町ですら珍しくありません。

これからの成長産業、雇用促進として、日本でもマリファナ治療を許可してはどうかしら。

 

 

第153回:旅の疲れか、疲れる旅なのか?