第745回:プレミアムの誘惑 - 京阪電鉄本線 東福寺~萱島 -
鞍馬寺を降りた私たちは、叡山電鉄で出町柳に戻り、京阪電鉄の特急に乗って祇園四条で降りた。フレンチレストランの取材は15時から17時までの約束だ。ランチタイムとディナータイムの隙間の時間である。ほかのお客様に迷惑がかからないようにという店の配慮だ。しかし本来は厨房は休憩時間か仕込みの時間である。恐縮しつつ、ランチコースを頂き、撮影し、お話を伺う。京都御所で昭和天皇即位の御大典以来、皇室や国賓の食事を担っているという。100年以上も続く店だけど「それでも私どもは新参でございまして」と謙遜された。さすが京都である。

取材が終わって祇園を歩く。伝統文化の趣がある
これにて任務完了だ。カメラマンS氏は東京に帰る。私は京都でホテルを予約済み。各駅停車で三つ目の東福寺駅でJR奈良線に乗り換えるつもりだったけれど、S氏は新大阪から新幹線に乗るつもりだという。「せっかく京阪電車に乗るんだから、プレミアムカーに乗りたい」とのこと。大賛成だ。私もプレミアムカーに乗りたい。プラットホームのプレミアムカー券販売機でチケットを購入した。スーパーのレシートのような体裁だ。料金は500円。

祇園四条駅。駅舎の塔の部分はなにがあるのだろう
プレミアムカーは京阪電鉄初の有料座席だ。2017年8月に投入されて、約1年半が経過した。当初は8000系特急電車だけに組み込まれたけれど、好評のようで1年後に3000系快速急行も導入されている。通勤電車の有料座席車両は関東大手私鉄で始まったけれど、関西では広まらないと思っていた。関西大手私鉄は普通車両にクロスシートが多く、関東大手私鉄より座席の質が高い。とくに京阪電鉄の特急は乗車券のみで乗れて、2階建て座席もある。

2扉の特急電車8000系。自由席は無料

有料のプレミアムカー。幅広シートが3列
それでも関東大手私鉄のように「有料でも良いから座りたい」という要望があったという。始発駅なら座れるけれども、途中駅からは座れないという状況は良くある。私も出町柳駅から乗るなら2階席にしたかもしれない。しかし祇園四条は中間駅だ。プレミアムカーチケットを持っていれば確実に座れる。やっばりありがたい仕組みである。

シート間隔も広い

座面側はブラックで落ち着いた雰囲気だ
車内は3列シートで、大型のリクライニングシートが並んでいる。かなり贅沢だと思う。普通列車の有料座席と言えば、関東ではローグシートを回転してクロスシートにした仕様が多い。JR東日本のグリーン車もクロスシートだけれども、4列のクライニングシートだ。それに比べるとプレミアムシートはJR特急のグリーン社並みだ。シート間隔が広いから、背もたれを倒しても後ろの席と気まずくなりにくい。ヘッドレストの左右が少し前に曲っていて、隣の人と目を合わせにくくなっている。シートに身を沈めると眠くなってきた。S氏も船を漕いでいる。

各座席にコンセント。ありがたく充電中

大きな窓から景色を見渡せる
プレミアムカーの特別感はもうひとつ。アテンダントの存在だ。主にプレミアムカーチケットを持たない客から料金を取るとか、普通車と間違って乗る客を案内する仕事だと思うけれど、記念品の販売も実施する。私も記念に銘板キーホルダーを買った。コーヒーなど飲食物は扱わない。プラットホームに自販機があるからだろう。

スマホで速度測定したら時速110キロも出ていた

宇治川に続いて木津川を渡る
七条駅を発車すると地下トンネルが終った。夕暮れ時の景色がだんだん暗くなっていく。その代わり、街路灯や建物の灯りが増えてきて、街が賑やかになっていく。時速は100キロを越えた。しかし荒っぽい早さではなく、まるで有料特急のようだ。プレミアムカーだからそう感じるのだろうか。500円の価値はあると思う。

淀屋橋駅に到着。祇園四条駅で撮れなかった行先表示版はもう切り替わっていた

大阪から帰る人の利用が多い
東福寺駅~萱島駅間は乗ったことがない線路だから、窓に手をかざして景色を眺めた。こうしてちゃっかりと京阪電鉄本線を完乗した。終点の淀屋橋駅でS氏とお別れだ。彼はこのまま地下鉄御堂筋線で新大阪駅へ行き、新幹線で帰る。私はもうひとつ乗りたい路線がある。中之島線だ。

淀屋橋駅の地上に出たら夜だった

このプレートのデザインのキーホルダーを買った
-…つづく
第745回の行程地図(地理院地図を加工)

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