第905回:忖度と自主規制 、そして報道管制へ
これはかなりと言っていいのか、相当ダンナさんの見解に基づくのですが、“忖度”という言葉はもともと思いやりに近い良い語感が強かったそうですが、数年前の政治がらみで忖度が乱発されてから、他の人の心中を察する気持ちに、自分が所属する党派、当然それには自分の保身や利益も含まれているのですが、見返りを期待する汚れた言葉になってしまったのではないかと言うのです。2017年の流行語大賞になったくらいですから、日本で一気に流行り出したのでしょうね。
“端倪”(ヘイゲイ)、こんな言葉、今では誰も使わないでしょうし、知らないでしょうね。私も知りませんでしたが、化石的に古いダンナさんが教えてくれて知りました。端倪は事実、根拠に基づいて成り行きを推測する意味だそうで、忖度のような、どちらかといえば自分勝手に推し量る意味合いがなく、そんな古臭い、誰も使わない言葉は消えてなくなる運命にあるのでしょうね。
元?言語学者だった私に言わせれば、このように言葉は使われ方によって意味、持ち味?が変化していくものです。それが言葉に生気を与え、良い意味で言葉を発展させていくのです。が一方で、この忖度のように政治的意味合いが多い使われ方をすると、正面切っての意見を隠してしまうことに繋がります。一種の自己規制が芽生えるのです。早く言えば権力者にオモネル、追従する姿勢に繋がりやすくなります。
このようにアメリカ的忖度で主にアメリカの中南部の小中高の図書館から、黒人奴隷の歴史、ナチスドイツの行ったホロコースト関係の本が追放されています。それは保守的なキリスト教団体が圧力をかけ、子供たちの感情を傷つけないために、そんな本は図書館に置かないと決めたのです。これほど滑稽な禁書は聞いたことがありません。子供たちから知る権利を奪っていることに学校関係者が気づいていないようなのです。と同時に、子供たちが自分で判断するための情報さえなくして、与えていないのです。
同様のことがアメリカの報道の世界にも起こっています。
アメリカのテレビ放送は、現在人気が下降線の一途を辿っているとはいえ、4大チャンネルが牛耳っています。他のニュース放送、CNNやMSN系、BBCアメリカがのしてきているとはいえ、ABC、CBS、NBC、Foxの4つが未だにメインのチャンネルになっています。
まず、NBCの人気ニュースキャスターであり、アメリカで最も信頼されているレスター・ホルツ(Laster Holt)が、ニュース番組を降り(降ろされ?)三面記事的な殺人、ミステリー事件番組のレポーターに移籍されました。ワシントンポストははっきりと「レスター・ホルトの場所を変えての降格はNBC局内の左遷だ、トランプ政権のあり方に常に批判的な立場を取っていたレスター・ホルツへのバッシングだ」と、論評しています。
そしてもう一方の雄、ABCのニュースキャスター、テリー・モラン(Terry Moran)は、契約切れを理由にもう再契約はしないという一種合法的に首を切られたのです。彼もあまりに直接的に現政権を非難したせいだと言われています。
CBSは2025年の1月にトランプ政権が発足すると同時にニュースキャスターを入れ替えました。これらはすべて、直接トランプが圧力をかけたと言うより、テレビ局が自ら生き残るために自主的に規制したのでしょう。
もう一つのFoxは、右寄りというよりトランプベッタリ、提灯持ちのテレビ局ですから、政府からの圧力はなく、あるのはセックススキャンダルやセクハラだけで、まずまず安泰です。
国営のPBSテレビは、早くから自主規制をし、ニュースキャスターを入れ替えていましたが、予算を大幅に削られ、存続が難しくなってきています。
ボイス・オブ・アメリカは、トランプの一声で閉鎖されました。そんな権限が大統領にないにも関わらず、しかも全く違法なのです。
このように、大統領の意向を汲んで、大統領令の一声で閉鎖される前に、自主規制をする傾向が強まっているのは、報道管制の第一歩で、民主主義にとって、とても危険なことです。
これらは今までオオラカに謳い上げてきたアメリカ民衆主義に根本から逆行するもの、破壊するものです。
忖度から自己規制へ、そこから報道管制へは、あとホンノ一歩なのです。
-…つづく
第906回:外国人は辛いよ・・・
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