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■店主の分け前~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと

第370回:流行り歌に寄せて No.175 「帰って来たヨッパライ」〜昭和42年(1967年)

更新日2019/03/28


ザ・フォーククルセダーズ、何ともすごいネーミングだと思う。フォークの十字軍。ジャズ・クルセイダーズ(フュージョン・グループのザ・クルセイダーズの前身)にあやかって付けたのだろうか。そっちがジャズの十字軍なら、こちらはフォークで行くぞ、ドヤ!という感じなのか。

とにかく、現代の歴史的解釈としてはに悪名高い十字軍を持ち出したのは、彼らの音楽の方向性から見ても随分と乱暴な感じがするが、どうだったのだろう。案外「カッコイイんじゃない?」という程度だったのかもわからない。

ザ・フォーククルセダーズ、「ザ・フォーククルセイダーズ」と表記するものもよく見受けられ、私も今までずっとそう思い込んでいたが、こちらが本来の呼び方らしい。

初めは、北山修と加藤和彦が、後に触れる他のメンバーとアマチュアバンドとして演奏していたが、はしだのりひこを入れ、1年限りという期間限定でプロのグループになった時のデビュー曲が『帰って来たヨッパライ』であり、昭和42年のクリスマス12月25日にリリースされた。

ところが、実際この曲が録音されたのは、はしだのいないアマチュア時代に出したインディーズLP『ハレンチ』の中でのことで、カヴァー曲がほとんどのこのLPの中では、唯一のオリジナル曲である。この時のメンバーは北山、加藤の他に平沼義男、芦田雅喜がいた。

そして、そのインディーズの中の1曲は、ラジオ関西の深夜番組『若さでアタック』で火がついて、その後オールナイトニッポンで広まり、ついにはプロとしてのレコード発売に至った。1年限りの活動に執着していたメンバーの「年内発売できるレコード会社を」という条件で、東芝から出されたとのことである。それが、シングル売上283万枚という、歴史に残る大ヒット曲になってしまった。


「帰って来たヨッパライ」 フォーク・パロディー・ギャング:作詞  加藤和彦:作曲 
               ザ・フォーク・クルセダーズ:編曲  ザ・フォーク・クルセダーズ:歌
 

 

<歌詞削除>

 

 

当時、いろいろ話題となった多重録音、かなり大変なものだったらしい。加藤和彦が生前、最後のニッポン放送でのインタビューでも、スピードの違う録音のため、音程を合わせるのに非常に苦労したと語っている。

あのフニャフニャ声のヴォーカルは加藤和彦、ボーっとした神様の声は北山修。レコーディングには参加していないが、コンサートでのヴォーカルは、はしだのりひこが多かったという。うっすらとした記憶だが、テレビで演奏された時は人形がよく使われていた覚えがある。

作詞の『フォーク・パロディー・ギャング』は松山猛と北山修の共作でのペン・ネームである。松山猛は、 ザ・フォーク・クルセダーズやサディスティック・ミカ・バンドの後援者として有名であるが、主に作曲の加藤和彦と組んで、数多くの作詞を手がけている。

NHK FMの名番組『夜のプレイリスト』の松山の出演の際、ずっと聴いていたが、あの大柄でワイルドな容貌では想像できなかった繊細な感性の持ち主であることがわかり、敬服したものである。

さて『帰って来たヨッパライ』言わずもがなだが、現在では間違いなく発表できない曲であろう。酔っ払い運転をして事故死した男が天国に行き、懲りもせず酒と女性に囲まれた生活を送り、度々神様の叱責を受けるが無視し続け、ついには神様の逆鱗に触れ、また今世に戻されてしまう。

いろいろな方面から非難の声が上がるに違いない。もちろん飲酒運転については絶対に許されることではない。けれども、何と言ってよいのか、この曲の持つ雰囲気を、大雑把に受け入れることができ、楽しんでいた。そのような時代は一体どんなものであったのかということには、とても興味を惹かれるのである。

-…つづく

 

 

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金井 和宏
(かない・かずひろ)
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1956年、長野県生まれ。74年愛知県の高校卒業後、上京。
99年4月のスコットランド旅行がきっかけとなり、同 年11月から、自由が丘でスコッチ・モルト・ウイスキーが中心の店「BAR Lismore
」を営んでいる。
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