のらり 大好評連載中   
 
■店主の分け前~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 

第432回:流行り歌に寄せて No.232 「ちっちゃな恋人」~昭和45年(1970年)

更新日2021/11/04


カルピスのコマーシャルには誰が出ていた? と聞かれて、『オズモンド・ブラザーズ』の名前がすぐに出てくるのは、おそらく還暦過ぎの人たちだろう。

オズモンド・ブラザーズは、オズモンド家の9人兄弟(男8人、女1人)のうち、三男から六男までの4名(アラン、ウェイン、メリル、ジェイ)で、コーラスグループとして1958年(昭和33年)に結成された。(結成時点では七男のダニーは0歳児、八男のジミーは生まれる前)

1962年から1971年まで、アンディ・ウイリアムス・ショーにレギュラー出演をしており、1963年、アルバム『Songs We sang on The Andy Williams Show』で、レコードデビューを果たした。

その後、ダニーとジミーが加入するが、日本で『ジミー坊や』と呼ばれ愛された八男ジミーの加入は1967年、わずか3歳の時だった。

1969年4月に初めて日本を訪れ、フジテレビの『ミュージックフェア』などに出演、同年12月の同じくフジテレビの『夜のヒットスタジオ』ではこの番組の海外ゲスト第1号となった。

そして、長女のマリーも加えた7名で、1970年からカルピスのコマーシャルに登場するようになり、日本国内で大変な人気グループとなっていく。このコマーシャルはシリーズ化して何本も撮られるが、最初の方ではジミーの前歯は生え変わりの時期で、まだ生え揃っていない。

『ちっちゃな恋人』は、そんなジミーがまだ7歳になる前の1970年2月、アメリカでメンバーから離れ、ソロとして日本語歌詞でレコーディングしたものである。そして、4月には日本でレコード化され、堂々オリコンで2位を獲得する大ヒットとなった。


「ちっちゃな恋人」  なかやままり:作詞  井上かつお:作・編曲  ジミー・オズモンド:歌


<歌詞削除>

 

 

作詞のなかやままりという人の詳細は、今回わからなかった。作・編曲の井上かつおは、3ヵ月ほど前のこのコラム『白い蝶のサンバ』の項で紹介させていただいている。

さて、その後ジミーは1972年、8歳の時に出した『リバプールから来た恋人』(Long Haired Love from Liverpool)で全英1位(全米38位)を6週連続で記録し、全英チャート1位獲得の最年少記録を更新する。これは、未だに破られない記録としてギネスブックにも掲載されている。

そして、ソロ・アーティストとして6枚のゴールド・レコード、1枚のプラチナ、2枚のゴールド・アルバムを獲得した国際的なエンターテイナーとなった。

4年前の2017年には「50周年のワールドツアー」を行なったが、同年の9月2日には日経ホールで日本公演を開催している。そして、来日の際の記者会見では、日本語で「コンニチハ、元気ですか? 『カルピス~だ!』」と挨拶し、会場の和やかな笑いを誘う。

彼の音楽の根底には、デビューの舞台を与えてくれたアンディ・ウィリアムスの存在があり、来日公演の時にも彼に対する尊敬の気持ちを言葉にしていた。

その気持ちの表れとして、ジミーはアンディ・ウィリアムスの遺族の依頼を受け、ウィリアムスが1992年にミズーリ州ブランソンにオープンした「ムーン・リヴァー・シアター」を買い受け、運営をしている。

そして、そのシアターはジミーにより、2016年1月「アンディ・ウィリアムス・パフォーミング・アーツ・センター」と改名された。

デビューが早く長い期間活躍してきたが、まだ58歳。これからもまた、いくつかの話題を提供してくれることだろう。

 


第433回:流行り歌に寄せて No.233 「もう恋なのか」~昭和45年(1970年)


このコラムの感想を書く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


金井 和宏
(かない・かずひろ)
著者にメールを送る

1956年、長野県生まれ。74年愛知県の高校卒業後、上京。
99年4月のスコットランド旅行がきっかけとなり、同 年11月から、自由が丘でスコッチ・モルト・ウイスキーが中心の店「BAR Lismore
」を営んでいる。
Lis. master's voice


バックナンバー

第1回:I'm a “Barman”~
第50回:遠くへ行きたい
までのバックナンバー


第51回:お国言葉について ~
第100回:フラワー・オブ・スコットランドを聴いたことがありますか
までのバックナンバー


第101回:小田実さんを偲ぶ~
第150回:私の蘇格蘭紀行(11)
までのバックナンバー


第151回:私の蘇格蘭紀行(12)~
第200回:流行り歌に寄せてNo.12
までのバックナンバー


第201回:流行り歌に寄せてNo.13~
第250回:流行り歌に寄せて No.60
までのバックナンバー


第251回:流行り歌に寄せて No.61~
第300回:流行り歌に寄せて No.105
までのバックナンバー


第301回:流行り歌に寄せて No.106~
第350回:流行り歌に寄せて No.155
までのバックナンバー

第351回:流行り歌に寄せて No.156~
第400回:流行り歌に寄せて No.200
までのバックナンバー


第401回:流行り歌に寄せて No.201
「白いブランコ」~昭和44年(1969年)

第402回:流行り歌に寄せて No.202
「時には母のない子のように」~昭和44年(1969年)

第403回:流行り歌に寄せて No.203
「長崎は今日も雨だった」~昭和44年(1969年)

第404回:流行り歌に寄せて No.204
「みんな夢の中」~昭和44年(1969年)

第405回:流行り歌に寄せて No.205
「夜明けのスキャット」~昭和44年(1969年)
第406回:流行り歌に寄せて No.206
「港町ブルース」~昭和44年(1969年)
第407回:流行り歌に寄せて No.207
「フランシーヌの場合」~昭和44年(1969年)

第408回:流行り歌に寄せて No.208
「雨に濡れた慕情」~昭和44年(1969年)

第409回:流行り歌に寄せて No.209
「恋の奴隷」~昭和44年(1969年)

第410回:流行り歌に寄せて No.210
「世界は二人のために」~昭和42年(1967年)
「いいじゃないの幸せならば」~昭和44年(1969年)

第411回:流行り歌に寄せて No.211
「人形の家」~昭和44年(1969年)

第412回:流行り歌に寄せて No.212
「池袋の夜」~昭和44年(1969年)

第413回:流行り歌に寄せて No.213
「悲しみは駆け足でやってくる」~昭和44年(1969年)

第414回:流行り歌に寄せて No.214
「別れのサンバ」~昭和44年(1969年)

第415回:流行り歌に寄せて No.215
「真夜中のギター」~昭和44年(1969年)

第416回:流行り歌に寄せて No.216
「あなたの心に」~昭和44年(1969年)

第417回:流行り歌に寄せて No.217
「黒ネコのタンゴ」~昭和44年(1969年)

第418回:流行り歌に寄せて No.218
「昭和ブルース」~昭和44年(1969年)

第419回:流行り歌に寄せて No.219
「新宿の女」~昭和44年(1969年)

第420回:流行り歌に寄せて No.220
「三百六十五歩のマーチ」~昭和43年(1968年)
「真実一路のマーチ」~昭和44年(1969年)

第421回:流行り歌に寄せて No.221
「ひとり寝の子守唄」~昭和44年(1969年)

第422回:流行り歌に寄せて No.222
「白い色は恋人の色」~昭和44年(1969年)

第423回:流行り歌に寄せて No.223
「夜と朝のあいだに」~昭和44年(1969年)

第424回:流行り歌に寄せて No.224
「サインはV」「アタックNo.1」~昭和44年(1969年)

第425回:流行り歌に寄せて No.225
「白い蝶のサンバ」~昭和45年(1970年)

第426回:流行り歌に寄せて No.226
「老人と子供のポルカ」~昭和45年(1970年)

第427回:流行り歌に寄せて No.227
「長崎の夜はむらさき」~昭和45年(1970年)

第428回:流行り歌に寄せて No.228
「しあわせの涙」「幸せってなに?」~昭和45年(1970年)

第429回:流行り歌に寄せて No.229
「圭子の夢は夜ひらく」~昭和45年(1970年)
第431回:流行り歌に寄せて No.231
「経験」~昭和45年(1970年)



■更新予定日:隔週木曜日