第913回:男色の世界、女色の風俗
全くの耳学ブンですが、日本で江戸時代までは性が大ピラに開け放たれていたような印象を受けます。お伊勢参りなどは庶民の男女交合が自由に行われていたようですし、どこの宿場にもその手の女性が待ち構えていたようです。もちろん大名クラスですと大奥というハレムを抱え、まるでイスラムの“パシャ”(王様)のようだったといいますから、どこの国のどんな宗教の元でも権力者は多くの女性を侍らせていたのでしょうか。
キリスト教と一緒に性のモラルが輸入されたのだと思いきや、クリスチャン大名として有名な大友宗麟などは、見境いなく誰でも彼でも、家来の奥さんまで取り上げ、手を付けていたそうですから、性の要求を宗教で縛ることができないのでしょう。それが豊臣秀吉になると、欲しいものは何でも手に入れなければ気が済まない、思いっ切り駄々をこねることができましたから、ますます手が付けれなくなったのでしょうか。もっとも、同時代のカトリックの総本山で法皇がお妾さんを持つのは公然の事実、誰もが認めていたようですが…。
ここからは、こんなことに奇妙に詳しいダンナさんの受け売りになってしまうのですが、男色も公然と行われていた…と言うのです。白河、鳥羽、後白河の上皇などは院生時代、稚児を相手にするだけでなく、男色を政治のツールとして使いまくっていたのは確実だと言うのです。
日本史で人気トップテンに必ず入る源義経なんかは上皇のお相手をつつがなく務めていたそうで、黙って兄頼朝の先鋒を務めていれば良いものを、後白河上皇にそそのかされるように兄頼朝に対し謀反を抱くようになったのではないか、とダンナさん解説しています。あるいは義経が後白河上皇とねんごろになり過ぎて、頼朝の疑いを買うようになってしまったのではないかと分析しています。
もちろん女色?の方も盛んで、今の感覚で言えば風紀が乱れに乱れていたことになりますが、日本史での男色、女色狂いは当たり前のことだったんでしょうね。
もうかれこれ20年以上昔のことになりますが、バスケットボールのスパースター“マジック・ジョンソン”がエイズに罹ったと自ら告白し、全米にショックを与えたことがあります。その後、マッチョの大男映画スターのロック・ハドソンもエイズに感染したと発表し、スポーツ界、映画界に男色が蔓延しているかのような印象を与えました。それまでも、男色に伴うエイズは相当広がっていたのでしょうけど、マジック・ジョンソンとロック・ハドソンという大物がマスコミで公にしたことで、エイズの恐怖が認識されたのでしょう。今ではワクチンもできて、エイズを抑える薬品もあるようですから、一時期のようにスキャンダルの種ではなくなりましたが…。
西欧で男色を極端なモラル違反、反社会的行為だとみなされたのは、もちろんキリスト教の影響です。厳禁されていると反動で余計にそれを犯す心理が働くのでしょうか、現代に至るまでカトリック教会内での幼児を弄ぶセックス・スキャンダルが絶えません。
爛熟した社会、ヴィクトリア時代でも、ホモは最悪の犯罪でした。その反面、性のモラルが乱れていた時代でもあったのですが、オスカー・ワイルドは同性愛の罪で牢屋にぶち込まれています。でも、法的な規制をしなければならないほど、同性愛が蔓延していたとも取れます。
ピューリタニズムが支配的だったヴィクトリア王朝時代のモラルをそのままアメリカに持ってきたのでしょう。アメリカでは、特に裏と表の使い分けが上手?になってきて、醜いことは、実際にあるなしに拘わらず、見えないように隠してしまえばそれで良いという建前主義が主流になっています。
ですから、“ジェントルマンズ・クラブ”が怪しげなショーを観せ、そこに侍る女性がそれなりの接待をすることを誰もが知っていても、社会の表面に現れず、密かに営業している限り問題にされません。日本の温泉町のストリップの扇情的な大看板には驚かされましたが…。
近年、同性愛は社会的に認められ、テレビで自分の番組を持つまでになったエレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)のような人まで現れるようになりました。
日本でも、三島由紀夫がはっきりと自分はホモだと宣言してくれれば良かったのに、と思わずにいられません。
このコラムの日本語を添削してくれているウチのダンナさん、本来何でも試したがる傾向が強いのですが、「ウーム、この世界だけは、オレ体験せずに終わりそうだな~」と、つぶやいていました。
-…つづく
第914回:辞書、辞典の活躍
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