のらり 大好評連載中
2023/01/12掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」

福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの…

杉山 淳一

杉山 淳一  ※只今休載中 

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2024/09/05掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第484回「流行り歌に寄せて No.281 「旅の宿」~昭和47年(1972年)7月1日リリース」 up
吉田拓郎の最大のヒット曲で、彼のシングルとしては唯一オリコン・チャートで1位を記録した曲である。そして、作詞家・岡本おさみの名を、最初に世に知らしめた曲でもあった。私は、以前からずっと、岡本おさみとはどんな人だろう、そして吉田拓郎とはどのような契機で一緒に作品を作るようになったのだろうと考えていたが、疑問をそのままにしていた。今回、このコラムを書くために少し調べてみたが、当時の音楽シーンをある程度知る人間には、大変興味深いことだった。岡本おさみは、放送作家だった。彼はニッポン放送系のラジオ番組「バイタリス・フォーク・ビレッジ」の制作に番組当初から関わっていた。私も東海ラジオで、この放送をよく聴いていた。この番組のDJは、ジミー時田、広川あけみ、佐良直美と変わって…

金井 和宏

金井 和宏 
   
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2024/08/29掲載

■西部開拓時代の伝承物語
~黄金伝説を追いかけて

第19回「西部奇談 ケイト・ベンダー その4」

それにしてもベンダー家の人たちは、どうして殺人に走ったのだろう。ケイトが一種の精神異常者であったことは間違いないにしろ、なぜ家族全員でケイトの人殺しを後押しし、手助けまでしたのだろうか。一体何のためにという疑問が付きまとうのだ。ベンダー家に立ち寄ったパイオニアたちの金品、所持品を奪うためだけではないだろう。人を殺すことが先行し、殺しの証拠隠滅のために馬、馬車、家財道具などを処理しているようにもとれる。ケイトが神がかり的な強い性格の持ち主であったことは確かだ。チェリーヴェイルのレストランでウエイトレスをしながら霊媒をしていた時には、まだ殺人にまで及んでいなかった。いつ人を殺し始めたのか、最初の犠牲者は誰なのか、全く判っていないし、これからも知る可能性は絶無なのだが、ケイトが死んだ人の霊を客というのか…

佐野 草介

佐野 草介  ※今週は休載です
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2024/08/29掲載

 

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第865回「オリンピック賛歌 その2」

オリンピックのアマチュアイズムはとうの昔に掻き消されてしまい、プロ、アマ、ステイトアマの区別がなくなったのは、それはそれでスッキリしました。プロアマの境界線を打ち壊してくれたのは元共産圏の国々、とりわけソヴィエト(ロシア)のおかげです。ステイトアマという呼び名があるほど、彼の国では国威を発揮した選手の身分が保証され、上層クラスに入ることができましたから、スポーツ選手になりメダルを取ることだけが使命でした。それはアマチュアではない、ステイトプロだ、それならいっそのこと、プロアマの壁を崩し、なくしてしまえと共産圏のステイトアマに主にアメリカが対抗し、大金を稼ぐプロも参加できるようにしたことのようです。それにしても、バスケットボールにアメリカのプロ中のプロ、大金を稼いでいるNBAのスタープレイヤーでチームを組んでいるのは、どうにも納得できません。彼らは観光気分で常に30~50もの差で勝ち続けているのです。

グレース・ジョイ

Grace Joy(グレース・ジョイ)
※今週休載します
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2024/09/05更新

■ドレの『狂乱のオルランド』 
~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源

第10歌 ルッジェロの大冒険
第3話「小舟に乗った翁」
up

さて、第8歌の第1話でお話しましたように、ひとまず邪悪な魔女アルチーナの醜い正体を見て魔法から覚め、焼け付く砂浜を水も持たずに、善き愛の清らかな乙女ロジスティーラのもとへと急いだルッジェロだったが、その朦朧とした目に、なぜか岸辺の砂地の上にたった一本だけ、豊かに木の葉を茂らせた大木がつくる木陰の下で、豪華なペルシャ絨毯を敷いて涼しげに憩う三人の女の姿が映った。絨毯の上にはワインはもちろん豪華な器に盛られたあらゆる珍味。岸辺には女たちを乗せてきたと思われる船が一艘。それを見たルッジェロは、これは空腹と喉の乾きと疲れによる幻覚かと思ったが、しかし女たちが淫靡な笑みを浮かべて手招きするその怪しげな振る舞いに、きっとこれらは邪悪な魔女アルチーナのさしがねに違いないと見て取った。無視して行き過ぎようとするルッジェロを、女たちはこれ見よがしに水晶のグラスに薄桃色のシャンペンを注ぎ、こちらに…

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谷口 江里也  

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2024/08/29掲載

■よりみち~編集後記 
最近、地球の気候も各国の政治でも、何でもかんでも歴史上初めてという現象が続き、もう何が起こってもそう驚かなくなっていないだろうか? 特に、延々と続けられている二つの戦争に関しては、当事国の人々にはとても耐えがたい苦痛と恐怖の連続であり、理不尽極まりない現実なのだが、解決の兆しすら見いだせない国際社会や国連機関に対して呆れ果て、一度始めてしまった紛争を解決することの難しさを痛感するばかりである。とにかく、紛争になる前にドンパチを絶対に止めるしか解決策はない。ウクライナへのロシアの侵攻からすでに2年半、ウクライナ兵戦死者3万1,000人、ロシア兵戦死者6万人、そしてイスラエル・ガザ紛争で、イスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人死者数が3万5,000人超と、ほんの1年で13万人以上の尊い人命がこの二つの戦場で消えてしまっているのだ。陰謀論は嫌いなのだが、ロシアのウクライナ侵攻はロシアとアメリカの覇権争いの代理戦争となっていることは否定ができない。核保有国同士の直接戦争はタブーとされ、互いにそれを望むことはあり得…

よりみち

「のらり」編集部

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