■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2023/11/23掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第469回「流行り歌に寄せて No.264 「子連れ狼」~昭和46年(1971年)12月25日リリース」 若山富三郎、萬屋錦之介、田村正和、髙橋英樹、北大路欣也。歴代、映画、テレビで拝一刀を演じた役者たちである。豪華な、時代劇のトップ・スターばかりだと言える。 この曲を歌った橋幸夫は、舞台で拝一刀を何回も演じているが、これは歌謡ショーとカップリングで行なわれたものがほとんどだと思う。私のイメージでは、この人は潮来の伊太郎とか沓掛時次郎とか、爽やかな股旅物はよく似合うが、刺客という雰囲気は持ち合わせていない気がするのだ。よく知られている通り『子連れ狼』は、小池一夫・原作、小島剛夕・画で、双葉社発行の『漫画アクション』に昭和45年9月から、昭和51年4月まで連載された時代劇漫画である。 「柳生烈堂が率いる柳生一族の手により、妻の命と職を失った、水鴎流剣術の達人で、胴太貫という刀を携える元公儀介錯人、拝一刀と…
金井 和宏 バックナンバー
2023/11/30掲載
■インディアンの唄が聴こえる 第45回「ウンデッドニーの虐殺 その3」 ビッグ・フットのキャンプを取り囲んでいた騎兵隊の一斉射撃が始まり、血に飢えた狼のように一つひとつティーピーテントを襲い、動くものは何でも撃ち殺す惨劇を繰り広げたのだった。フォーサイス大佐はその前夜、隊員に寒さをしのぐためウイスキーの大判振る舞いをした。そのことが残虐さを煽ったとも言われている。だが、残虐に走らせた一番の要因は、その4年半前に起こったリトルビッグホーンでのカスターの第7騎兵隊全滅にあったと思う。カスターの無謀な先っ走りで第7騎兵隊がラコタ族、シャイアン族、アラパホ族によって全滅させられたのだ。アメリカ西部開拓史上、騎兵隊が全滅したのはこの一回だけだ。やられたらやりかえせ、という復讐の念は、アメリカ人、イヤ西欧人は異常に強い。そして、復讐心はいつまでも残る。パールハーバーの奇襲は、決して忘れない。日本人のように昨日の敵は今日の友、鬼畜英米が一転して、アメリカ一辺倒に…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第829回「野生の呼び声」 アメリカの住民投票は実に事細かく、そんなこと、給料を貰っている地方議員さんたちが会議で決めれば済むことでしょう…と、言いたくなるようなことまで一々住民投票にかけます。一つ例を挙げれば、コロラドロッキーに狼を移入して放つかどうかという投票があり、自然、野生大好き人間の私としてはもちろん、一度コロラド州で絶滅した狼を移植する? そんなことができるなら大賛成と投票しました。しかし、考えてみるまでもなく、州の人全員に投票させるのは奇妙な話で、圧倒的に投票者数が多いデンバーなどのフロントレンジの街、団地(ロッキーの東側にある大きな町々)など、そこに住む大多数の人、自然愛好家、動物保護団体などは賛成するでしょう。彼らは自然の持つ荒々しさ、生存競争の熾烈さなんか全く計算に入れておらず、何でもかんでも自然バンザーイ、野生に帰れの態度なのです。この台地にしても、実際に野生と接している牧場、農家にとっては、話はそう簡単ではありません。
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第5歌 邪悪な公爵 第2話「陰謀の顛末」 前回は、邪悪な公爵ポリネッソが、王の座を奪い取るためにギネヴィア姫と結婚すべくプレゼント作戦を展開したものの、肝心の姫がイタリアから来た騎士アリオダンテに心奪われていることを知り、さらに邪悪な作戦を思いつき、姫の侍女ダリンダを手篭めにして、姫の留守に姫の部屋に入り込んで偽りの情を交わすことに成功したポリネッソが、邪魔なアリオダンテを片付けるべく、土曜の夜に姫の部屋の下の路地で見ているがいい、姫の心がお前にではなく私にあることがわかるだろうと告げたところまでお話ししたのでした。さて、いまだ姫とはキスさえしたことはなかったとはいえ、アリオダンテは姫を心の底から愛しく思い、ギネヴィア姫もまたその思いをすでに打ち明け、二人は婚礼を挙げて晴れて夫婦になる日を心待ちにしていたのでしたが、ポリネッソ公爵から、そのようなことを言われたアリオダンテは、そんなことがあるはずがないとは思いつつも、弟を …
谷口 江里也
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■よりみち~編集後記 ロシアとウクライナの対立に加え、中東でのハマスへの報復と人質奪還のためのイスラエルのガザ侵攻がついに開始され、国連やアメリカの停戦調停は全く機能していない状態です。フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏やロシア外交の第一人者であるフョードル・ルキヤノフ氏は、「第三次世界大戦は本当にすでに始まっている」と主張していて、何とも恐ろしい事態になってきたものです。その根拠となっているのが世界秩序の崩壊と、紛争解決のメカニズムが存在しないことを挙げている。言われてみると確かにそうなのだが、人類は本当に進化しているのだろうか? 我々は過去に何を学んできたのだろうか? まだまだやれることはあるはずです。すでにガザの戦闘での死者は1万人を超えていることが報告されており、ユニセフ(国連児童基金)の10/27のレポートでは、約140万人が家を失い、国連設置の150ヵ所のシェルターに約62万9,000人が避難。全体の40%を占める221の学校が被害を受け約62万5,000人の子どもたちが教育を受けられなくなってるそうだ。
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