アメリカは移民の国だが、海を越えずに(時には川を越えるけれども)陸続きで移民の流入が激しいのはメキシコからである。国境を接するアメリカ南西部に多く住んでいる訳だが、そこから北へ東へ移動する人もいる。もちろん陸路だけでなく、メキシコ・シティからシカゴに流れる主要ルートもあるとか。二世、三世になって大学や就職で街を変わる人もいるだろう。彼自身、チカノ(メキシコ系アメリカ人)で、ニューメキシコ州からカリフォルニア州、ニューヨーク州へと移動してきている。移住・移動することは当地の文化に順応することであり、また自分たちの文化を書き直し適応していくことであり、そこには物理的にも文化的にも、あらゆる形の継続と分断がある。上の作品には、ニューメキシコ州のアルバカーキとメキシコの首都、メキシコ・シティが描かれている。
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