第6回:いろんなお鼻そろってまーす
更新日2002/11/21
集団遺伝学や統計遺伝学の基礎とはいえ、バリバリの生物学と数学まで入ってきてカッパの目は白黒白黒! おかげで使ったことのなかったルートやなんかの計算機の機能も使えるようになりました。
ある人口が、一定の傾向に進化せず安定した均衡状態にあるかを計算したり、将来の人口バランスを計算したり。まあ、進化の仕組み全てがクリアでない以上、算出される答えも100%確実ではないにせよ、よくこんな計算式を導いたものだにー。あるいは大先生達かなり暇を持て余してたんじゃないのか!?
ひと通り数学部門が終わってやっと進化話へと入ってきたぞ。環境への適応によって体のしくみが変化する例として、気候の違いがどう体を変えるのか? 暑い所では、汗を出して体内の温度を調整しないといけない。寒い所では、無駄なエネルギーを使わないよう新陳代謝を下げる。
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鼻といえばこの人?
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その結果どうなったか?
アフリカなど暑い所の人はヒョロヒョロと細長く、極寒の地、極端な例でいうと氷河期を過ごしたネアンデルタール人などは、ずんぐりむっくり、がっしりタイプ。これは人だけでなく他の哺乳類でも見られる傾向。
その科学的説明は、表面積と体重の関係。表面積の割合が高ければ熱を放散しやすい。体重が重ければエネルギーを作りやすい。小さいつくりと大きいつくりを比較すると、大きい方が体重あたりの表面積の割合が小さくなって、熱を失う率も減るじゃーん。おまけに皮下脂肪、筋肉は防寒の効果あり。寒冷地での理想の体型は球体ですって。ケケケッ! カッパ寒冷地使用になりつつありんす。
でもね、じゃあ、同じアフリカでも細いけど背の低いピグミー族はどうなんだ? あーそれは、どうも湿度の問題らしいっすよ。湿度が高いと発汗の必要が減るらしい。
うーん、でもでも、背の高さと湿度ってそんなに関係あるんか? きっと他の理由もあるはずだじょ。本には足の長さは成長期に寒さにさらされると繊維質の代謝が低くなって伸び悩むともあったぞ。でもピグミー族は寒さにはさらされてなさそう。あ、あと栄養も成長に当然影響ありでっしょ。
面白い話にお鼻の形の決まり方。鼻の穴が小さく長いか、大きく短いか。つまり高いスーっとしたお鼻か、ペチャ鼻か。これがやはり湿度と温度に左右されたんだって。寒くてドライな空気を吸ったら肺に届く迄にできるだけ暖めて湿気をもたせないと危ない。その際有効なのが細くて長い鼻の穴。
ふむふむ、授業を聞きながら自分の鼻や隣の人の鼻を思わず確認したくなってしまう。NYですから教室内に色んなお鼻そろってますのよ。
毛むくじゃらのサルから毛が減って、ヒトは汗をかいて暑いアフリカの地で熱に対処できるようになって、アフリカを出たら寒冷地での低温と乾燥に対応すべく高めのお鼻ができましたとさ。毛むくじゃら逆戻りしないのが不思議だよね。
高い鼻の逆の例では、同じ寒さでもアジアでは凍傷を防ぐのに血液の循環をよくするため、凹凸のない平面顔が有効だったとか。そういった痕跡が肌の色や顔体の形にまだ残っているなんて、ヒトってずいぶん単純ね。これからもっともっと人種が混ざってその痕跡が見て取れなくなるほどになるかな? かなり先の話けろっ。
→ 最終回:カッパ、師走だ走れ!