■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの…
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2025/02/13掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第496回「流行り歌に寄せて No.291 「なみだ恋」~昭和48年(1973年)2月5日リリース」 私は、高校を卒業した年の昭和49年(1974年)9月から東京で暮らしを始めたが、その少し前に、友人と二人で東京見物に来たことがある。確か、その年の6月の終わりか7月の初めの頃か。 その時、私自身は渋谷あたりを歩きたいと考えていたのだが、友人は新宿に行きたいと、彼としては割り合いに強く主張した。自分は間もなく東京に住むわけなので、ここは素直にその思いを叶えさせたいと、彼の希望通りにした。 そこで、新宿にある居酒屋というより大衆食堂と思えるような店で、日本酒を注文して飲んだ。それほど所持金もなかったので、今思えば可愛らしく二合ずつぐらいで引き上げたのだが、ビジネスホテルに向かう途中、ビルとビルの間を歩いている時、突然彼が低く歌い出した。「夜の新宿 裏通り 肩を寄せあう…
金井 和宏 バックナンバー
■西部開拓時代の伝承物語 ~黄金伝説を追いかけて 第40回「西部劇名作選 ベスト20 No.6」 アンチヒーロー西部劇 『ソルジャー・ブルー』1970年にこの映画が公開された時、それはショッキングな事件と呼んで良いほどの出来事だった。アメリカはベトナム戦争の泥沼にはまり込んでおり、戦争終結の見通しが全く立っていなかった。ベトナムのソンミ村のミライ(My Lai)部落の住民虐殺が明るみに出たのに合わせるように映画が封切られた。監督のラルフ・ネルソンはとりわけ政治的な映画ばかりを作っているわけではなかったが、それまで誰も取り上げなかった“サンドクリークの大虐殺”をアンチヒーロー西部劇として作り、それがピッタリとベトネム戦争の汚点ソンミ村のミライ部落民の大量虐殺と重なり、反戦、ベトナム戦争反対のプロテスト映画と受け取られたのは当然のことだった。事実、映画『ソルジャー・ブルー』はそれ以上あり得ないほど直接的な反戦…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第886回「抜きん出た女性たち その5」 ジェーン・グドール(Jane Goodall) ジェーンは小柄で、細面、とても気品のある顔立ちをしています。私にはとても彼女のような気品はありませんが、よくジェーン・グドールに似ていると言われます。そのために特別な近親感を抱いているわけではありませんが、彼女の記録映画、記事はよく観、目を通します。ジェーン・グドールは言うまでもなく、チンパンジーの研究というのか観察で有名な動物行動学者です。ジェーンはロンドンっ子でアウトドア、自然に溶け込むような環境で育ったわけではりません。幼少の頃から動物好きな普通の少女だったようです。大戦前の1934年生まれですから、少女時代を戦時下で過ごしたことでしょう。私立高校を出てすぐにオックスフォード大学で秘書の仕事に就いています。その頃から彼女は何としても、動物、自然がいっぱいのアフリカに行きたい、間近に野生の動物たちを見たいという願望がつのり、アルバイト的な仕事…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第10歌 ルッジェロの大冒険 第6話「絶体絶命のアンジェリーカ」 さて前回は、ルッジェロが岩に荒波が打ち寄せる岩に、生まれたままの姿で鎖に繋がれているアンジェリーカを派遣したところまでお話しいたしました。ルッジェロがイポグリフォを操って降下してよく見れば、全裸の体に波しぶきを浴びて泣き叫ぶアンジェリーカの足元には、巨大な蛇とも龍ともつかぬ異様な怪物。波の中から身を踊らせて、今にもアンジェリーカを飲み込もうとしている様子。どうしてアンジェリーカがこんなところでこんな目に、彼女に首ったけのオルランドやリナルドは一体全体何をしているのか、とルッジェロは思ったが、ここまで私の話を聞いてくださった皆さんならご存知の通り、第8歌でお話しいたしましたように、この島では、海の神ネプチューンの息子の怪物の姿をしたプロテウスが島の王の娘に一目惚れをして無理やり情をかわし、そのことを憤慨した王が姫である娘の命を絶って海に捨てたこと…
谷口 江里也 ※暫く休載します
バックナンバー
■よりみち~編集後記 トランプ大統領による各国への強引なディールが、早くも世界を混乱に陥れています。カナダとメキシコに対して高率の関税を課すことを発表し、これらの国々との貿易関係に緊張をもたらしており、特にカナダに対しては、カナダを米国の51番目の州として吸収する考えを示しており、この調子で各国に対して高率の関税で脅しをかけ、アメリカ国内の産業を活性化させようとすることは確実で、ますます独裁的な色彩が色濃くなってきそうです。トランプ大統領の外交政策が従来の「アメリカ第一主義」から、「アメリカ・モア(America More)」と呼ばれる拡張主義的なアプローチに転換していて、より強引にアメリカに服従させる外交を展開してくるはずで、日本がこの駄々っ子のようなトランプ大統領にどう対応するのかとても不安な日米外交がスタートしそうです。2025年2月4日、トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザ地区を米国が所有し、再建する意向を表明。ガザを「中東のリビエラ」として再開発し、国際的なリゾート…
「のらり」編集部 バックナンバー
【のらり文庫】電子書籍販売中 お問合せ・ご意見はこちらから
<<佐野 草介の著書>> アウトローシリーズ 6-10 西部女傑列伝 伝説の女性アウトローたち Kindle版
コラム一覧へ
■鏡の向こうのつづれ織り ~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 [全24回] 谷口 江里也
【のらり】更新ニュースを毎週発行しています。 ご希望の方(不要の方)ご登録ください。サンプル ※注意:現在、ジャンクメール増加のため自動登録を中止しています。こちらから「ニュース希望」とご連絡ください。
■更新ニュースの連絡がない場合、掲載の不備、ご意見・ご要望などがありましたらこちらへご連絡ください。