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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から
 

第933回:ノーベル平和賞はどこへいく・・・

更新日2026/02/26 



トランプ大統領は何んとしてでもノーベル平和賞が欲しくてたまらず、ノルウェー政府に圧力かけたり、交換条件を出したり、悪あがきをしていましたが、遂に平和賞メダルを手にしました。

瓢箪から駒という諺にこれほど当てはまった事件もないでしょう。
2025年のノーベル平和賞はベネズエラの反政府運動を国外で展開していたマリア・コリーナ・マチャド女史に与えられました。ベネズエラのチャベス(Fugo Rafael Chavez Frias)大統領は不正な選挙で自ら主席になり、独裁政権を敷いていると、マリア・マチャド女史は反チャベス運動をしていました。

そこへ、トランプ大統領はベネズエラ本土に攻撃を仕掛け、強引にチャベス本人と妻のマリサベル・ロドリゲス(Marisabel Rodriquez de Chaves)の両者を誘拐してアメリカの牢屋に入れてしまったのです。

反チャベス感情に燃えているノーベル平和賞の受賞者マリア・マチャド女史は、こともあろうかトランプに彼女が受けたノーベル平和賞のメダルをトランプに贈与したのです。もちろん、ノルウェーのノーベル平和賞委員会の了解など得ていません。贈るマチャドもマチャドだが、それをそんじゃ貰っておこうかと受け取ったトランプもトランプで、最悪のサル芝居の極みです。

これほど奇妙な取引もありません。マチャドはトランプに後押ししてもらい、ベネズエラの元首になろうとしている下心が見え見えで、トランプは喉から手の出るほど欲しかったノーベル平和賞を、メダルだけですが、手に入れたのです。

例えば、ノーベル文学賞受賞者が勝手に他の作家に譲るのは、滑稽極まりないことを想像してみてください。ノーベル平和賞といえば、シュバイツー博士やマザー・テレサ、そしてイランで人権に取り組んでいるノルゲス・モハマンディ、そしてフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ、最近では日本原水爆被害者団体協議会、そして国際連合世界食料計画などが受賞している、とても意義と権威のある賞でした。

受賞者の誰も、どの団体も受賞を個人や団体だけの私財、私腹を肥すためとは取っておらず、世にそんなことをしている人がいるのか、そんな団体があったのかと存在を知らしめ、彼らが行ってきた無私、無欲の活動をより広く、深く続けていく動力にするのが常でした。

ところが、FIFA(国際サッカー連盟)の会長さん、ジアンニ・インファンティーノがFIFA平和賞なるものを創造し、それをトランプ大統領に贈ったのです。

インファンティーノ氏はスイス生まれのイタリア人で、IOCの委員も務め、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、他アラブ語までこなす国際人です。2018年、ロシアのサッカーワールドカップを成功させたり、カタールという今までそこにそんな国があったの?というほど知られていなかった産油国、オイルマネーが有り余るほどあるカタールに2022年のワールドカップを持って行ったり、世界の動向を読み、それを反映させ、実行に移した人物です。政治に鼻をつっこみすぎだと非難する声が盛んに上がっています。が、インファンティーノは今年、アメリカ、メキシコ、カナダで開かれるW杯を目前に控え何を言い出すか、何をし出すか分からないトランプにFIFA平和賞なるもの捻り出し、贈ったのです。

ヨーロッパを中心に2026年、アメリカ、メキシコ、カナダのW杯をボイコットしようという動きがあるのをインファンティーノは敏感に感じ取っての平和賞創設、そしてトランプに授与したのでしょうか?  もし開催国が世界平和に貢献しているというなら、当然メキシコとカナダの元首にも受賞の権利があるでしょう。


もう一つ、トランプ大統領が捻り出した『平和評議会』(The board of Peace)なるものから初の平和賞を自身に与えているのです。この『平和評議会』はトランプ曰く、国際連合より“マトモ”な国際機関だと謳い上げていますが、参加国は極右の政権国か独裁国、アメリカの盛大な援助を受けている弱小国、ISISやアルカイダに手こずっている産油国だけなのです。ヨーロッパでは極右政権のハンガリーだけ、あとはアルバニア、コソボ、ウズベキスタン、カザフスタン、産油国のカタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビアといったところで、とても地球全体の国々とは呼べないトランプを崇め奉る国か、もしくはしょうがなくトランプを支持している国だけなのです。
 
トランプ大統領は次々と大統領令を発しています。その中でも地球温暖化などあり得ない、あれは民主党のシンパサイザーが作り上げた、いわばでっち上げのデータだと言ってはばからず、それどころか一切の自然エネルギー利用、風力発電、太陽電池、水力発電などへの敷設資金などの援助を絶ったのです。

その代わりと言って良いのかしら、油と石炭をどんどん使え、それらはかってないほどクリーンなエネルギーなのだと詠い出し、アメリカの石炭産業を後押し始めたのです。アメリカの石炭鉱山は文字通り小躍りして喜び、それまで誰も聞いたことない賞“美しき綺麗な石炭チャンピオン賞”(Chanpion of Beatiful Clean Coal)をトランプ大統領に贈ったのです。
 
いったい、自己顕示欲の塊のようなトランプ大統領はどこまで、どんなふうにやるのでしょうか? 音楽の殿堂であったケネディーセンターにトランプの名前を入れ、飛行場、ニューヨークの駅もトランプの名を冠するように働きかけています。

確かに、ニューヨークの飛行場はJFK、ワシントンDCのはダラス、そしてもう一つはレーガン空港と呼ばれていますが、彼らが国に貢献した業績を讃え、議会で名称を与えたもので、歴代の大統領の誰も自分で命名したのではありません。それを俺の名前を世に残すのだとばかり現職の大統領が矢継ぎ早に自分の名前に改名、命名した例はありません。


このコラムではあまり直接的に政治的見解を書かないように心掛けていましたが、トランプのやり方を見ていると、どうにも抑えが効かなくなり、つい私的な憤りをぶちまけてしまいました。ごめんなさい。

 

 

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えていました。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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