この作品は、スタジオ訪問した際にはまだ制作中で、その次の週、グループ展のオープニングで完成作品を見た。建物の詳細がぐっと描き加えられていた。
実はこの作品、現在いくつかの作品で彼が取り組んでいる新しいものが入っている。3ヵ所、空の右端(クリックすると分かりやすい)と、左端、左寄り中央に、あるイメージがかすかに入っているのだ。
メキシコの聖母、つまりグアダルーペのマリアの服に描かれている草花の線画である。グアダルーペのマリアとは、褐色であり、スペインから持ち込まれたキリスト教だけでなく、土着のアステカの信仰との混合から来たのではないかと言われているらしい。
メキシコの象徴とはいえ、すでにもう文化の融合を表しているアイコン。世界の至るところで常にゆっくり現れているものかもしれない。しかしこの融合、必ずしも両者からの歩み寄りではなく、一方の思惑によりあみ出されたアイコンかもしれないけれど。
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