第243回:コンビニとガソリンスタンド
どうも、私も歳のせいでしょうか、昔の話が多くなってきたようです。まだ、私が可憐な乙女??? だった時分、大阪の吹田市に住んでいました。吹田の駅から当時借りていた古い家まで10分くらいの距離を、小さなお店が軒を並べた賑やかな商店街を抜けて毎日通ったものです。
八百屋さんの店先に並んだみかんを一山よく買いました。食べ物屋さんが多かったように思いますが、お客さんが入っているのを見たことがない洋品店もあり、一体どうやって成り立っているのか不思議に思ったのを覚えています。
駅前商店街は独特の雰囲気があり、人間的なぬくもりもあり、日本の下町文化の中心と呼んでもよいくらいです。
ところが一昨年、吹田市に私の個人的ノスタルジアで帰ったところ、自分が元住んでいた家にたどり着けないほど駅の周辺が変わっていました。時代の流れと言ってしまえばそうなんですが、威勢の良いおじさんがいた八百屋さんもなくなり、商店街のお店の何軒かはシャッターを下ろしたままになって、久しいようでした。
その代わりに、明るい照明で中まですべて丸見えのコンビニエンスストアが何軒か誕生していました。
日本のコンビニには、これほど流行るだけの充分な理由があります。何と言ってもお客さんのニーズというのでしょうか、お客さんが求めているものの最大公約数的な品物がすべて揃っているのですから、その名の通り「便利=コンビニエント」なのです。
私たちが日本に行くとき、おにぎりやサンドイッチ、飲み物を買ったりで、コンビニにはとてもお世話になります。宅急便を送るのも、送金するのもそこで、大抵のことはコンビニで済んでしまいます。
2級、3級のグルメの舌に適う食べ物も結構あります。こんなキメの細かいサービスをしているお店は、恐らく世界中にないでしょうね。
元アメリカの会社だった『セブン・イレブン』が日本に買われ、それから急激に伸びたのも分かるような気がします。
ニューヨークやシカゴのように、通勤に電車、地下鉄を利用できる町は別にして、アメリカの大半の町で、多少なりとも日本のコンビニの役割を果たしているのは「ガソリンスタンド」です。この二つは、似ていても内容やサービスが全く違うのですが、たった一つの共通点は、よく強盗に狙われることでしょうか。
日本から来たばかりの人を連れてアメリカをドライブし、ガソリンスタンドに立ち寄ると、まず驚くのが、ガソリンスタンドでビールを売っていることです。これじゃ、飲酒運転を促進しているようなものではないか……というのです。
そう言われてみれば確かにその通りで、ハイウエー沿いのガソリンスタンドから太い腕に刺青したお兄さんが冷えた6本パック、12本パックのビールをぶら下げて出てくるのを見ると、家に着く前に何本飲み干すのかな、と思わずにいれれません。
逆に、日本で野放しになっているビール、お酒の自動販売機は、小学生でも、誰でもコインさえ入れればお酒が出てきますから、ノンベイには便利でしょうけど、チョット危うく見えます。
アメリカのガソリンスタンドは、多少日本のコンビニ的な役割をしています。サンドイッチ、ホットドック、ハンバーガーにスナックも売っていますし、最近のコーヒーブームにあやかって、コーヒーの種類も多くなりました。しかも、アメリカ的に大中小のカップを選ぶことができ、大カップは馬にでも飲ませるほど大きいのです。宝くじやタバコもガソリンスタンドで買うことができます。
私が勤めている大学がある田舎町の商店街もサーバイバルゲームに突入し、必死で生き残り作戦を展開しています。町中の小さなお店は、お爺さんの代から開いているような古いところが多く、お店の入っている建物だけは自分のものなので、家賃を払わなくてもよいのと、家族でやっているので賃金を払わなくてよい…というだけで、どうにか維持しているのが実情のようです。中西部の町のメインストリートはどんどん寂れていっています。
郊外にできた大型スーパーが追い討ちをかけていることは間違いありません。私自身、どうしても便利な大型スーパーで買い物をしてしまいがちですし、日本に行けば行ったで、コンビニを愛用してしまうのですが、吹田の駅前商店街、アメリカの田舎町のメインストリートの商店街が消えてなくなるが残念でたまりません。
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