■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から


Grace Joy
(グレース・ジョイ)




中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。



第1回:男日照り、女日照り
第2回:アメリカデブ事情
第3回:日系人の新年会
第4回:若い女性と成熟した女性
第5回:人気の日本アニメ
第6回:ビル・ゲイツと私の健康保険
第7回:再びアメリカデブ談議
第8回:あまりにアメリカ的な!
第9回:リメイクとコピー
第10回:現代学生気質(カタギ)
第11回:刺 青
第12回:春とホームレス その1
第13回:春とホームレス その2
第14回:不自由の国アメリカ
第15回:討論の授業
第16回:身分証明書
第17回:枯れない人種
第18回:アメリカの税金
第19回:初めての日本
第20回:初めての日本 その2
第21回:日本道中膝栗毛 その1
第22回:日本道中膝栗毛 その2
第23回:日本後遺症
第24回:たけくらべ
第25回:長生きと平均寿命
第26回:新学期とお酒
第27回:禁酒法とキャリー・ネイション
第28回:太さと貧しさ
第29回:外国生まれ
第30回:英語の将来 その1
第31回:英語の将来 その2
第32回:英語の将来 その3
第33回:英語の将来 その4
~誰がブロークンイングリッシュを話すのか

第34回:英語の将来 その


■更新予定日:毎週木曜日

第35回:ベビーブーム

更新日2007/11/08


また新たなベビーブームが起こっています。それも特定の地域だけに集中し、期間も今年の10月だけのごく限られた範囲のベビーブームなのです。でも普段より25パーセントも増えているのですから、立派なベビーブームと呼んでもいいと思います。

ベビーブームの原因は、猛吹雪でした。今年の1月末デンバー一帯は猛吹雪に襲われ、3日間交通が完全に麻痺しました。公共の電車、バスなどがないに等しいデンバーでは、通勤は自分の車に頼っています。道路が雪でふさがり、アイスバーンになってしまうと、全く身動きが取れなくなってしまうのです。

これがミシガン州やカナダのように毎年大雪に見舞われるところなら、除雪体制も整っているでしょうけど、デンバー界隈のように10年に一度の大雪となると、お手上げの状態になってしまいます。

そこで、お父さん、お母さんは自然の猛威には勝てないと達観したのでしょうか、天の恵みを授かる作業に及んだのでしょう。このようなベビーブームはよく起こります。有名なのは、ふた昔前のニューヨークの大停電のために起こったベビーブームです。

ローソクの光がロマンチックなムードを作り出したのか、テレビを見ることができないので、時間を持て余して早々とベッドに入り込んだ結果なのか分かりませんが、ニューヨークは街も大きいだけに、それに停電の期間が長かったこともあって戦後最大のベビーブームになったのです。電灯はともかく、テレビが映らないのが一番大きな要因だというのが一致した意見です。 

となるとテレビには人間の本能に根ざした感性を奪う何かがあることになるのかもしれません。日本に住んでいる外人さんたちは、日本に住む一つの特権はテレビを見なくなることで、その分本を読み、家族が居れば家族と一緒に過ごす時間が増えることだ、と口を揃えて言っています。

ほとんどの外国人にとって、日本語のテレビ放送はドラマなのかニュースなのかお笑いなのかの区別も付きませんし、アメリカ人の男性が狂ったように興奮するフットボール(アメリカン・フットボールのこと)の実況中継もありません。日本に来て、初めて自分がアメリカでいかに膨大な時間をテレビにつぎ込んでいたか分かったと、何度聞かされたことでしょう。

普通のアメリカ人がそれだけテレビに犯されているのは、逆に考えると能動的な実生活が貧しいからだとも言えます。早く言えば、テレビの方が夫婦間のセックス(若者は省いたほうがよさそうですが)よりエキサイティングで楽しいと、たとえ本人が意識していないにしろ、そう思っていることにならないでしょうか?

ところがテレビでのアメリカン・フットボールの実況中継と夫婦間のセックス(夫婦以外も大いにあったらしけど)が相乗作用をし、ベビーブームを起こしたこともあるのです。

数年前、コロラドに本拠地を置くアメリカン・フットボールチーム、“ブロンコ”がスーパーボールで優勝したことがあります。当時、私たちはデンバーの近郊の町に住んでいましたが、2月の寒い夜に突如花火、爆竹が寒気を震わせ、自動車のクラクションやベル、笛、太鼓、タンバリン、ラッパなどありとあらゆるやかましい音の出るものが総動員で鳴り響き、戦争でも始まったかなと思わせるほどの騒音をまき散らしました。

その10ヵ月後にベビーブームが起こったのです。アメリカンフットボールのファンは圧倒的に男性が多く、取り分け勝ったとなると大いに男性ホルモンが刺激されるのでしょうか、“ブロンコ・ベビー”が世にどっと出てきたのです。これはテレビの助けがなくてはあり得ない現象です。

付け加えて言わせて貰えば、勝利に酔い、触発され、それが性欲に結びつくところを見ると、男性はまだ動物的要素が多量に残っているのでしょうね。それに比べ我々女性は、たとえひいきにしているフィギュアスケーターがオリンピックで優勝しても、決してベビーブームなど造ったりしません。

 

 

第36回:スポーツ音痴の相撲好き


 
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