第359回:ゴミを出さない、造らないライフスタイル
アドリア海に浮かぶハヴァール島に来て10日になります。ゴミだらけの悲惨な状態だったプエルトリコ、狭い旧市街の片隅や砂浜にゴミが目立ったイビサ島、中国からの流れてきた??と現地の人がこぼしている沖縄の海岸のゴミ、それに私たちが訪れたカリブの島々に比べ、この島は驚くほどきれいです。
大きな川がどこにもないので、内陸から汚い水やゴミが海に流れ出すことが少ないということもあるでしょう。でも、それ以上に島の人たちが自分の家の庭だけでなく、公共の道路や海岸をきれいに保とうといつも掃除しているから、こんなにきれいな町並み、海岸を保つことができるのでしょう。ホウキを手に道路を掃いている人の姿をよく目にします。
10日経って驚いたことですが、私たちがゴミバケツに溜めるゴミも、小さなビニールの袋一杯分にもならないのです。ココへ来る前に日本で友達の2階を借りて、自炊していましたが、その時のゴミの量の多さに比べると、5分の1いや、10分の1以下でしょう。
日本ではゴミの分類がうるさく、なかなか一生懸命リサイクルを試みていると感心していました。でも、はじめから出るゴミの量が膨大…と呼びたくなるほどの量なのです。スーパーで何を買うにも、必ずパッケージに入っており、スタイロフォームのお皿にサランラップがかかっています。それに、日本はお土産、贈り物文化??の発達しすぎた国ですから、中身よりも箱の方が立派な包装がもてはやされており、立派でかっこ良い箱とショッピングバッグがどんどん溜まっていきます。
この島で家庭から出るゴミが少ないのは、まずスタイロフォームのお皿に乗った野菜、果物、肉、魚が皆無だからでしょう。
今日、朝早くもう顔なじみになった屋台を出している八百屋のお兄さんの店に行きました。野菜の種類は、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、キャベツなど超基本的なもの8種類だけ、果物はリンゴと初物の苺だけで、もちろんすべての買い物は私のバックパックにガサガサと入れます。さすがに、苺だけは激薄のビニールの袋に入れてくれますが、ともかくゴミになるのは生ゴミだけ、それも大家さんのコンポスト用の穴に捨てますから、回収ゴミの出ようがないのです。
魚屋さんは、漁師が海から帰って来たとき、小さな船の横の桟橋に蚤の市のテキヤさんが大店舗に見えるような、チッポケな板を箱の上に置いただけで、そこに獲って来たばかりの魚を並べます。なんでも、カツオやイワシでも大きいのが大量に獲れたときには、本土で水揚げするそうで、この島に上がるのは小魚ばかりです。さすがに、魚はビニールの袋に入れてくれます。
ゴミはどこの町や国でも大問題です。ゴミを細かく分類してリサイクルするより、最初からゴミになるようなパッキングをなくする方がよほど理に適っていると思うのですが…。
うちの仙人によれば、大昔彼が幼少の頃? 日本でも魚は薄皮(木か竹を薄くはいだものでしょうか)と新聞紙だけだったなあ~、と言っとります。八百屋さんも新聞紙一本やりで、新聞紙を三角に折り、上手に使っていたと…懐かしんでいます。
それに、この島にはペットボトルを撒き散らす自動販売機のタグイがありません。もう、私たちは地球で処理できないくらいの、スタイロフィームとペットボトルのゴミの山を築いています。私たちが極力スタイロフォームとペットボトルに入ったモノを買わないことくらいしかできることはないのかしら…と、基本的にはライフスタイルの問題だとは分かっていても、自分が属する社会、使い捨て、ゴミ量産型社会の中にあっても、少しでも地球を汚さないで生きたいと、この島の人たちの生活を見て、シミジミ思いました。
第360回:世界文化遺産と史跡の島
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