原園 綾
(はらぞの・あや)

1967年生まれ。世田谷区立赤堤小卒。ニューヨーク在住。大きくなったら何になろうかな?

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第4回:この夏、水族館で進化

さて、アメリカの学校はすっかり夏休みに入りました。学校以外にも社会参加ということで、コニーアイランドにあるニューヨーク水族館のボランティアに申し込んだのだ! 面接に行ったら周りはどうも高校生ばかり…。親と一緒にきてる子もいるぐらい。もちろん大人もwelcomeで、面接でも「夏以降も参加してもらえるなら助かるわー」と研修担当のスーザンが言っていた。

が、実際研修に集まったのは高校生140人に大人が6人。丸6日間の研修をティーンエイジャーと過すことに。ケッケッケッ。オーストラリアの高校へ通った交換学生時代にタイムトリップしたみたい。そりゃ、20歳も年下のコたちのなかに入っていくのは無理あります。しかし「何年生?」なーんて聞かれたら、それはないでしょ、と喜んだりしているオバハンカッパであった。

高校生の英語は早いしいろんなアクセントがあってわかりずらいし、なんたってどう接したらいいのか戸惑い、最初のうちは疲れちゃったゲコ。でも6日間もあると何人かの名前と顔は覚えた。タイから来たぺギー、中国系のおしゃべりなハンナ、ポーランド人のおっとりしたアレクサンドラ、生粋のアメリカンでやる気のない現代っ子的ダニエル、西インド諸島から来た、大柄で優しそうなアレン、カナダから来た中国系のケリーなどなど。インターナショナルスクールみたい。さまざまな肌の色、国の出身、宗教といて、自分が全然特別な外国人として目立つことはないので楽なんだケロ。

まるでNYのハイスクールにもぐり込んだような状態で受けたトレーニング。その内容がびっくり。かなりしっかりしていた。水族館にいる動物の説明から自然保護、パブリックスピーキング(人前での話しかた)、いかにプロとしてお客さんに接するべきか、職場におけるセクハラとは、といった仕事に関することから、自分と向きあうこと(弱点も長所も夢も含めて)、いかに自分の殻から抜け出すか、失敗することを恐れないようにするか、といったことをテーマに、初対面同士の高校生たちの心をゲームなどで解きほぐしながら考えさせていくのだった。

印象的だったのは、初日に「10年後の夢を書いて下さい」と紙が配られて、その数日後に「さあ今度は、学校のことや経済的なことなど、いろんな事情を考えずに、もし何も制約がなかったら10年後どこで何をしていたいかを自由に考えて裏に書いて下さい」と言われた。その内容が表裏同じだった人と違った人がいるわけだけど、「夢を実現した人たちは、アインシュタインなど天才も小さい頃は成績よくなかったり、失敗したりしてたけれど、共通しているのは諦めなかったこと。そして何も不可能なことなんてない」と。諦めるなとか、失敗してもやりなおせるとか…。まだ挫折も絶望もほどんどが経験してないであろう高校生を対象に真摯に伝えていたの。いろいろ方向転換してきたカッパのための研修じゃないかと思っちゃったゲーコ。

ボランティアの研修というよりは高校生が自由に伸び伸びと生きる人間になれるよう な研修って感じで、担当のスーザン(カッパと同じ歳くらいかなあ?)の人柄とプログラミングに非常に感心した。エライっ! さすがアメリカ、ボランティアやインターンシップの制度が充実していて、いろんな所から人材も集まってくるんだな。じつはスーザンもボランティアから始めて職員になっている。そしてこの仕事に誇りをもっているし楽しんでるのがよーくわかって気持ちよかった。

ボランティアは今週から週に一回ぐらいのベースで始まります。ゆくゆくは動物の説明やお客さんの質問に答えたりするので、自分で選んだ動物を各自調べていまーす。この夏は高校生とともに進化でやんす。

 

→ 第5回:オットセイのコルドバよん


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