この作品はキャンバスの絵画作品でありながら、インスタレーション作品でもある。
中央の正方形の部分が切り取られ、そこに少し幅の細い切り取られたキャンバスが上の方を奥の壁に持たせかけるようにして立てかけてあるのだ。この写真では両脇の影が見えているので検討がつくだろうか。そのタイトルである“Camino
Real(王の道)”が正面に開けているかのように遠近法を立体で表しているように見える。
このCamino Realとは、メキシコのメキシコ・シティーからアメリカはニューメキシコ州サンタ・フェまで通じている16世紀からある古い道である。メキシコとアメリカの国境にあるため、スペイン領土となり、南部がメキシコとして独立、北部がニューメキシコとしてアメリカ領になり、そしてアメリカ国土になる、という重要な歴史の舞台となってきた。300年以上に渡る移民の出入りにより、家畜や農業、スペイン語、キリスト教など、文化伝播の道でもあった。
彼が描いたのはその道程にある街、国境にあるテキサス州エルパソ、ニューメキシコ州南部のラス・クルーセス、そしてミューメキシコ州最大の街、アルバカーキである。
|