第813回:天災は忘れた頃にやって来る?!
こんなコトワザはもう過去のことで、天災は忘れる前に、毎年やって来ると言った方がよいくらい世界中で災害が立て続けに起こっています。夏が暑いのは当たり前、逆に夏に寒波が襲ってきたらそれこそ異常気象の極みなのは分かっていても、一体この暑さはどうにかならないものかしらと思ってしまいます。
アメリカでは暑い街として有名なアリゾナ州のフェニックスでは、44度以上の日が10日間も続き、今週末には48度になる見込みです。人気の海水浴場がたくさんあるフロリダ州でも38度以上の日が20日間も続き、日光浴をして身体が充分暖ったまたら、海に飛び込むパターンすら崩れてきています。と言うのは、この猛暑で海水の温度も上がり、波打ち際の海水温度は35度にまで上がっているからです。生ぬるい海には飛びこむ気になりません。アメリカの南の州は、軒並み猛暑に襲われています。
暑さだけならまだなんとかやり過ごせるのですが、ものすごい集中豪雨が数多く発生して、洪水が慢性的な低地の町や村が出てきました。それに加え、竜巻、ハリケーンの発生件数が多く、しかも熱気に充てられ猛威を振るうようになってきたのです。
日本での猛暑、豪雨のニュースも、ヨーロッパ各地の猛暑の様子も、テレビで流れてきます。地球全体が徐々に暑くなってきているのでしょう。日本に住む私の義理のお姉さん、電話や手紙で、“もう地球は終わりかも”と、ハルマゲドンが間近に迫っているようなことを言っています。
その原因は、凶元と言って良いくらいのもんですが、近年“エル・ニーニョ”にあると盛んに言われ出しました。“ニーニョ”とはスペイン語で子供(男の子)のことですが、エルという冠詞が付いていますから、特定の子供、すなわち御幼少のイエス・キリスト様ということになります。このエル・ニーニョがとんでもないイタズラ好きなのでしょう、太平洋の貿易風の通路の海水温を上げ、大気をたっぷりと湿らせ、あちらこちらにサイクロン、台風、ハリケーンを大きな規模で発生させていることのようなのです。
このエル・ニーニョが地球温暖化の源だと言われ始めたのは最近のことだと思っていたところ、1600年代にすでにペルーの漁師さんたちは海水温の上昇を“エル・ニーニョ”と呼び慣わしていたようなのです。確かに漁師さんたちにとっては、海水温が一度違うと不漁に繋がりますから、生活がかかった切実な問題なのです。
海水の温度が0.7度くらい上がろうが、下がろうが、誤差の範囲ではないかと思うのですが、どうしてどうして、オーストラリアの大珊瑚礁、グレートバーリアリーフの3分の1近くを死滅させています。チョット古い資料ですが、1997年から1998年にかけて、カナダとアメリカでエル・ニーニョが原因で死んだ人は2万3,000人に及びます。2016年から2017年にかけてのスーパー・エル・ニーニョ(イエス様、余程悪ガキになったのでしょうか?)では、東南アジアで10万人の命を奪っています。
男性系ばかりでなく、女性系の“ラ・ニーニャ”(女の子)というのはないものか探したところ、ちゃんとありました。冠詞のLaが付いていますから、特定の人物を指すはずですが、ご幼少の頃のマリア様ではないだろうし、イエス様に姉妹はいなかったはずだし、ただ単にエル・ニーニョに対抗して名付けただけのことのようです。それも“ラ・ニーニャ”なんて呼び出したのは、2020年になってからのことですが、そんな現象があるのは昔から分かっていたようなのです。ラ・ニーニャ現象とは、エル・ニーニョの対抗、反流する海流のことで、兄と妹の喧嘩のようなものかしら。
エル・ニーニョが異常気象に果たす役割は絶大なのは分かるのですが、エル・ニーニョは現象で、彼を産んだ原因があるはずです。もっとも、イエス・キリストが聖母マリアの処女懐胎で生まれたのと同様、エル・ニーニョも摩訶不思議な自然現象から産まれた?…わけではなく、凶元は人間が吐き出している二酸化炭素の温室現象にあるというのです。車や工場、発電所がもうもうと吐き出す煙がその原因の90%を占めるのだそうです。
問題はヤンチャ坊主のイエス・キリスト、エル・ニーニョにあるのではなく、次々と手の付けらない子供を産み、ワガママ放題に暴れ回らせている私たちにあるのです。原因がハッキリ分かっているのに、それにどのように対処すれば良いかも知っているのに、しかも技術もあるのに、きちんと規制できないのは、人間の欲望の深さと結びついているからではないでしょうか。
食欲は如何なる動物でも生きていく上で消すことのできない本能ですが、それをコントロールできず、超デブになり、自らの命を縮めているのに似ているのではないかしら…。
エル・ニーニョを産み、始末におえない悪ガキにしたのは私たちだったのです。
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