第97回:本当の移民二世
更新日2009/02/05
政治的にあまりに感情的になるアメリカ人に幼児性を見つけ、苦い思いを抱いていたはずの私も、オバマ旋風に巻き込まれてしまいました。
オバマはケニヤ人を父親に持つ二世ですが、初めての"黒人"大統領という面ばかりが強調されすぎているように思います。黒人の血は外見にすぐに表れますから識別しやすく、カテゴリーに分けやすいのでしょう。彼個人の中では"黒人"という側面は、人格のほんの一部だと私は見ています。
アメリカは移民で成り立っている国だとよく言われます。だからケニヤの二世が大統領になっても不思議はないと思われているようです。
しかし、移民で成り立っている国はアメリカだけではありません。北米、南米、ニュージーランド、オーストラリアは3、400年前まで僅かな原住民しか住んでいない部族社会の土地でした。むしろ北米の原住民であるナバホ族、アパッチ族、南米ではインディオ、ニュージーランド、オーストラリアで、マオリやアボリジニの大統領、首相が今まで生まれなかったことの方が不思議です。
ヨーロッパ内でも盛んに民族の大移動が起りましたし、近年でも大量の移民を受け入れています。保守的なお国柄と言われるフランスのサルジコ大統領もハンガリーからの移民二世です。
南米で日系人の政治家は珍しくありませんし、フジモリさん(もとペルーの大統領)はまだ日本国籍を併せ持つ二重国籍所持者でした。
アメリカに目を移すと、一世の政治家が沢山います。有名なところではキッシンジャー、オウブライト、シュワルツネッガーらは外国生まれの一世です。大統領の職だけは"アメリカ国土で生まれで、アメリカ国籍を有するもの"という条件があるので、一世たちは大統領になることはできませんが、大統領以外の職業、州知事、閣僚、上下議員、すべてに開かれています。スペイン語を流暢に話す、完全なバイリンガルのメキシコ系、中米系の議員、市長、知事はアメリカで数えるイトマがないほど沢山います。
私の古くからの友人に大阪に住む韓国人二世がいます。彼の両親は半ば強制的に日本に連れてこられ、彼は戦後日本で生まれた朝鮮語を話せない在日韓国人二世です。彼が結婚する時、日本人の娘さんの両親が大反対をし、とても悩んでいたのに驚きました。未だにそのような偏見が残っていることにショックを受けたのです。
私がウチのダンナサンと結婚した大昔でも、私やダンナサンの家族、親類に人種が違うからと反対されるなんて想像外のことでした。
ウチのダンナさんは、日本の混沌とした、仲良し子供会のような料亭政治を潰さなければだめだ、それには親譲りの2世3世を同じ選挙区から立候補するのを禁止し、韓国人、中国人、東南アジアからの本当の一世、二世が日本の閣僚や首相の地位につける政治体制にならなければ、日本自体が潰れる、とケニア人二世がアメリカの大統領に就任したのを観て、憤っていました。
日本の議員さんや大臣の中に何人親譲りの二世、三世がいて、外国系の本当の二世、三世が何人いるのか、どなたか教えてくれませんか?
相撲の世界ではあれだけ外国人が活躍し、現実として大相撲を支え、救っているのですから、政治の世界でも、海外からの一世、二世に活躍の場を与えれば日本の政治も良くなるはずです…と私の政治感覚はどうも相撲の範囲から出ることができないようです。
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