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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から
 

第914回:辞書、辞典の活躍

更新日2025/08/28 

 

私は元(モト)?言語学者でしたから、言葉についてはチョットうるさいと自認しています。
本を読んでいて、内容より先に言葉の使い方、ボキャブラリーの量と質、文章の構成、書き方の方に目が行ってしまいがちです。もっとも、それは少しばかりスペイン語の文章も読み、楽しみますが、英語に限ったことです。

美しい英文をそれが優れた英語だと判断できる…と思っていますが、いざ自分でそのような文章を書くことができるかは全く別の問題で、私には詩人のセンス、心、表現力もありません。それどころか、優れた散文で、導入部から話を展開させ、意外な方向に持っていき、オチをつけるなどという芸当はできません。文法的な間違いを犯していない手紙を書くのが精一杯といったところです。
 
私のボキャブラリーは平均的英米人より多いかもしれません。それでも、大昔ダンナさんが買ってくれたウェブスターの大辞典を引くことがままあり、新しい発見をします。こんな意味があったんだ、こんな使い方があるんだ…と、この歳になってから知ることがあります。

私が持っている辞書は、このウェブスターの大辞典と日本語の英和、和英(旺文社の学生用)、それにアメリカで日本語を学ぶ人のためにRANDAM HOUSEが編纂したJapanese-English, English-Japanese辞典、漢字の書き方読み方の辞書ESSENTIAL KANJI(肝要漢字)です。義理のお姉さんたちに日本語で手紙を書くとき、これらの辞書なしには書くことができません。
 
ところが、ウチのダンナさんときたら、机の袖の上に引き出しのような板が両サイドにあり、それに加えてスツールを大型辞書を載せる台にし、まるで一旦机に向かったら、四面六臂のように脱出困難なコーナー、冬眠に入っているクマの穴蔵のようなところに身入れているのです。そこに広辞苑、研究社の英和大辞典、私のウェブスターなどの重く厚い辞書を置き、彼イワク、「大型辞書は手元にすぐに開くことができるようにしておかないと、本棚の飾りになってしまうからなぁ…」。ほかにコンサイスの英和、和英、三省堂国語辞典、全訳漢字海、研究社の英和小辞典、角川の漢和辞典、最近日本で買ってきた類語辞典、それに白水社の西和(スペイン語-日本語)辞典、ドイツ語の辞典とまるで辞書に埋もれているかのようなのです。

それとは正反対なのが、私が教えていた学生さんたち、ほとんどというより全く辞書など持っていないのです。すべてインターネットの辞書サービスサイトで済ましているのです。確かにあれは便利なサイトで、世界中のありとあらゆる言語の意味、訳が即座に出てくるし、簡単な文章なら、即翻訳してくれます。しかも、音声でパソコンに話しかけ、質問すると、機械?が正しい発音で答えてくれるのです。スペル通りに発音しない、やたら例外が多い英語の場合、とても便利なツールです。何もわざわざ重い辞書を引かなくても済む時代になったのです。

と言っておきながら、辞書を引く作業はやはり大切だと思うのです。というのは、インターネットで例えば“fly”を調べると、「飛ぶ」「釣りの擬似餌」「ハエ」としか出てきません。手元にある研究社の英和辞典ですと、それが細かい字で半ページくらいの訳、使い方が出ているのです。おまけに釣り針の擬似餌の絵まで載っていて、その部所が名前付きで8ヶ所も載っているのです。

飛ぶ方も、飛行に始まり、弾丸が飛び出すことから風に舞うように飛ぶこと、逃げること、野球のフライボールのこと、獲物に飛びかかる、タコを揚げる、そしてピアノなどの鍵盤楽器の蓋、無駄使いをすること、人をお払い箱にすること、外国に脱出する=高跳びすること、また弾み車、印刷機でアオリ、紙取り装置、そして演劇の舞台の上で大道具を操作するところと、ああそういえばそんな使い方があったな?とか、エッそんな意味があったの、と勉強させられます。まだまだ辞書から学ぶことがたくさんあるのです。
 
西欧人、とりわけアメリカ人は、辞書は中学、高校時代、大学の専門に入ってからは、その専門分野の特別な辞書以外まず使いません。私の友達、親戚で、手元に辞書を置いている人はまずいないでしょう。それが日本では、義理のお姉さんたち、ダンナさんの友人たちも、国語辞典、漢和辞典くらいは身近に置いているようなのです。

英語、米語と日本語の違いはあるでしょうけど、英語のスペルリングは脳ではなく、指で覚えているように思います。ところが、漢字は一々視覚を通して脳で覚えているのでしょうか、それに同音で意味の違う漢字がたくさんありますから、普段よく使っていないと忘れてしまう傾向が強いのかもしれませんね。

私のコラムの日本語を添削してくれているダンナさん、「イヤ~、俺の日本語は元々大したもんじゃなかったけど、パソコンを使い出してから、ますます酷くなってきたな。こりゃ辞書を引くかどうかではなく、言語のセンスと老人性のボケの問題かもしれんな~」と弱気なことをこぼしています。

-…つづく

 

 

第915回:“お迎えが来る”…まで

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えていました。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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