■くらり、スペイン~愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻

湯川カナ
(ゆかわ・かな)


1973年、長崎生まれ。受験戦争→学生起業→Yahoo! JAPAN第一号サーファーと、お調子者系ベビーブーマー人生まっしぐら。のはずが、ITバブル長者のチャンスもフイにして、「太陽が呼んでいた」とウソぶきながらスペインへ移住。昼からワイン飲んでシエスタする、スロウな生活実践中。ほぼ日刊イトイ新聞の連載もよろしく! 著書『カナ式ラテン生活』。kanasol.jp



■愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻
第1回:スペイン万博公団も私も気合い十分(1)
第2回:スペイン万博公団も私も気合い十分(2)
第3回
日本で有名なスペイン人、アンケート結果(1)
第4回:日本で有名なスペイン人、アンケート結果(2)
第5回:グルメ界のギャラクシー軍団日本上陸
■移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻(連載完了分)
■イベリア半島ふらりジカタビ、の巻(連載完了分)

■更新予定日:隔週木曜日


第6回:愛知万博スペインパビリオンを、よろしくね!

更新日2005/05/05


愛知万博が、始まっている。日本での盛り上がりは、どうだろうか? スペインでも、テレビや新聞などで、スペイン・パビリオンのことが紹介されている。ちなみに、「サムライの子孫」ハポン姓の人々を紹介するビデオで説明をしているのは、フラメンコ人生まっしぐらの別嬪さん、Kさん(「移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻」参照)である。会場に足を運ばれた方は、ぜひ注目していただきたい。

ご存知のように(たぶん)、今回、私もちょっとだけ、スペインパビリオンのお手伝いをさせてもらった。もともとは昨年5月、スペイン万博公団の広報部長のCさんと意気投合して決まった話だというのは、このコラムで伝えたとおり。それから私は、「流しの広報請負人」として個人的にあちこちに記事を書いてきたのに加えて、スペインパビリオンの公式サイトの日本語ページのリライトを担当させてもらった。これまで私を生かしてくれたスペインへの恩返しができる最良の機会でもあると思って、ありったけの心を尽くして、わかりやすく楽しい文章に整えた。

この公式サイトでは、万博期間中、私の日記形式のコラムも掲載される予定になっている。それもCさんとの話から生まれた企画で、12月には本格化したのだけど、結局、システムが整わなくて、いまなお始まっていない(こういう国なのだ)。万博閉幕までにはなんとか始まるといいのだけど……と思いつつ、のんびりと成り行きを見守っている。ひとりだけ焦っても、動く国ではないのだから。


たくさんのスタッフが、いま、日本へ行っている。でもそこに、日本行きをあんなにも楽しみにしていたCさんの姿はない。秋口から体調を崩して自宅療養していた彼女は、万博開幕まであと10日というときに、亡くなってしまったのだ。

40代だったと思う。チャキチャキした自立した女性で、とても心が温かく、広々としていて、そして私へのスペインへの思いを誰よりもすごくよく理解してくれた。最初に逢ったのが彼女だったという幸運があったからこそ、私が愛知万博でのお手伝いを担当させてもらうことになったのだ、と、心から、そう思っている。

この愛知万博関連でもずっと一緒に動いてきたミゲルという仲良しの友人と、訃報を聞いた日に、話した。「あの明るくて、美人で、気取ったところがなくて、なにより心が温かく、そして凛としていた彼女だからこそ、私たちの心に残した鮮やかな記憶を通じて、頑張れ、前に進めって、ずっと励まし続けてくれている、そんな気がするね」と。

本当に、そんな気がするのだ。実に素晴らしいひとだった。いまでも彼女の笑顔を思い出すと、心が晴れやかなきもちになる。

天国から、ひょっとしたらCさんは、愛知万博のことなんて見てないかもしれない。マドリードからはるばる帰った故郷のビルバオで、ゆっくり休んでいるのかもしれない。彼女の短い人生の最後の一年に何回か逢っただけの私のことも、ひょっとしたら覚えてなんかいないかもしれない。

それでも、かまわない。Cさんは私にとって、愛知万博との縁を生んでくれた天使のような女性だったし、その明るさで、いまでも目の前の道をあたたかく照らし出してくれている。

だから、こうして私を今日も生かしてくれているスペインへの感謝のきもちに加え、 Cさんへの感謝のきもちも込めて、愛知万博スペインパビリオンのことをできるだけ、応援したいと思っている。よろしかったら、これを読んでくださった方も、ちょっとだけ応援してあげてください。……しかし、果たして日記は、無事にスタートするのか!? ま、それも含めて、スペインなのだから仕方ないか。私が愛した……。


「あなたのようにスペインに住んで、この国をよく理解して、愛してくれているひとに、スペインと日本が出逢うところに立ってほしいの」
彼女の言葉が、これからもずっと、私の背中を押してくれそうだ。
 Que en paz descanze, 安らかに眠らんことを。

 

(完)
2005.05.05

 

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