■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から


Grace Joy
(グレース・ジョイ)



中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。




第1回~第50回まで
第51回~第100回まで

第101回:外国で暮らすこと
第102回:シーザーの偉大さ
第103回:マリファナとドーピングの違い
第104回:やってくれますね~ 中川さん
第105回:毎度お騒がせしております。チリカミ交換です。
第106回:アメリカのお葬式
第107回:不況知らずの肥大産業


■更新予定日:毎週木曜日

第108回:ユニホームとドレスコード

更新日2009/05/07


ロンドンでG 20会議が開かれた時、金融関係の建物だけでなく、銀行マン、証券マンがデモ隊の槍玉にあがり、彼等にまでバッシングが及んでいるニュースが流れていました。

初めてヨーロッパに行った三十数年前には、シティーの金融マンは山高帽にダークスーツ、硬く棒のように巻いた雨傘と、まるで絵に描いたような服装で闊歩しているのを見ることができたものです。

今ではさすがに山高帽と雨傘は持ち歩かなくなったようですが、仕立ての良い三つ揃い背広がユニホームになっており、それがデモ隊の標的になるので、金融会社ではできるだけラフな服装で通勤するようお達しを出していました。

日本人のユニホーム好きは、日本に住んで初めて知りました。小学生の黄色や赤の帽子はとてもかわいらしいのですが、中学生、高校生となり、黒か紺の暗い制服に身を固めるようになると、とても異様に見えました。そのうち気がついたのですが、制服にこだわり、規制のやかましい学校ほどレベルが低いようなのです。

日本のサラリーマンの地味な背広も一種の制服ですね。こちらの背広制服組みのレベルが低いとは言いませんが。

アメリカは他の国に比べ服装の規正が緩いと言っていいでしょう。東部のエリートお金持ち専用の全寮制学校以外、まず制服などありません。私が長いこと携わっている大学関係は、とりわけ服装には無頓着な職場です。生徒も教授もジーンズにTシャツで当たり前です。学会ですら、背広を着ているのは教科書や教材を売っている会社の人だけ、とまでは言いませんが、少数派です。

私の弟や義理の弟はハイテック会社で働いていますが、そこはもっと服装に拘らない職場のようで、春から秋にかけてほとんど全社員が短パンにサンダル、スリッパ履きで出社し、社長さんや部長さんも掃除のオジさんも服装では全く区別がつかないそうです。

会社が見るのは、どんな仕事をどのようにこなしたかだけで、出社時間も、退社時間も本人の自由判断だと言いますから、逆に非常に厳しい実力主義なのでしょう。

プロスポーツでは、それぞれ意匠をこらしたユニホームをデザインし、ファンならユニホームだけで、どこのチームかすぐに分ることでしょう。

チームの選手に対する規制、ドレスコードなら、どうぞお好きなようにと見逃しますが、千葉ロッテマリンーズはなんと記者に対してドレスコードを押し付けたのです。ロッテのスタジアムの中、例えロッカールームで取材する時、記者のジーンズ姿は遠慮願いたい、スエットパンツ、スウエットシャツなどのトレーナーなどもってのほかというお達しなのです。

基本的にジャーナリスト、たとえスポーツ記者であっても、取材する相手と親密な関係を築き上げると同時に、大切なのは、たとえ相手を一時的にしろ傷つけることがあっても強く批判する精神を持つことでしょう。ロッテのドレスコードにハイハイと従うような、太鼓持ちの記者はハナから批判精神に乏しく、ご都合記事しか書かないことでしょう。チームにとって必要なのは、反骨精神旺盛な建設的批判なのですが。

このあまりに次元の低いドレスコードは、ロッテの事務局が作ったのでしょうか、ロッテさん、そんなことにこだわっていると、優れたスポーツ記者にソッポむかれ、チーム事態がレベルの低い中学校のようになり、弱体化しますよ!

 

 

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