第420回:コロラド州のマリファナ解禁は順調!?
コロラド州でマリファナが解禁され、法の整備、地方自治体(アメリカでは郡と市)の認可体制も明確になってから数年経過して、マリファナ解禁のプラス面、マイナス面がはっきりと浮かび上がってきました。
マリファナの販売は医療用とレジャー用に分けられますが、売っている(買うことができる)マリファナは同じものです。ただ医療用としてマリファナを購入する際、お医者さんの処方箋が必要で、その処方箋とお医者さんの証書で、マリファナ医療カードなるものを作らなければなりません。
カードを持っていると、薬扱いとしてかなり割引になります。そのマリファナ医療吸引者カードの発行に15ドルの費用がかかります。このカードの発行を受けた人は、コロラド州で11万4,290人になります。
レジャー用に購入する人は、店(マリファナショップと呼ばれる専門店)で身分証明書を見せて、王室御用達ではないでしょうけど国家公認のマリファナを買うことができます。新聞や雑誌で見ただけですが、その種類の多さに驚かされます。先日、英文学の先生の引退パーティーでも、後ろの庭にたむろしていた教授グループの方から、昔懐かしいマリファナの香りが漂ってきました。
コロラド州内だけで、認可を受けたマリファナショップは698店舗あり、スターバックスコーヒー店が216店舗ですから、その3倍以上存在していることになります。しかし、マリファナショップは大都会に集中する傾向があり、地方自治体の71%は自分の管轄区にマリファナショップ開店の認可を与えていません。ですから、コロラドの田舎の保守的な町では、手持ちのマリファナを吸っても違法ではありませんが、買うことはできないのです。
レジャー用マリファナには25%の特別消費税がかかります。その税収入は、昨年、9千万ドル(108億円相当)にもなりました。また、付随する経済効果というのでしょうか、マリファナを栽培する人、乾燥させ商品にする人、小売店の店員さんなど、すべて州政府の免許や登録が必要ですが、それらの人を総計すると1万5,992人の人がマリファナ関係で食べています。 この数は、コロラド州の高校の先生の数とほぼ同じです。
タバコのように煙を吸うのが苦手な人のために、マリファナ入りのチョコレート、ケーキ、クッキーなどが売られていますが、そのマリファナ入り商品も馬鹿にならず、それらのマリファナ入り食品は500万個売れています。これらの商品の製造、販売にも州政府の認可が必要です。
このように2014年にコロラド州で消費されたマリファナは74トンになります。乾燥させたマリファナはとても軽いものですから、重さで74トンというのは、大変なボリュームになるでしょうね。
心配されたマリファナ絡みの犯罪はほとんどないと言ってよいくらいで、マリファナ吸引の影響が残ったまま運転して事故を起こした数は、酔っ払い運転、携帯電話で話しながらの運転、テキストを送信しながらの運転事故に比べ、無視できるほどでした。
先生たちのパーティーでも大っぴらにマリファナを吸う光景が珍しくなくなりました。大学のキャンパス内はタバコの喫煙も禁止ですから、マリファナも一応禁止です。でも、学生さんたちのパーティーでは"マリファナのないパーティーなんてあり得ない"風潮はあるようです。 それは私の学生時代と変わりませんね。
マリファナの解禁で他のドラッグが消える、少なくとも減るという見通しは、期待はずれに終わりました。簡単に家庭の台所で作れる(そうです)メスインフェデミィ(危険、違法ドラッグ)は、マリファナ解禁とは無関係に広がっています。
何でも薬屋さんで処方箋なしで買える鎮痛剤や風邪薬をどうとかして、成分を取り出し、強いドラッグに精製するそうですが、日本で名づけたようにホントウに危険な麻薬です。こんな田舎町の新聞にも、毎週のように危険ドラッッグ精製所(団地の中の普通の家です)が摘発され、売人が捕まった記事が載るようになりました。
タバコより中毒性が低いとされるマリファナと、他のドラッグとは全く別のことだと考えるべきでしょうね。
退役軍人で、戦争の後遺症、トラウマを持った人たちが、神経障害やトラウマから逃れるために、軍人年金のほとんどすべてをマリファナにつぎ込んでいるのを見ると、"あんたたち、もう一度戦争をしていた国に戻り、現地の人たちと一緒に生活を共にしてきた方がイイんじゃない。マリファナに頼るのはアマエですよ…"と言いたくなります。
まだまだ、様々な問題をはらみながらもコロラド州のマリファナ解禁は順調です。
第421回:雪不足と庭の緑の芝生の関係
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