■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第742回「比叡山の西側へ - 京阪電鉄本線 叡山電鉄 -」 月刊誌の取材が叡山電鉄、出町ふたば、MANYOKEN styleに決まった。この連載企画は私がユニークな鉄道路線を提案し、編集部が食取材の店を決める。出町ふたばは和菓子屋で豆大福が有名だという。MANYOKEN styleはフレンチレストランだ。京都でフレンチという意外性が良いらしい。魚介が出てくると困るけれど、それはカメラマンS氏に食べてもらって感想を聞いて書く。かつては同行の編集者の仕事だったけれど、定期人事異動で離れてしまった。行きたいから選んだ店だろうにと、気の毒になる。叡山電鉄は2年前に乗っている。あの時は仕事の隙間に京阪電鉄で浜大津へ行き、坂本ケーブルと叡山ケーブルで比叡山を横断して、叡山電鉄で京都に戻った。もともと滋賀県でゲームのイベントをやるにあたり、会社が手配したチケットが京都前泊で、しかも新幹線が早朝だった。つまり朝一番で京都に着いて…
杉山 淳一 バックナンバー
2025/06/05掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第504回「流行り歌に寄せて No.299 「ふるさと」~昭和48年(1973年)7月15日リリース」 三拍子の美しい曲である。私は、この曲を最初に聴いたとき、最も印象に残ったのは「洗いざらしのGパンひとつ」という箇所であった。それまでの、いわゆる演歌の中には出て来なかったであろう詞で、たいへんインパクトがある。山口洋子の優れた手腕だと思う。 ここでGパンを履いているのは、故郷を恋しく思っている現在の自分であって、赤いネオンの空を見上げているのも同じ人物だ。(確かに、五木ひろしには白いTシャツとGパンは似合いそうである) その他は「小川のせせらぎ」「赤い野苺」「緑の谷間」「仔馬は集い」「杏の花の」「囲炉裏ばた」と望郷の定番のような言葉が並ぶ。おそらく、山口洋子も、平尾昌晃も、このような長閑な風景を見ながら少女、少年期を過ごしたわけではないと思う。そのような経験を、持たざる人たちの作品のような気がする。だからこそ、多くの人たちの心に届いたという言い方が…
金井 和宏 バックナンバー
2025/06/12掲載
■西部開拓時代の伝承物語 ~黄金伝説を追いかけて 【最終回】 第57回「西部劇名作選 番外編 No.23」 原作はエルモア・ベナードの同名の短編小説で、後に彼が語ったところによると、数ある西部劇小説雑誌の一つの『ポピュラー・ウェスタン』に、1語2セントで書いた、1番目か2番目のモノだそうだ。そんな雑誌に目を通すくらいだから、監督デルマー・デイヴィスも相当な西部劇狂だったに違いない。映画化されたのは1957年で、主演はグレン・フォード、ヴァン・ヘフリンでこの二人が秀抜な演技を見せている。ストーリーは駅馬車を襲った悪役カウボーイグループのボス、グレン・フォード演ずるベン・ウエイドを不在のシェリフに代わって、イチ農夫のダン・エヴァンスが護送し、午後3時10分の列車に乗せことができるかどうか、ベンの一味が救出のため襲撃してくるのをかわすことができるのかが大筋になっている。しかしそれ以上に、ベンとダンの駆け引きが見もので、一種の心理劇をカタチ作っている。グレン…
佐野 草介
バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第903回「リズムに合わせみんなで踊ろう!」 私の知る日本女性、と言ってもダンナさんの同級生や彼らの奥さんたち、それに義理のお姉さんたち、さらに加えて彼女らの少数の旦那さんも、皆さん相当立派なお歳ですが、何らかの踊りを踊っている人が多いのに驚かされます。日本での一番人気はフラメンコだそうです。日本的感性とどう結びつくのか、フラメンコは典雅な日本舞踊とは180度異なると思うのですが、情熱的に身体をそり返らせ、腕をくねらすフラメンコが日本人の心を捕らえているようなのです。何にでも身を打ち込むように学ぶ姿勢のある日本人気質からでしょうか、私たちがスペインに住んでいた時にも、セビリヤーナスの競技会で日本女性が優勝し、話題になっていました。二番手は社交ダンス、ボールルームダンスでしょうか。ダンス教室が英会話教室並みにそこここにあり、また競技会も地方の大会から地区、全日本とあり、世界選手権では、日本人カップルがいつも上位を占めているようです。
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■鐘を鳴らそう 鳴らせば鳴る鐘が、まだあるのだから ~音羽信の心に触れた歌たち~ 第2回「21世紀の精神異常者 by ピーター・シンフィールド アルバム『キングクリムゾン宮殿』より」 【新連載】 中学生だった私の幼い心と体を一瞬にして鷲掴みにしたビートルズが、目眩がするような変化の後に創った、すべてのものに別れを告げる鎮魂歌のような『アビーロード』が美しくも哀しく流れていた1969年、突然鳴り響いたアルバム『キングクリムゾン宮殿』。その冒頭の、淀んだ空気を切り裂くかのようなギターと、極限まで圧縮された音が限界を超えて弾け出すかのようなシャウトで始まる『21世紀の精神異常者』が、その頃、横浜に出来たばかりのロック喫茶『ムーティエ』の大きな真っ黒のスピーカーから爆音で私に向かって突進してきた時、私は呆然とし、そのままアルバムを聴き続けた。ジャケットには、どこかあらぬ彼方を見つめて叫ぶ真っ赤な顔の男のアップ。そこにはアルバムのタイトルもバンド名も何も無く、ロックの終わりを無視し、あらゆるジャンルの壁を一気に破壊するかのようにして繰り広げられ…
音羽 信
■よりみち~編集後記 ドナルド・トランプが第47代アメリカ合衆国大統領として二度目の就任式から4ヵ月が経過していますが、このトランプさん、就任前からお騒がせニュースの連続で、話題に付いて行くのさえ大変なことです。 ごく重要なニュースだけを厳選してまとめてみたのが下記の項目なのだが、段々と気が付くことがあります。トランプ流のニュースの法則が見えてくるのです。先ずは「まさかと驚かせ」、次に「あり得ないことだと思わせ」、反対意見が巷に溢れ、ちょっとだけ軌道修正したり、ちょっと延期してみたり、「これぞディールなのだと思わせ」、混乱させながらもいつの間にかうやむやになり、次の驚かせテーマに移る、という繰り返しをやっているようなのです。 結局のところ、ガザもウクライナも、イランや北朝鮮も、何一つ解決していないし、その糸口さえ掴めておらず、果たして本当にアメリカの利益に繋がっているのかも疑問なのです。……その後も移民政策の強化(数十万人の強制送還を進める方針を発表)、ロシアのプーチン大統領を「火遊び」と非難し追加制裁を検討、イーロン・マスク氏がトランプ政権…
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