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最近、私がもっとも関心を抱いている取材対象は“プロゲーマー”と呼ばれる人々だ。プロゲーマー、すなわち、“職業としてゲームを遊ぶ人”である。コンピューターゲームの分野で稼ぐには、ゲームの制作者になるか、雑誌などでゲームの攻略記事を書くという方法がある。しかし、プロゲーマーはプロ野球選手やF1レーサーのように、ゲームをプレイすることで賞金やスポンサー料を稼ぐのだ。 プロゲーマーのルーツは、アメリカで賞金を懸けたゲーム大会が発展したものだが、昨年は韓国でもプロゲームリーグが誕生した。そしてついに日本でもプロゲームリーグが立ち上がろうとし、プロゲーマー候補生が続々と名乗りを挙げている。 さて、プロゲーマーを目ざす人とはどんな人なのだろうか。そして、彼は何を求めてプロを目指すのか。直接、プロゲーマー“BRSRK”氏の言葉で語ってもらおう。 ----------------------------------------------- 今から3年ほど前、ネットワークゲーム『QUAKE』の大規模な大会がアメリカで開かれた。その大会の優勝者はThreshという驚異的な強さを誇るプレイヤーだった。Threshは大会の賞品として『QUAKE』の生みの親のジョン・カーマック愛用のフェラーリと賞金が贈呈された。 そのニュースを見て非常に衝撃を受けた。なんでゲームの大会でフェラーリが貰えるんだ!? 賞金も貰えるんだ!? 当時の私には「アメリカンドリームってこの事なんだなー」と、自分がアメリカに住んでないことを悔しく思った。 今思えば、プロゲーマーという新しい職業が誕生する発端となったのがこの大会だったのではないか。数年前まではプロゲーマーという言葉は存在していなかったわけだし、この大会をきっかけにさまざまなリーグが発足し、のちに複数のプロ、アマのリーグが発生した。そういう大会をWEBなどでチェックしながら、なぜ日本はゲームの先進国なのに、こういうものが誕生しないんだ? と不思議に思っていた。 去年韓国で、『WCGC』というゲームの世界大会開かれた。私は日本代表選手の権利を勝ち取り、大会に招待選手として参加したが、不本意な結果に終わった。次元の違う強さをまざまざと見せつけられ、他の日本代表選手たちと一緒に「自分たちはどうすれば良いのか?」と話し合った。日本にプロリーグが無いから競争意識が生まれにくいのではないか?──それが結論だった。 いまの自分はプロゲーマーとしての最終的な年収目標を3千万円にしている。現実には不可能かもしれないが、プロになり、経験を積み、どれだけその金額に近づくことができるか? これもプロになったときの楽しみかただと思う。日本のネットワークゲームはまだまだこれからだ。自分たちの世代からは、世界に向けて飛躍するスーパープレイヤーは誕生しないかもしれないが、次の世代からは自分たちを見てプロを目指し始めたプレイヤーが世界にはばたくかもしれない。自分たちを踏み台に、あとに続く世代が素晴らしい結果を出してくれるかもしれない。自分たちはそうやって現在の「ゲーマー」という言葉の持つマニアックなイメージを変えていきたいと思う。 BRSRK ----------------------------------------------- 日本のプロゲームリーグは年内にスタートする予定で準備が進んでいる。今後、私の連載の偶数回は、松崎氏にも登場してもらい、当事者の目で感じたことを綴ってもらおう。この新しいムーブメントに際し、ぜひ読者諸兄にも“時代の証人”となっていただきたい。
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