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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から

第645回:日本女性はモスレム国と同列?

更新日2020/02/13


私がまだウラ若きオトメだった時、大阪で英語を教えていたことがあります。ブリタニカの英語教室が職場でしたが、サイドビジネスとしてプライベート・レッスンもしていました。生徒さんは大阪大学のお医者さんでしたから、それなりの教養もあり、平均的サラリーマンより収入の多い人たちだったと思います。3~5人だけの個人教授のようなもので、おまけにお医者さんですから、忙しくて週2回のレッスンに欠席することがママあり、英会話の練習と言うより、私を連れて、大阪の夜の街の案内ばかりしてくれたようなカッコウになってしまいました。言ってみれば、私はパンダ扱い、珍種のペットだったのでしょうね。

そのお蔭で、夜の日本文化を体験できました。カラオケにはじまり、スナック、女性が侍るナイトクラブ、キャバレー、ゲイ(オカマ?)クラブ、果ては男性のストリップショーを見せるディナークラブと、貧乏学生だったウチのダンナさんなどが全く足を踏み入れたことのない世界を知ったのです。

そんなところに行くのは90%以上が男性で、働いているのは厚化粧をした女性でした。私の第一印象は、日本はなんとマッチョの国なんだろう、サラリーマンは会社が引けた後、男だけの慰安を求め、居酒屋、キャバレー、ナイトクラブなどを徘徊し、奥さん、女性たちはただ家でジーッと待っている? それはどこか変じゃないか、おかしいのではないかとは感じていました。日本の女性は一体、何をやっているのだろう? どうして自分のキャリアを築き上げていこうとしないのかと思ったのです。

ダンナさんのお姉さんたちや彼の友人の奥さんたちを見て、また少し日本を知るようになって、アレッ、それまで私が抱いていた印象と少し違うな…と思い始めました。疲れ果てた男どもに比べ、女性軍はやたらに元気がよく、生き生きしているのです。そして、彼女たちのほとんどが、暇つぶしの趣味のはるかに上を行く芸事というのでしょうか、モノゴトに集中しているのです。片手間の習い事という域をはるかに超えた高いレベルに到達しているように見受けられるのです。さすが、清少納言や紫式部を生んだ国だと思わずにいられません。

しかし、考えてみるまでもなく、女性がそんなことができるのは、真面目に働いてくれる旦那さんあればのことなのです。


突然ですが、WEF(世界経済フォーラム)で、男女の格差(Global Gender Gap)の指数が発表になりました。日本は調査の対象になった133ヵ国中、121番目でした。もちろん、先進国G7の中ではドン尻です。日本より一つ上のランク120位はアラブ首長国連邦、一つ下はクウェートで、モスレムの国々の間に日本がチョコンと居座っていますから、日本も女性がブルカ(女性のヴェール)を被っているモスレムの国になったかのようです。

たとえば、クウェートでは、婚前のセックスはご法度ですから、同棲なんか想像もできません。離婚は男性側からしかできず、離婚された女性の再婚は前夫の許可を得なけばならない…と、コーランの規制がそのまま残っている国々なのです。そんな国と日本が同位にランクされているのです。

この調査は、政治、経済、教育、医療での現状をとらえたもので、十分信用できる数値、順位です。いつものことですが、アイスランドを含めた北欧の国々が上位を占めています。

イプセンが『人形の家』を書き、女性の独立、自我の覚醒を提示したのは1897年ですから、120年以上前のことです。主人公の女性ノラは、大変な決断力を示し、家を出ましたが、ノラがいくら知的で、高い教養と社会意識を持っていたにせよ、その当時の社会事情では、一旦金満家のダンナさんの元を離れたら、金蔓がなくなり、路頭に迷い、洗濯女になるか、悪ければ娼婦になるしか生きる道はないのです。野垂れ死にへの道を歩み始めたのです。

日本でサラリーマンの主婦でいることは、安穏と人生を過ごす最高の方策かもしれません。ただ、自立する精神さえ抑え込んでしまえば良いだけですから…。でも、経済的に独立していなければ、本当の自由はあり得ないのです。今は、ノラが家を飛び出した時代ではありません。日本でも自立する気概さえあれば、自分のキャリアを築いていける社会です。もっと女性の地位を向上させる運動を展開すべきです。

私の知る日本女性は、教養もあり、とても賢い人たちばかりです。ただ一つ欠けているのは、経済的、心理的に独立しようとする“意思”だけのように見えるのです。

-…つづく

 

※編集部注
世界「男女平等ランキング2020」、日本は121位で史上最低。
G7ダントツ最下位で中韓にも負ける 〈2019/12/18〉

https://sustainablejapan.jp/2019/12/18/global-gender-gap-report-2020/44753

 

 

第646回:文化遺産を元の国に返還する運動について

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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