第388回:日本の男女格差の現実
もう何十年も日本を離れていたウチのダンナさんが、珍しく同窓会のような、高校時代の友達の集まりに行きました。そして帰ってくるなり、少数派である女性たち(ダンナさんと同じ歳ですから立派なお年寄り、ご老体だと思うのですが)の元気の良さにあきれ返ったと話し始めました。男どもは皆影が薄く、女性軍にあっさりと呑み込まれてしまい、会話や話題を独占し、宴会を取り仕切ったのは女性たちだったと言うのです。
ダンナさんの友達は皆、定年退職した年金暮らしですが、それまで働きづめに働き、ガンの大手術でアチコチの内臓を取られたり、脳溢血で倒れたり、高血圧、糖尿で、全員が何らかの病魔を抱え込んでいるようです。長い間ストレスにさらされ、やっと解放されたところで、倒れた人が多いようなのです。
そこへいくと、女性たちの多くは専業主婦で、主婦業もそれなりに大変な仕事でしょうけど、子育てが終った時点で一挙に解放されるのでしょうか、もっぱら趣味に、交友に、食べ歩きに、旅行にと遊びまくっているように見受けられます。エネルギーがあり余っているのです。私は常々、日本の主婦ほど楽をしている女性たちは世界でマレな存在ではないか…と思っています。
紫式部、清少納言の平安時代から、暇の沢山ある女性たちが文化活動を担う伝統が日本にあるのでしょう。社会的な義務や生産に縛られない日本の女性は、非常に多くの可能性を持っていると言ってよいでしょう。なにせ、くたびれた男どもと違って、元気いっぱい、エネルギーに満ち溢れているのですから。
そんなところを見越してかどうか、安倍首相も"女性の活躍"を言い出しました。これは多分に選挙で女性の票を獲得しようと目論んだもののようですが、新しく任命した女性大臣二人がスキャンダルで即退陣となり、空振りに終ったようです。
スイスの経済学者クラウス・シュワブが提唱、主催し、1971年から続いているWEF(World Economic Forum;世界経済フォーラム)が経済協力開発機構に参加している142ヵ国の男女格差ランキングを発表しました。もう日本が最下位周辺をさまよっていると聞いても誰も驚きませんし、アアまたかで終ってしまいそうですが、それにしても104位というのは酷すぎませんか。
この男女格差は、女性が会社で管理職に就いているパーセンテージで112位でしたし、国会議員に女性が占める割合、こちらは126位、などから男女格差指数(Gender
Gap index)を算出したものです。
トップは例年のことですが、アイスランドを含めた北欧勢が占めましたが、アジアでは10位以内に入っている唯一の国はフィリピンの9位です。そして、中南米からニカラグアが10位に入っていました。
日本のランキングは、女性蔑視の極みと言われているアラブの国々より低いか、同等なのです。日本の女性たちがイスラム教徒のようにブルカを頭から被り、顔を隠して町中を歩いても驚かないほど女性の地位は低いのです。
何度も指摘されていることですが、日本の女性が北欧の女性たちと同じくらい活躍の場を与えられるなら、日本の経済は一挙に16%は上がるのは確実だと多くの経済学者が言うところです。
日本の男女の格差がなくならないのは、尽きるところ、日本の女性たちがそれを真摯に望み、戦わないからです。自己を持とうとしないからです。本当の自由は、経済的独立なしに有り得ないのです。と書いてから、それだけ頼れるダンナさんを持っている人がうらやましい…ことに気が付きました。私の仙人のようなダンナさんはどうでしょうか? 一般論を述べるときには、個人的なことに触れないものです…。
第389回:女性優位の日本
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