■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。駅舎に入ると正面に改札口、左に木製の恐竜骨格模型…
杉山 淳一 ※今週休載 バックナンバー
2023/03/23掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第454回「流行り歌に寄せて No.254 「雨のバラード」~昭和46年(1971年)4月1日リリース」 年齢とともに、雨の日の行動が億劫になってきた。まだ四十代だった頃までは、雨の日の自転車通勤も何ら問題にすることもなく、さっさと合羽を着込んで走り出した。ラグビー観戦も、外苑前駅で合羽に着替え、小走りで秩父宮に向かった。それが、最近は雨が降っているだけで通勤が重い気持ちになったり、ゲームの日が予め雨だと分かると、観戦の意欲が削げたりするのである。「雨の日もまた楽し」という気分になれない。何か、寂しい思いがする。 音楽の中で「雨」を扱ったものは、夥しい数になるだろう。歌曲に始まり、ミュージカル、ジャズ、ロック、フォーク、ニューミュージック、歌謡曲、唱歌、童謡、…etc。あらゆるジャンルの音楽に登場してくる。私のような音楽に素人な人間でも、脳みそを絞り切れば50曲くらいの曲名は出てくると思う。 そんな中で、今回の『雨のバラード』は、雨の持つどうしようもない…
金井 和宏 バックナンバー
■インディアンの唄が聴こえる 第11回「シヴィングトンという男 その2」 南北戦争たけなわの時期だったので、余程北軍は(南軍もだが)人材が不足していたのとしか思えない。シヴィングトンを第一コロラド義勇騎兵隊大佐に任命している。ニューメキシコ、アリゾナでの戦歴が認められたのだろうか。その後、義勇軍全体を司る将軍にまでなっている。だが、負けて捕虜になった南軍の従軍牧師は、シヴィングトンの捕虜の扱いが過酷すぎると抗議した文書が残っているところから、彼に偏執狂的性格があったことが知れる。彼の指揮する第一コロラド義勇騎兵隊はデンバー郊外のチェリークリーク金鉱が2年続きの水害で閉山、縮小になり、あぶれた鉱夫たち、東部から金鉱熱に浮かされて流れてきた食い詰め者が多かった。それは北軍に限ったことではなく、南軍の方も主力のテキサスレンジャーも大半は仕事にありつけない牧童だった。両者共に正規の軍事訓練など全く受けずに戦場に送り込まれた、いわばならず者集団だった。西部劇に観る、颯爽と風を切り進軍ラッパとともに突進…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第795回「少子化と超老人の時代」 日本の少子化問題は世界の注目を集めています。人口のピラピッドが頭デッカチになり、しかも65歳以上の年寄りが増え、子供が少なく、チョット指で押せば簡単に倒れてしまいそうな構造になっています。そのように国の人口全体が老齢化し、子供が極端に少なくなる傾向に、日本がどのように対処するのか注目されており、雑誌や新聞、テレビなどのマスメディアに社会学者がゴモットモな意見を展開するようになりました。素晴らしい地球の自然や野生の動物の生態写真を満載している私たちお気に入りの月刊誌『ナショナル・ジオグラフィック』(2023年02月号)でさえ、日本の老齢化現象を面白い写真入りで報道しています。先進国と言って良いのか、経済的に豊かな、平均収入が高い国と呼んだ方が良いのか、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、それに日本と韓国に…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
祝!出版 ■ジャック・カロを知っていますか? ~バロックの時代に銅版画のあらゆる可能性を展開した天才版画家とその作品を巡る随想 第30回「聖アントニウスの誘惑」【最終回】 ジャック・カロは、ペスト、飢饉、戦争という、人間社会が遭遇する最悪の災いがもたらす悲惨が重なり合ったロレーヌで晩年を過ごし、1635年に亡くなりました。まだ43歳でした。原因は胃癌だったともいわれていますけれども、様々な精神的な苦痛が、カロの体を内部から蝕んだのかもしれません。 しかしその前年、カロは、死のおよそ20年前、1617年にフィレンツェで制作した画題《テーマ》と同じテーマの大作を創り遺しました。12回で紹介した『聖アントニウスの誘惑』です。モチーフや表現された形象の奇怪さに比して、画面全体がやや明るめで、どことなく牧歌的でコミカルな要素が多かった前作に比べて、この作品は全体に暗く、聖アントニウスに対する悪魔や…
谷口 江里也 バックナンバー
■よりみち~編集後記 ついに3月13日から「マスク着用が原則不要」となり、個人の判断が基本となりました。ただし、厚生労働省は、「受診時や医療機関・高齢者施設などを訪問する時」や「通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスを利用する時」などにマスク着用するよう指導し、高齢者や基礎疾患のある人、そして妊婦など、重症化リスクのある人が混雑した場所に行く場合はマスク着用を推奨している。言葉上では個人の主体的な判断に任せ、強制しないよう呼び掛けているのだが、いつもの自己責任論で逃げが打てるよう、政府の責任にされないように最大限配慮されていることは確実である。 13日からどうなることかと周囲を見回すけれども、さすが人の目を一番気にする日本人は、周りを見回すだけで行動に移すのは時間がかかりそうだ。ほとんどどこも変わりなくマスク着用している。職場でも同様で、新型コロナが「5類」に移行となる5月8日(月)のゴールデンウィーク明けまで…
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