第12回:あやしいポルトガル語講座
更新日2005/02/10
こんにちは、めだかです。
ベレン暮らしも1年近くになるけれど、いまだに言葉には苦労している。その昔ポルトガルの植民地だったブラジルの言葉はポルトガル語。単語は英語のスペルと共通するものがたくさんあるけど、文法はずっと難しいと思う。特に複雑なのは時制や人称によって七変化する動詞で、活用表を見てるだけでクラクラしてしまう。ブラジル人の友だちは、「私だって全部覚えてないし、みんな間違ってるんだから安心して」。なんて言うけれど、それにしても大変。とは言え、新しい言葉を知るというのは未知の世界への扉を開くことになるし、ワクワクすることでもある。
ポルトガル語をかじるようになって初めて知ったのは、サッカー選手の"ロナウド(Ronald)"という名は、本当は"ホナウド"と発音するのだということ。Rは後ろの綴りやその位置によって発音がハヒフヘホになる。だから、たとえば日本人で「りか」という名前の人は、ブラジルでは"ヒカ"と呼ばれてしまうのだ。
それから"CHI"は"チ"でなく"シ"と発音されるので、ブラジルでも人気のジャッキー・チェンは"ジャッキー・シェン"と呼ばれている(ちょっと弱そう?)。そして、子どもに大人気のポケモンは"ピカシュウ"とシュークリームの一種みたいな名前になっている。
ちなみによく知られているようにポルトガル語が語源になっている日本語はけっこうある。シャボン、カッパ、パン、コップ、ボタン、カルタ、コンペイトウなどなど。毎日使っている「ありがとう」はポルトガル語の"オブリガード(=ありがとう)"、「ごちそう」は美味しいという意味の"ゴストーゾ"から来ているらしい。
そんなことを知るとちょっと親しみを覚えたりするが、日本語とポルトガル語はやっぱり文法も単語もまったくと言っていいほど似たところがないように思う。それでも何とか楽しく学ぶために、個人的にしょーもない共通点を見つけることをささやかな喜びにしている。
たとえば、文の最後につけて「~ですよね?」と相手に同意を求めたり、軽く尋ねたりするときの言葉は、ポルトガル語でも"~ネ?"(nao
e?が縮まってそう聞こえる)。まだポルトガル語に全然耳が慣れていない頃、この"~ネ?"の響きが耳にやさしく、親近感を覚えたものだ。それに自分でも使いやすいので連発している。
日本語で「~ですよね?」と聞かれて同意するときは「ええ」と言うけれど、ポルトガル語でもそういうとき"エー"と答える。これはいわゆる英語のbe動詞にあたる語が"e"というのでそれを使っているのだが、音としては日本語の「ええ」と同じに聞こえる。同じように、人の話を聞いて「あー、そうなの?」と軽い驚きを示す言葉は"アー、エー?"。これもお気に入りの表現で、最近は日本語を話している時でもつい使ってしまう。
いつでもどこでもよく使われるあいさつの言葉は"オイ"(英語の"Hi"と同じ)。簡単だし使いやすいんだけど、日本語で「おい」っていうのは、エラぶってるおじさんが誰かを呼ぶときにも使われるので、初めのうちはちょっと抵抗感があった。もうすっかり慣れたけど…。
それから、最近はあまり使わないのかもしれないけれど、「たんと食べなさい」の「たんと」。ポルトガル語にtantoという語があって「多く」とか「すごく」という意味。何だか似てるでしょ。ちなみに「あなたをとても愛している」は"チアモタント"という。これは響きがかわいくて好きな表現だ。
日本語と同じような発音で意味が違うのが"バカナ!"。これは「すばらしい!」という意味。それから、ポルトガル語の"サカナ"は「下品な」の意。こういうことは、日本語を勉強しているブラジル人に教えてあげるとすごく喜ぶ。
何と言っても、ブラジル人はおしゃべりが大好き。家族や友だち同士はもちろん、たまたま居合わせた人とだっていつの間にか話が弾んでいるのをよく見かける。いつも会話を楽しんでいる彼らに混じり、ワタシもポルトガル語でもっと一緒になって楽しみたいなぁと思う。語学の勉強はザルで水をすくうようなものだという名言を日々実感しつつ、今日も何とかガンバッテます。
大いに盛り上がった友だちの誕生パーティ。
ブラジルでは誕生会はとても大事なイベントだ。
第13回:さらにのんびり郊外暮らし