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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から
 

第890回:抜きん出た女性たち その8

更新日2025/03/13



ビルーテ・ガルディカス(Birutė Marija Filomena Galdikas;1946~)

ビルーテは霊長類3人組、俗に類人猿三羽烏と言われているチンパンジーのジェーン・グドール、ゴリラのダイアン・フォッシーに比べると、オラウータンのビルーテは一般的な意味で知名度は低いかもしれません。でも、ジェーンやダイアンの業績に決して劣るどころか、オラウータンの行動、家族構成、そして森林伐採でオラウータンを絶滅に追い詰めている私たちへの警鐘を大きく鳴らしている点でも優っているかもしれません。

ビルーテ(Birute Marija Filomena Galdikas)と一風変わった名前、苗字は、彼女がリトアニア人だからでしょう。でも生まれたのは西ドイツのヴィースバーデンで、両親がソビエト共産圏の枠から逃れて西ドイツへ亡命し、そこで生まれたのでした。鉱山技師だった父親はその後カナダに移住しましたから、ビルーテが実際に教育を受けたのはカナダのトロントです。

少女時代から、自然、森、エキゾチックなジャングルに憧れを持っていたようです。
カナダからロスアンジェルス(UCLA)に移り、動物学と心理学で学位を取っています。そこで、本格的文化人類学を勉強し、修士課程を終えています。

そのUCLAで、若い考古学者、ケニア生まれのルイース・リーキイ(Louis Leakey)と出会ったことが大きな転機になったのでしょう、ちょっとゴシップめきますが、ルイースは5歳の時に当時人類最古の化石とされた頭蓋骨を発見し、それから彼女の父親(考古学者でした)の指導よろしきを得て、古生物学者として有名でしたから、ビルーテがインドネシアのボルネオに行き、オラウータンのフィールドワークをするようになったのは、多分にルイースの助言、勧めがあったからだと言われています。
 
1970年代、比較的大人しいオラウータンはペットとして(当時でも違法でしたが)檻の中で飼われる動物で、生態はほとんど知られていませんでした。また熱帯雨林に住む、外からの接触を嫌う、許さない動物だとみなされていたのです。
 
ビルーテがボルネオのジャングルでまるでオラウータンと一緒に暮らすかのように過ごし始めたのは、彼女が25歳の時でした。ビルーテはボルネオ島のタンジャング・プーティング(Tanjung Puting)地域で、オラウータン社会の一員であるかのように生活したのです。

チンパンジーの研究ですでに高名なジェーン・グドールもビルーテの調査を後押しし、『ナショナル・ジオグラフィック』誌に推薦し、野生、自然の写真家、ロッド・ブリンダモアをボルネオに送りました。その時のビルーテの記事を私は未だに忘れることができません。

若くて綺麗な女性が、オラウータンの集団、家族の中でオラウータンの子供を抱いている写真は衝撃的なほどでした。オラウータンの子供、赤ちゃんはすっかり安心して抱かれているのです。
 
ビルーテは実に細かくオラウータンの食性、家族構成、生態を世界に知らせ、国際オラウータン機構を創設し(1986年)、オラウータン保護に乗り出したのです。

彼女のように、一つのことを成し遂げている研究者、科学者、文化人類学者に驚かされるのは、その情熱と集中力です。ビルーテは実に40年以上もの長期に渡り、ボルネオのオラウータン社会?の中に入り込み、観察し、ユニークな報告を次々送ってくれたのです。
 
アメリカ国内での反響しか分かりませんが、『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』『ロス・アンジェルス・タイムズ』、そして多くのテレビドキュメンタリーに取り上げられたのです。

インドネシア政府も当初、オラウータン保護に乗り出し、ビルーテの運動に共感を示し、積極的に協力していましたが、大きな財政の力(結局はお金ですが)に押され、ジャングルを伐採し、金のなる木、椰子の木の樹園にし、また金鉱が発見されたりで、オラウータンの生活圏を急激に狭めて行ったのです。

ビルーテの熱帯雨林、オラウータン保護運動がますます熱気を帯びてきていましたが、とても開発を止めることはできませんでした。

ビルーテの運動、強いてはオラウータンのフィールドワークがあまりに彼女の人間性を主体にし過ぎているという非難は当初からありました。オラウータンを客体視せず、のめり込み過ぎて、実態を客観的に観ていないというのです。

そんな批判は、主に大学の研究室に閉じこもっている先生たち、ほんの2、3年、しかも年に数ヵ月フィールドワークをしているだけの先生たちなんでしょうね。ビルーテのようにオラウータン一筋に、40年以上も同じジャングルで過ごしてはいないのです。関連して、オラウータンの棲む熱帯雨林保護に打ち込み、熱帯雨林伐採に反対するあまり、国際的、政治的に傾き過ぎていると言うのです。

でも、それはビルーテの社会的運動がボルネオのオラウータン保護が起点になっているにしろ、そこから出発し、地球規模の熱帯雨林保護に繋がって行ったのは素晴らしいことだと思うのです。一つのことに長年打ち込むのは、そう簡単に誰でもできることではありません。

Birute-01
ビルーテ・ガルディカス
<Birutė Marija Filomena Galdikas;1946~>

 

 

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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