のらり 大好評連載中   
 
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から

第590回:スーパーリッチな世界の億万長者

更新日2018/12/13



日産自動車のゴーン会長が脱税容疑で逮捕されたニュースは、本家ルノーのあるフランスだけでなくアメリカにさえ大きな衝撃を与えました。ルノー株がゴーンさん逮捕のニュースとともに15%も下がったほどです。日本ではもっと大きなショックを与えたことでしょう。なんせ潰れかかった日産を建て直したゴーンさん、まさに救世主のようにアガメタテラレてタテマツラレていましたから…。

彼の日本だけでの年収が99億円を越していたのを、48億円ほどしか申告していなかったというのが容疑のようです。個人所有の企業は別にして、日本の大企業でそんな大それた給料を貰っている人はいません。トヨタ、ホンダ、ソニーの社長さん、会長さんでも、ゴーンさんの何分の1、10分の1以下の年収です。

そこで、私自身には全く縁のない世界のことだと知りつつも、『フォーブス』誌の“世界億万長者ランキング”を覗いてみました。2018年度の統計ですが、年収が1ビリヨンドル(1,100億円相当かしら、あまりに天文学的数字なので、換算がスムーズにできないです)のスーパーリッチな人が世界に1,826人いるのだそうです。

『フォーブス』誌が自ら認めていることですが、この統計に載らない、税制の確立していない国の王族、ドル換算にできない資産を持っている人、裏街道の人で税金を全く払っていないコロンビアやメキシコのドラッグディーラーなどは含まれていません。これらの人たちは長者番付を横目で見ながら密かにほくそ笑んでいるかもしれませんが…。

トップはアメリカのインターネット販売会社“アマゾン”の社主ジェフ・ベゾスで、常勝のビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットを抜き、個人資産は150ビリヨンドル=15兆ドル、年収は1分間に23万ドル(2,500万円相当;年112億ドル=1兆2,000億円相当)を稼ぎ出していることになります。一個人がこんな巨額の収入を得ていることは、いかに合法的であろうとも、社会悪のように感じます。 

『フォーブス』誌の世界の億万長者リストで近年著しい傾向は、中国人の台頭です。100位以内に中国人が香港を含め11人もいるのです。“10セントホールディング”のポニー・マーさん、“アリババ”のジャック・マーさんなど、圧倒的にインターネット関連、インターネット通販を含め、IT関係が多く、私のように古い教育を受けた人間には、一体中国の共産主義はスーパーキャピタリズム、資本主義を超える、凌駕する超資本主義のように見えます。アラブ産油国の王様たちが貧乏に見えるほどです。

日本人も3人いました。ソフトバンクの孫正義さん(39位;227億ドル)、ユニクロの柳井正さん(55位;195億ドル)、ハイテックの滝崎武光さん(68位;175億ドル;キーエンス)です。

インターネットでの通信販売(なんだか古臭く聞こえますね)は、ジェフ・ベゾスやジャック・マーを例に挙げるまでもなく、非常に儲かる良い仕事のようです。ジェフ・ベゾスがインターネット通販を始めたのは自分が読み終わった本をインターネットで売ったのがきっかけで、問い合せが多いのに驚き、友達の本、図書館からの払い下げなどに手を広げて行った末、世界のアマゾンになったというのです。

今ではアマゾンを通じて買うことができないモノは、核兵器とヘロイン、コカインなどのドラッグだけだと言われるくらいになりました。西海岸のシアトルに本部を置いていますが、東部、ニューヨーク、ボストンにもセンターを設置することになりました。そして、日本、中国市場も視野に入れ、日本支社を開くことも想定していると言いますから、アリババ、楽天も安心していられません。

アメリカではサンクスギビング明けの金曜日を“ブラックフライデー(黒い金曜日)”と呼び、1年中で一番大きなショッピングデーです。デパート、ショッピングモール、大きな家電屋さん、スポーツ用品店などの前に、前夜からキャンプまでする、バーゲンハンター(大売出しを狙うお客さん)が出るほどで、早朝に店のドアを開けると、ドットばかりに店内に駆け込み、狙いの商品をいくつもカートに積み込む風景が年中行事、風物誌になっていました。ですがここ数年、徹夜組が寒空の下早朝に長蛇の列をつくることが少なくなりました。 

今まで“サイバーマンデー”と呼ばれていた、サンクスギビングの週末明けの月曜日から始まっていたインターネット・バーゲンセールが“ブラックフライデー”を食ってしまったからだと説明されています。ウォルマートでアルバイトしている私の生徒さんも、普段の日より少し忙しい程度だったと言っていました。何もわざわざ徹夜したり、長い行列を作り、何時間も持ち、争うようにショッピングをしなくても、同じような値段かもっと安く、しかも消費税なし、送料無料でインターネットで買う方が特だということでしょうね。ますます、ジェフ・ベゾスやジャック・マーさんが儲かるゆえんです。

アメリカの“アマゾン”と中国の“アリババ”はこれから激戦になり、競争相手になるとみられていますが、両者とも非常に冷静で、“アリババ”のジャック・マーは、「トレード・ワーほどバカげたことはない」とまで言い切り、自由競争を大歓迎していますし、ジェフ・ベゾスも、「インターネット通販は一種の虚業で、次なる新たな波に飲み込まれる危険性がある」と堅実な製造業でない危険性を漏らしています。

柄にもなく、私には縁のない世界の大金持ちのことを書いてしまいました。

-…つづく

 

 

バックナンバー

このコラムの感想を書く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Grace Joy
(グレース・ジョイ)
著者にメールを送る

中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

■連載完了コラム■
■グレートプレーンズのそよ風■
~アメリカ中西部今昔物語
[全28回]


バックナンバー

第1回~第50回まで
第51回~第100回まで
第100回~第150回まで
第151回~第200回まで
第201回~第250回まで
第251回~第300回まで
第301回~第350回まで
第351回~第400回まで
第401回~第450回まで
第451回~第500回まで


第501回~第550回まで

第551回:山の異変と狼回復運動
第552回:雪崩れの恐怖
第553回:ウィッチハント(魔女狩り)ならぬウィッチ水脈探し
第554回:フリント市の毒入り水道水
第555回:無料で行ける公立大学
第556回:“偏見のない思想はスパイスを入れ忘れた料理”
第557回:新鮮な卵と屠畜の現状について
第558回:ベティーとマイクのマクドナルド・ファーム
第559回:時計を読めない、正しい英語が書けない世代
第560回:日本の英語教育に必要なこと
第561回:スクールバスと幼児誘拐事件
第562回:アメリカではあり得ない“掃除当番”
第563回:プライバシー問題と日本の表札
第564回:再犯防止のための『性犯罪者地図』
第565回:“風が吹けば桶屋が儲かる”_ Kids for Cash
第566回:卒業と就職の季節
第567回:歯並びは人の品格を表す
第568回:アメリカ異人種間結婚事情
第569回:アメリカのマリファナ解禁事情
第570回:一番幸せな国、町はどこですか?
第571回:日本人は“絵好み(エコノミー)アニマル”
第572回:お墓はいりませんか?
第573回:火気厳禁~異常乾燥の夏
第574回:AIの進化はどこまで行くの?
第575回:暑中御見舞いとゾッと涼しくなる話
第576回:落雷か? 熊か? ハルマゲドンか?
第577回:山の中のミニ音楽祭
第578回:たかがラーメン、されどラーメン…
第579回:由々しきアメリカの教育問題
第580回:不幸はまとめてやってくる
第581回:オーティズム(自閉症)と人生相談室
第582回:報道の自由、言論の自由

第583回:Homo currere;走る人、90Kmウルトラマラソン
第584回:自分で性別を選べる時代
第585回:二人のノーベル平和賞
第586回:パラサイト学生と苦学生
第587回:“虚像的英雄”が成功の秘訣
第588回:個人が戦争を始めた話 “Good Time Charlie”
第589回:激増する中国人留学生

■更新予定日:毎週木曜日



  TOP-トップページ》 《コラム一覧 》 《のらりインタビュー》 《コラム・バックナンバー
……………………………………現在連載コラム……………………………………
新・汽車旅日記 】 【店主の分け前 】 【イビサ物語
 【亜米利加よもやま通信 】 【よりみち
………………………………掲載完了イチオシコラム………………………………
[拳銃家業 ] [貿易風の吹く島から ] [ くらり、スペイン ] [グレートプレーンズのそよ風 ]  
  [フロンティア時代のアンチヒーローたち ]

   

このサイトに関するご意見・ご感想・お問い合わせはこちらまで。
Copyrights 2018 Norari