第267回:オリンピックと女性の参加
日本に行くたびに感じるのですが、どうも男性に、とりわけ若い男の人に、覇気というのか、溌剌としたエネルギーが感じられず、女性の方が(すざましい馬力のオバタリアンだけではなく)活き活きしているように見えます。
なんだか、日本の男性は元気がないように見えます。もっとも、私のダンナさんの同級生たちは、長いこと働き詰めた後、定年退職していますから、もう燃やすエネルギーなど残っていないのは分かるのですが、20代、30代の若者に気力がないように見えるのです。
お相撲でも、上位の方は外国人ばかりですし、粘り強い良い相撲をとるのも外国人ばかりです。
今年はロンドン・オリンピックの年です。古代ギリシャのオリンピックでは、男だけが参加でき、観衆も男オンリーで女性は見ることも許されなかったことはよく知られています。競技者も素っ裸の振るチンでした。かのクーベルタン男爵が近代オリンピックを再開した時も、選手は男だけとマッチョなことを考えていたフシがあります。
近代オリピックで、大大的に、積極的に女性の参加を謳い上げたのは、ナチス・ドイツが主催したベルリン大会でした。
レネ・リーフェンシュタール(女性です)が製作したベルリンオリンピック記録映画は、未だに名作とされていますし、本当に素晴らしい映画です。このオリンピック記録映画のノーカット版は、とても日本の映倫が通さないでしょうし、アメリカの一般映画館では上映されないイントロダクションがあります。
ギリシャ神話もどきの素っ裸の男女、若人のオンパレードが続々と登場するからです。ダンサーであり、登山家であり、彼女自身スポーツウーマンだったレネ・リーフェンシュタールの肉体への礼賛と、ナチスのアーリア人種信奉がこんなイントロを生んだのでしょうか。
ナチス・オリンピックは聖火リレーを創案したり、女性の参加の門戸を大きく広げた役割はあったのです。
今では、西欧諸国のほとんどの国や日本からの参加者の半数は女性によって占められています。今回のロンドン・オリンピックへの日本からの選手団でも、女性が男性を上回ることになりそうです。
サッカーの"なでしこジャパン"は"大和なでしこ"と自虐的に名付けたとしか思えないほどの、ガッツ、執着力、タフネスを見せてくれました。選手たちもコンビニのアルバイト店員をしたり、遠征旅費を捻出するため、サッカーだけやっていればよい男子選手とは、全く別の苦労をしていたようです。日本にはアイスホッケーの女性チームがあるくらい、あらゆるスポーツで女性が活躍しています。
ところが、未だに女性の選手を送り込んだことがない国があるのです。ご想像のとおり、いずれもアラブ、モスリムの国で、サウジアラビア、ブルネイ、カタールの三つの国は未だにオリンピックの女子選手を一人も出していません。
サウジアラビアは、イギリスで暮らす国籍がサウジアラビアの女性を馬術の選手としてオリンピック参加を認める方針のようですが、オイルマネーがフンダンにある二つの国カタールとブルネイから、女性のスポーツ選手が出るのはまだまだ先のことになりそうです。
第268回:自分はイイけど、お前はダメの論理
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