■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。駅舎に入ると正面に改札口、左に木製の恐竜骨格模型…
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2023/06/08掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第459回「流行り歌に寄せて No.259 「雨の御堂筋」~昭和46年(1971年)9月5日リリース」 大阪の筋(すじ)と通(とおり)。ある程度知っている人でないとよく理解できないが、大阪市内には主要な道路が、南北に5本、これを筋と呼び、東西に4本、これを通と呼んでいる。筋は西から、四つ橋筋、御堂筋、堺筋、松屋町筋、谷町筋。このうち、四つ橋筋と堺筋は、北向き一方通行で、御堂筋と松屋町筋は、南向きの一方通行であり、谷町筋だけが、南北両方に通行できる。東京に住んでいる人の感覚では、少し戸惑うところだが、慣れてしまうと便利なようである。通は北から、本町通、中央通、長堀通、千日前通が通っている。さて、今回の御堂筋だが、大阪の中心部(梅田〜淀屋橋〜本町〜心斎橋〜難波)を南北に貫くメインストリートである。沿道にはさまざまな都市機関・商業施設が集積しており、北側はビジネスマンが行き交うオフィス街、南側は買い物客、観光客が行き交う繁華街となっており、連日多くの…
金井 和宏 バックナンバー
■インディアンの唄が聴こえる 第21回「サンドクリーク後 その2」 軍隊の内部告発は非常に難しいものだ。たとえ告発する側に正当な理由があるにしろ、軍隊という巨大な規模の保守勢力を相手にしなければならず、しかも組織としての軍は、軍を傷つけるような告発をハナから潰そうとする。膨大な数の軍人、役人、退役軍人らは個々の事件を知ろうとせず、自分が属する組織を傷つけるような奴を頭から排除し、葬り去ろうとする。ジェームス・ドーウリトル上院議会議員の公聴会は76日間に及んだ。その記録だけでも、膨大な数量になる。例えば、その現場に居合わせたジョン・スミスなる人物のタイプされた記録だけでも26ページに及ぶ。それが何百人という証人を招聘しているから、その記録だけで膨大な量になる。現場にいたシヴィングトン大佐指揮下のコロラド第三義勇騎兵隊の面々の証言と、インディアンたち、それにサイラス大尉の率いた第一義勇騎兵隊員と、証言は180度異なる。こうなると、事実は当事者の立場によりどうにでも動き、変わるもので、実際に何が起こったのか真実を見極めるのは不可能にさえ思える。
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第805回「森の生活」 なにもここで、H.D.ソローの古典名作の向こうを張るつもりはありません。ソローの原作は『On walden pond』というタイトルで、『ウォルデン池の辺で』とでも訳せましょうか。でも、日本語訳の『森の生活』の方が内容にピッタリ沿っているように思います。ウォルデンの池なんてどこにあるのか、日本では誰も知らないでしょうから…。この本はアメリカの古典になってしまいましたので、今やウォルデン湖付近は大観光地になり、とてもソローが自分で小屋を建てた当時とは全く別世界になってしまったようです。私たちは森に埋もれるように暮らしています。とてもソローのような内的な精神生活を送っているとは言えませんが、森の静かさと澄み切った空気だけは充分に味わっています。比較的自然に沿った、森を壊さない暮らしをしていると思います。水は地下水を汲み上げ、台所とトイレの汚水は地中に埋めた…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 【新連載】 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第2話「騎士アルガリアの亡霊」 さて、森の奥へと消えたアンジェリーカを探すべく、サラセンの騎士フェラウとシャルル大帝陣営のリナルド、共に絶世の美女に心を奪われた者同士、仲良くフェラウの馬の背に乗ってアンジェリーカの後を追った二人だったが、やがて行く手が二手に分かれた場所に出た。不思議なことに、どちらの道にも馬の蹄の跡。ここは運を天に任せるしかないと考えた二人、リナルドは馬から降りて右へと向かい、フェラウは左へと馬を進めた。しかしフェラウは、どうやら道に迷い、気がつけば、もといた小川のほとり。麗しの姫を追うのは諦めて、小川に落とした自らの兜をもう一度探すことにして、川の方を見て驚いた。なんと川の中にこちらを見据えてすっくと立つ一人の騎士の姿。手には探せど探せど見つからなかった水の中に落としたフェラウの兜。その騎士の顔はと見れば、なんとそれはかつて剣を交えた末に討ち取ったはずの …
谷口 江里也 バックナンバー
■よりみち~編集後記 5月18日からスタートして、21日に閉幕した『G7(主要7ヵ国)広島サミット』だが、誰がこんな茶番劇のオンパレードを評価しているのだろうか? 岸田首相の地元広島で開催されるG7サミットということで、舞い上がっていたのは岸田首相とその一家だけではないのだろうか? 「核なき世界」を目指すとか、「原爆資料館」にG7首脳が詣でて世界平和に祈りをささげるとか、岸田首相としては二度とやってこない自分の議長の姿を国民の目に焼き付け、平和の象徴である「ヒロシマ」を世界にアピールできる一世一代の晴れ舞台として、入念に企画を考えてきていたのだろうことは想像に難しくない。しかしながら、原爆記念館にまであの『核のフットボール』が持ち込まれることを想像していたのだろうか?あの「核のボタン」が入っている黒いカバンが広島サミットに持ち込まれることだけは避けるよう強硬にお願いすべきだったはずだ。それが本物の「核のボタン」入りのバッグだったのかどうかという報道を確認した…
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