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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から
 

第893回:アメリカを滅ぼす私兵軍団

更新日2025/04/03


トランプ政権は混迷を極めています。一つだけはっきりしているのは、トランプ支持を謳っている限り、何をしても許されるお墨付きを持っていることでしょうか。

2020年の国会議事堂襲撃、乱入事件は、アメリカの歴史始まって以来の大惨事、珍事で、警察官二人が殺され、多数負傷しました。襲撃犯は残された映像から識別、認定され、200名近く逮捕されていました。

ところが、トランプ大統領は殺人犯を含め全員釈放したのです。FBIの膨大な調査は無に帰したのです。それどころか、トランプはFBIの長官の首をすげ替え、その上、FBI職員を大量解雇さえしています。

その時、国会議事堂襲撃に加わった右翼、ネオナチスなどのトランプ支持者は公然と私兵団を組み、大きな組織になっています。誰も取り締まる人、警察、FBIがいないのですからもう増長し放題になってきたのです。
 

以下は、たくさんある私兵軍団の一つの例ですが、私たちが住むコロラド州を本拠にしているので取り上げてみました。
 
トランプ大統領が狙撃され、耳にかすり傷を負った事件は日本でも大きく報道されたことでしょう。狙撃犯のトマス・クルークはその場で射殺されたので、詳しい事情、背後関係は未だに明かになっていませんが、トマスはいかなる政治団体にも所属しておらず、また、彼のパソコン、携帯などから、背後関係は掴めず、単独犯だという見方が大勢を占めているようです。
 
ところが、トランプ支持派の中でも極右のグループは、トマスは民主党が送り込んだスナイパーだと信じているようなのです。彼らは、今、事件をアメリカの危機と捉え、第二次市民戦争を起こすか、そのための準備をしなければならない……と飛躍し、実際に動き出しています。
 
デリュー・ミラー(Drew Miller)は、ハーバード大学で博士号を取得したエリートです。彼の博士号論文は核戦争にいかに備えるか、地下にどのようなセンターを構築すべきかというモノだそうで、強迫観念が強く、危機感を持った人物のようです。

その危機感のあり方が問題で、彼は地球滅亡、とりわけアメリカが第二の南北戦争に陥る、いや彼らのグループがもう一度南北戦争を起こすべきだと考えており、そのための準備を今からすべきだ、それにはまず広大なコンパウンド、基地を作り、そこに少なくても1年間は立て篭もり生活ができる食糧はもとより、トイレットペーパーの果てまで蓄える、そこまでは良いのですが、膨大な数の銃火器、弾薬まで貯蓄しているのです。

そのような砦を、彼は“不屈の牧場”(Fortitude Ranch)と名付け、全米に十数箇所設ける予定なのです。今のところコロラド州とテキサス州だけですが、オレゴン州に“不屈の牧場”の建設を準備しています。
 
私の妹のダンナさん(元警察官)は、ミラーの“不屈の牧場”のメンバーではありませんが、第二次市民戦争が起こることを懸念し、自分の家の地下にAR−15だか、M-16だか戦争用の機関銃、ピストル、弾薬、そして食糧、水などを蓄えています。

こうした“不屈の牧場”を造り、維持するには大変なお金が掛かるでしょう。その辺り、私が心配してあげる必要はないのですが、1,000人いるメンバーが寄付したり、武器を持ち寄ったりしている上、ヘッジファンドの億万長者、レイ・ダリオが大量にバックアップしています。

ですから、資金面での心配はご無用という、実に豊かな運営なのです。メンバーは定期的に射撃訓練をし、なんせ現役、退役の軍人や警察官が多いので、射撃の指導官には事欠かないようなのです。

もちろんメンバー全員に行き渡るどころか、一人に3~5丁の武器が行き渡るくらい蓄えていますし、弾薬もコロラドの“不屈の牧場”では、一人当たり13,000発の弾丸を蓄えていると高らかに宣言しています。

困ったことにAR−15やM-16のような、戦争、市街戦で使うような武器、機関銃は、アメリカで合法的に購入できるのです。ただ、ミサイルやバズーカ砲、戦車こそ買えませんが、護送車のように鉄砲、機関銃を受け付けない改造車(外見はアフガニスタンで走らせていた小型、軽量のタンク、戦車のようです)は、専門の改造会社が造り、それらを保持しています。

核兵器は公には持っていないことになっています。しかし、核攻撃に耐える地下壕、地下の司令室を設ける計画だと、自慢げにミラーはコメントしています。

レポーターによれば、この“不屈の牧場”は基地内で取材が許された例外的なところで、他にこのような組織、末世思想にかられた私兵軍団が50以上はあるだろうと述べています。

デリュー・ミラーの“不屈の牧場”はこのようにレポーターを受け入れ、もちろん公開していない裏の部分もあるでしょうけど、自分たちの存在を明らかにしているのは例外で、このような私兵軍団のほとんどは秘密結社のように社会の目から全く隠れ、密かに行動しており、その存在さえ明らかでない団体がたくさんあります。

その中に、ネオナチのような団体から極右の団体まであり、国会議員の中には公然と極右私兵軍団を支持する、あるいはその手のメンバーであることを公然と主張している者もいます(ケンタッキー州の下院議員トマス・マッシーのように…)。

武装軍団は、武器弾薬を蓄えているのは自衛のためだとノタマッテいますが、どこまでが自衛なのか、相手が攻めてくる前に攻撃するのも自衛なのかは明らかではありません。しかも、現時点での私兵軍団はトランプ支持を強く打ち出しているので、何をやっても許される体質を持っているのです。

アメリカでこのような私兵軍団を野放しにしておくことは、国にとってとても危険なことなのですが…。

 

 

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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