■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。
第3回:ゆるゆるモードにはまる。
第4回:「おんな」を満喫!
ブラジル人女性。

第5回:漢字が流行ってます。
第6回:買い物もひと苦労?
第7回:選挙もお祭りなのね
第8回:アマゾンのサムライたち
第9回:市民の足は爆走バス
第10回:こんなものを食べてます-その1

■更新予定日:隔週木曜日

第11回:音楽と騒音の境界線?

更新日2005/01/13


こんにちは、めだかです。

ブラジルと言うとやっぱりサンバのような賑やかな音楽が似合うイメージでしょ? たしかに大晦日のイベントでも、ニホンのようにお寺の鐘がゴ~ンと鳴って厳かに新しい年を迎える…なんてのとは全然違って、とにかく陽気なリズムに合わせて踊りながら年越しをしていた。みんなホントに音楽好きで、どこでも音楽が流れているし、自分たちが楽しんでいる時でも、親切にも周り人たちにもその"音"を聞かせてくれる。それはまあいいんだけど…。

何しろステレオやラジオの音量がハンパじゃなく大きい。静かな昼下がり、人気のない住宅地を歩いてみても、各家の中から思い思いの音楽が信じられないボリュームで流れてくる。最初は何事かと思ったけどこれはごくフツーのこと。アパルタメントだって、ご近所を気遣いつつ音量調整、などということはないようで、各家庭ともでっかい音で楽しんでいる。

友だちの家に遊びに行った時もそれは同じ。階下ではお父さんがステレオのボリュームを最大?というくらいに上げてブラジル演歌調の音楽を流していて、でもそんなことにはお構いなしに2階では友だちの好きな音楽をまたドデカイ音量で聴きながら、大きな声で話をするという図なのだ。

彼女の家に日本からの友人たちを連れて行った時も例によって大音量で音楽が流れていたが、その中でフツーに会話が始まり出したので、さすがにこれではコミュニケーションが難しいわ、とめずらしくこちらから頼んでボリュームを下げてもらった。面白かったのはその音量が知らぬ間にまたジワジワと上げられていたこと。家の人が無意識のうちにつまみを回していたみたい。小さい音だと聴いた気にならないのかなぁ。

この状況は戸外においてはもっとハゲしい。週末や祝日の前夜、町の広場やバー、軽食屋などには大勢人が集まり、それぞれに楽しいひと時を過ごしているが、ここがまたすごいことになっている。BGMとして店が曲をかけるのはわかるけど、耳に入るのはそれだけではない。いや、そのBGMをかき消すくらいの大音量で、お客さんの"自家用スピーカー"から音楽が流れてくるのだ。

音楽好きが高じてか何か知らないけれど、こちらでは車のトランクにでっかいスピーカーを備え付けているのをよく見かける。そんな車を店の真ん前に停め、ひたすら自分たちの好みの音楽をガンガン流して楽しく飲むというわけ。最初にこれに遭遇した時は目がテン状態だったけど、お店の人も他のお客さんもまったく気にせず、むしろその音楽を楽しんでいるかのよう。音楽は好きだけど、こんな風に左右の耳から違う曲を、しかも頭痛がするくらい大音量で聴かされたら、もうそれは騒音だと思うんだけど、ここでは音楽として見なされているみたいだからフシギだ。

でもまぁここまでは良しとしよう(少しは慣れたし…)。きっとみんな大きな音で賑やかに音楽を楽しむのが好きなんだな、大らかだから色んな音楽がゴッチャに混ざっても気にしないんだな、とすっかりアマゾン化(?)したワタシは寛大に構えることもできる。でもやっぱりモノには限度ってのがあるでしょう?

まだ来伯して日も浅いある夜のこと。今日はずいぶんくたびれたなぁ、そろそろ寝るか、と寝床に入ったのだけど、少しするとすぐ近所の広場の方から「ツー、チェック、ツー」というコンサート前のマイクテストのような声が聞こえてきた。えーなに? まさか、もう11時過ぎだよ、と耳を疑っていると、しばらくしてそのまさかのコンサートが突如大音響で始まった。ちょうど日比谷の野音か何かのすぐ隣で寝ているような感じ。あまりのことにボー然となりつつも疲れてるから早く寝たいしと、もだえながら眠ろうと無駄な努力を試みた。

何とか浅い眠りについたかという頃、またコンサートの盛り上がりに起こされる。時計を見ると午前3時半!  いよいよ佳境に入ったようで、キャー! という観客の声もビンビン響いてくる。もう抵抗する気もなく、あきらめて起きてしまった。アンコールらしいものもあって、やっと終わったのは朝の4時過ぎだった。もう近所のニワトリはコケコッコーと鳴いている。勘弁してよ~と思いつつ、ベッドに戻った。

後で友だちに尋ねてみたら、コンサートが夜の11時に始まるのは普通のことで、大体明け方まで続くという。「近所から苦情は出ないの?」と聞いてみたが、「もうみんな慣れちゃっているから」の一言で終わり。えーそんなぁ…。騒音公害なんて言葉はないのね、ここには。その後も何度となく夜中のライブには遭遇しているけど、町に貼られたポスターを見て、「あ、今夜またあるよ」と前もってわかったときは、もう先手を打って始まる前に寝てしまうしかない(それも難しいけど)。

果たしてベレン滞在中にこの"騒音"に慣れるようになるのだろうかと疑問に感じつつ、慣れてしまうのも問題かもなぁと思っているこの頃です。

 

 

第12回:あやしいポルトガル語講座