第32回:グァテマラ、アンティグアの主産業はスペイン語学校
更新日2002/10/24
グァテマラの首都グァテマラシティからバスで約30分。標高1,500メートルの高台にある古都アンティグアの名物は、外国人向けのスペイン語学校。多くの外国人がこの街でスペイン語を学習し、ある程度スペイン語が話せるようになると中南米各国に散っていく。中南米を旅する旅人にとって、アンティグアは一つのゲートシティ化しているといってもいいだろう。
アンティグアのバスターミナルに降り立つと、ゲストハウスやホームステイ、それに語学学校の勧誘攻撃が凄まじい。アンティグア滞在の最初の関門だ。中にはグァテマラシティからバスに乗り込み、車中で客引きする猛者もいたりする。この攻撃をうまく切り抜けられるかどうか、またいい人と巡り合えるかどうかによって、アンティグアでの快適度が決まってしまうかもしれない。
「この街はスペイン語学校で成り立っているのよ。ライセンスのある先生が教えている正規の学校だけで50校以上はあるわよ。もちろん、普通の主婦が趣味で教えている場合もいれると数え切れないわ。学校に通う外国人のホームステイだけで生計を立てている人も大勢いるわ」
客引きたちといろいろ会話を交わしていくと、現地の事情がいろいろ見えてくる。ゲストハウスは3ドル前後、語学学校は3食付のホームステイ料金と毎日4時間の個人レッスン込みで週70ドルが一般的相場だ。
「レストランやお土産屋よりも学校の数の方が多いなんて、笑っちゃうでしょ。留学気分で真面目に習う人もいるけど、なんといっても料金が安いから、旅行者が興味本位で通う場合も多いわよ。中南米の旅ではスペイン語を理解できると何かと役立つし、この街にいると、学校に通うのが自然な感じになってしまうのよ」
こう話す日本人女性ツーリストも、最初は学校に通うつもりはなかったという。物価は安いし、気候は一年を通して春の気温。長く滞在するうちに、暇を持て余し気味になって通学するようになったという。それまではゲストハウスに泊っていたものの、コミュニケーションが取れるホームステイにも変えた。
「学校選びは、先生との相性が最も重要。通学後に相性が合わないと分かったら、違う先生に替えてもくれるけれど、それだと遅いでしょ。できるだけ多くの学校を廻って、事前に担当してくれる先生といろいろ話してみて、それで相性を判断するのが一番いい方法ね。ツーリストインフォメーションでも紹介してくれるけれど、どこも似たりよったり。先生との相性は分からないでしょうね。」
学校といっても、教室で大勢が学ぶといったスタイルは少ない。多くは、小さな机をはさんでの1対1のマンツーマン・レッスンが一般的だ。試しに1週間だけ通ってみると、テキストもちゃんとあるし、4時間といっても会話方式のマンツーマンだから、けっこう大変。宿題も出されたりするので、1週間だけでもけっこう身についたりする。
スペイン語は男性名詞や女性名詞などの主語によって動詞などが変形するのがややこしい。といっても、グァテマラ人でも完璧な文法をマスターしている人は多くないとか。
一方、日本に帰国後、旅行会社や留学会社のパンフレットに載っている語学学校料金を見てびっくり。信じられないほど高い料金が掲載されていた…。
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