第24回:Shanghai (3)更新日2006/07/06
食事をとって次にすべきことと言えば、やはり今夜の宿を確保することであった。ところがこの中国というところ、旅人にとってはかなり優しくない国であった。何が優しくないといって、余りに多くありすぎて一言では言い尽くせないのだが、まずとにかく人がやたらと厳しい。
一度言い出すと絶対に譲らない、あまり強く出すぎると怒り出す、でもって優しくいくと付け上がる。他の国では騙す人間も多くいたが、それなりにこちらが好意をみせたり、弱点を突くとニタ~っと笑ってきたものだが、中国ではそんなやわなことは通用しない。その上、限りなく押しが強い。
その押しの強さといったら、自己主張が強いといわれるアメリカ人など足元にも及ばないといった感じだ。何かにつけ、「メイヨー!(無いよ!)」である。この辺りの冷たさといったらなかった。 目の前にあるジュースをくれと言っても、こっちの言い方が気に入らないと、意地でも「メイヨー!」を通されることになるのだから。
まったくもってサービスという概念が、水で100倍に薄めたカルピスくらいに希薄なのである。しかも宿なども安いところをやっと見つけたとしても、外人は宿泊不可とか、外人価格とか、もうとにかく腹が立つことばかりなのである。
一度などは上海駅裏のホテルに泊まろうとしたら、今夜はもう部屋はないと言い張られ、どうしても泊めようとしない。そこで諦めて出て行こうとすると、新たに入ってきた中国人に部屋をあてがうのである。
もうこんな外人不可だか、メイヨーだかわからんとこにはこっちから泊まってやらんと意気込んで元の宿へ戻ると、今度は、「お前は今朝チェックアウトしたから、もうメイヨー!」と言われるのである。
いったい何がなんだかわからないが、とにかく中国というところは、旅人にとって非常に厳しいところである。そういうわけで、街の物価からいくと明らかに納得のいかない宿に泊まりながら、ここでの数日を過ごすことになった。
-…つづく
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