■TukTuk Race~東南アジア気まま旅


藤河 信喜
(ふじかわ・のぶよし)



現住所:シカゴ(USA)
職業:分子生物学者/Ph.D、映像作家、旅人。
で、誰あんた?:医学部で働いたり、山岳民族と暮らしたりと、大志なく、ただ赴くままに生きている人。
Blog→「ユキノヒノシマウマ」





第1回:Chungking express (前編)
第2回:Chungking express (後編)
第3回:California Dreaming(前編)
第4回:California Dreaming(後編)
第5回:Cycling(1)
第6回:Cycling(2)
第7回:Cycling(3)
第8回:Cycling(4)
第9回:Greyhound (1)
第10回:Greyhound (2)
第11回:Greyhound (3)
第12回:Hong Kong (1)
第13回:Hong Kong (2)
第14回:Hong Kong (3)
第15回:Hong Kong (4)
第16回:Hong Kong (5)
第17回:Hong Kong (6)
第18回:Hong Kong (7)
第19回:Hong Kong (8)
第20回:Hong Kong (9)
第21回:Hong Kong (10)
第22回:Shanghai (1)
第23回:Shanghai (2)
第24回:Shanghai (3)
第25回:Shanghai (4)
第26回:Shanghai (5)
第27回:Shanghai (6)
第28回:Shanghai (7
第29回:Shanghai (8)
第30回:Peking (1)
第31回:Peking (2)
第32回:Peking (3)
第33回:Peking (4)
第34回:Peking (5)
第35回:Peking (6)
第36回:Peking (7)
第37回:Peking (8)
第38回:Guilin (1)
第39回:Guilin (2)


■更新予定日:毎週木曜日

第40回:Guilin (3)

更新日2007/01/11

翌朝、この街に点在する観光スポットのうちで、その造形が象が鼻で水を飲む姿に似ているということから名付けられたという象鼻山と、いかにもニュッキリという表現がぴったりな、地面からそこだけが突き出した山の独秀峰へ向かった。

川べりから近づいて見る象鼻山は、海岸などでよく見かける、山の端に切り立った崖の部分が、ぽっかりとドーナツのように真ん中がくり貫けているという形をしていた。

感想としては、まあ象が鼻を出して水を飲んでいると言われても、「そう言われればそう見えないこともないかな…」という程度のもので大した感動はなかったが、この象鼻山は桂林の象徴にもなっていると、象の像がいっぱい並べられた公園内には誇らしそうに書かれてあった。

次に向かった独秀峰は、かつての靖江王府で、現在は広西師範大学になっている場所にあり、南北朝時代の詩人である顔延之が、「未若独秀者、峨峨郛邑間」と詠んだというだけあって、奇峰の多い桂林にあっても一際目を惹く景観をしていた。

下からこの山を見上げても、そのあまりにニュッキリと立つ姿に唖然としたが、実際に山頂まで登ってみて、そこから周りを見渡した時の感動はそれを大きく上回るものであった。

立ったその場所から360度見渡せるその見晴らしは、どう考えても自然の山のそれというよりは、なにやら人工的なタワーの展望台に登ったかのようであった。シカゴのような高層ビルが乱立する街からやって来て、高いところからの景色に慣れている我々ですらこう感じるのだから、かつてこの地に暮らしていた人々が得た感動の大きさというものは相当のものであったろう。

桂林市内周辺には、七星公園、南渓公園、桃花江、蘆笛岩など、他にも観光名所とされている場所が多くあったが、エリカがアメリカ国籍ということもあって、中国国内でのビザの有効期限が迫りつつあった我々は、とりあえずこの街での観光はこのくらいにしておき、次の目的地である陽朔へ向かうことにした。

桂林からはバスで2時間ほどのところにあるこの陽朔、日本人観光客の間では桂林観光のハイライトとなるボートでの漓江下りの終着点として知られている場所なのだが、欧米人バックパッカーたちの間では、むしろここが桂林観光の拠点とされているのだ。

水墨画に出てくるような桂林独特の山々が続くのどかな水田地帯を抜け、バスが陽朔の町に到着すると、そこにはこれまでの中国での旅が嘘のように西欧人が通りを行き来するまったくの別世界が広がっていた。

…つづく

 

第40回:Guilin (4)